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What's the Blur?  (後半)

伊々坂友秋のファーストシングル「Blur」に関して、前半のインタビューでは制作エピソード等について話を聞くことができた。
後半では、アルバムジャケットの撮影やBlurに込めた詞について掘り下げていく。

ーーシングルのジャケット写真も、Blurの世界観を表していますね。写真のイメージなども発案したのですか。

(伊々坂):はい。花束を持って、夜街灯の下に立っているという漠然としたイメージが元々頭の中にありました。ただ、最初のイメージだと黒髪長髪の女性のイメージだったんですよね。でもファーストだし分かり易く自分が立っちゃえばいいかなって。

ーーなるほど。写真も曲のタイトル通り少しブレていてボヤけていますし、色味も凄くいいですね。

(伊々坂):そうなんですよ!今回はフォトグラファーでミュージシャンのtetsさんに撮影して頂きました。かれこれ5年ほどお付き合いがあるんですけど、tetsさんに撮って頂こうと思ったきっかけが、彼の写真に存在する物語性にあって。
tetsさんの撮る写真は、その一枚の前後を想像させてくれる感覚がずっとあったんです。僕は写真に関して詳しくはわからないので、直感でお願いしようと思い撮影して頂いたところ、本当にいいジャケットを撮影して頂けました。

右:tets

ーー詞に関してなのですが、Blurは日本語で「ぼかし」みたいな意味がありますよね。歌詞を聴いていても、どっちつかずであったり、曖昧がキーワードになっている様に聞こえたのですが、歌詞についてもお話ししてもらっていいですか。

(伊々坂):そうですね、Blurはこの世界の曖昧さを歌った曲になっています。
生活の中で、「結局なんか良くわからない」って思うことが多いなと頻繁に感じた時期があって。
小さいことで言うと、「この食材の食べ合わせ、今は体に良いって言われ始めたけど、数年後にまた『新常識』ってタイトルがついて、実はダメな組み合わせとか言われないかな」とか、「選挙どっち投票しようかな。お互いがお互いの理論否定しあってるから、専門知識ない僕は完璧な判断つかないな、、。希望を込めてこっちで!」みたいな。
自分の生活を、実は曖昧なものに委ねているというか。
生きていく為の情報を得る手段のインターネットやテレビも結局本当かどうかは分からないんですよね。でも判断しないといけないから、信じたい方だったり、自分に都合のいい方をなるべく正しいとして受け取る。
その曖昧さは自分の周りの生活でも蔓延しているし、世界中でも蔓延していると思うんですよ。世界政治の問題だってそうですしね。
僕は大学四年生の時に、8ヶ月かけて27カ国ほどバックパッカーをして旅をしてたんですけど、その時に、就職するのが正しいのか、世界に出た方が選択として正しいのかと言う壁に当たるんですけど、これも結局本当の答えはよくわかんないんですよ。
もちろん世界に出て今は本当によかったと自信を持って言えますし、もし過去に戻って自分に会えても「世界放浪は絶対に行きなさい」って言います。
でも、何を持ってして究極的に「結局よかったか」なんていう事は、今は何にも分からないんだなって。
結局命尽きる時に分かるんだろうなって思います。
答えはまだまだ全然ないんですよね。

歴史の事実も曖昧、現在も曖昧、未来も曖昧だと思った時に、随分変なところで生きてるんだなって感じたんです。
この曲を作ることで答えが出るわけではないけど、でも20代前半に感じているこの空気感は残しておきたいし、「やっぱそういう所だよねこの世界って!」と一人でも多くの人に思ってもらいたいし、「あ、僕も同じだよ」って言いたいと思ったので詞にしました。

ーーなるほど。この話から連想されるキーワードも歌詞の中に散りばめられていますね。

(伊々坂):テーマがこんなだったので、元々はもっと堅い歌詞だったんですよ。でもメロディーと曲調に全く合わなくて、歌ってみても凄く嫌だったんですよね。
なのでこの曖昧さを恋愛に落とし込んで作詞してみました。
その方が僕も歌いやすかったですし、聴いてくれる方にもいいと思いました。

ーーこのお話を聞いた上で曲を聴いてみるとまた違った角度から楽しめるかもしれませんね。

(伊々坂):そうですね。サウンド面と歌詞の両方を楽しみながらたくさん聴いて頂ければ嬉しいです。
2023年は様々な形で皆さんに沢山のものを届けられるように、より一層頑張っていきたいと思っています。

ーー今日はどうもありがとうございました。

(伊々坂):こちらこそ、ありがとうございました!

伊々坂友秋『Blur』は下記のURLより各種サブスクにて配信中!

伊々坂友秋/ Blur 

インタビュアー:大鷹守
(プロフィール)
大鷹守:1990年生まれ
大学卒業後、音楽雑誌の出版者に勤めた後フリーの音楽ライターとして活動。
伊々坂友秋が生み出したイマジナリーフリーライター。




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