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What's the Blur? (前半)
2021年10月,シンガーソングライターとしての活動を開始した伊々坂友秋(
旧名義:Aki)
オリジナル曲を引っ提げ、都内のライブハウスのみならず関西でのツアー経験を経た彼が活動開始から約1周年のタイミングでリリースしたシングル「Blur」。
その曲に対する思いと、レコーディングでのエピソード、そしてこの一年間を紐解いていく。
(インタビュアー:大鷹守)
1:Burの作曲、レコーディングについて
2:好みのサウンド面のルーツ
3:修正なしで臨んだボーカルレコーディング
ーーBlurはいつ生まれた曲だったのですか。
(伊々坂):活動を始めようと思い、10月頭に作った最初の曲でした。何かを狙って作ったというよりかは、アコースティックギターを持って自分の好きな雰囲気を自然に作っていったという感じです。
ーー今回のレコーディングでは何を担当されたのですか。
(伊々坂):作詞作曲、楽曲アレンジとギターを担当しました。
曲中鳴っているギターは自分で弾いていて、僕はギター以外弾けないのでlogicを使ってドラム、ベース、キーボード等も自分で打ち込みました。
そのデモ音源をもとに、制作をしたというイメージですね。
ーー完成した音源はキーボード、ドラム、ベースも生楽器の音になっていますね。
(伊々坂):そうですね。本当にありがたいことにパーカッショニストの小林弌さんのご協力のおかげで、
key:岩瀬聡志さん、Dr:岡野大介さん、Ba:榎本高さんという本当に素晴らしいミュージシャンの方々にサポートをして頂きました。
岩瀬さんと岡野さんは、弌さんの現場にお手伝いで入らせて頂いた時に初めてお会いさせて頂きまして、そこから数回現場でお会いしたり、セッションライブなどでご一緒させて頂きました。
榎本さんとは、僕がギターを始めた頃からお世話になっていて、大学一年生の時に初めてのアコースティックギターを渋谷まで一緒に買いに行ったり、ノエルギャラガー(元oasis)のライブを見に行ったりしていました。今でも榎本さんが月に一度開催しているtwin liveのお手伝いで現場に行かせてもらっています。
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ーーそんな皆さんに参加して頂けたことで、楽曲には大きな変化があったと思いますが。
(伊々坂):まさにその通りですね。
まずはベースを打ち込みから生に変更して頂きました。自作の打ち込みのデモを沢山聴いていたこともあり、その時点で生音源の良さを改めて痛感したんですよね。
元々自分で作成したデモ段階では、打ち込みサウンドに振り切れていなかったというか。曲のキャクター的にも打ち込みサウンドに振り切って「敢えて打ち込んでます」と主張するのが似合わない印象はありました。
その悩みがある時に、ドラムも生にして頂けることになりまして。
本当にありがたかったです。ドラムのアレンジは岡野さんが変えて下さって。そのおかげで曲に起伏が生まれました。元々大仰な感動曲線を描いていないアレンジをしていたのですが、その意識を残したまま絶妙なテンションの起伏を提示して頂けて、ドラムの音源を頂いた時にパソコンの前で深く頭を下げた事を覚えています(笑)
ーーそして最後に岩瀬さんのキーボードが入ると。
(伊々坂):はい。デモの段階ではBlurに存在させたい夜のフォギーな空気感を主にギターに担わせようとしていました。でもベールみたいに優しく全体を纏うサウンドを岩瀬さんがキーボードで表現されたお陰で、さらに曲の雰囲気が補填されたという印象でした。キーボードのサウンドチョイスも皆さんにしっかり聴いて貰いたいですね。
ーー先ほどBlurはアコギを持って好きな雰囲気で作ったと言っていましたが、アレンジや音のチョイスも同じような感覚で行ったのですか。
(伊々坂):曲のテーマと歌詞の内容に合わせている部分ももちろんあります。でも基本的には頭で鳴っていた音が完全に自分の好みのウェットな音だったという感じですね。
ーー好みのルーツはどこなんですかね。
(伊々坂):そこなんですけど、今年の九月ごろに気づいたことがあって。
僕が小さい頃、母親がずっと同じCDを聴かせてくれていたんですよ。
それが所謂ニューエイジミュージックのオムニバスアルバムだったんですよ。エンヤとかエニグマの曲が入っていて。僕の音楽の好みの原点はここだったんだって。よく考えると中学の頃、音楽に興味を持つきっかけになったクラプトンのChange the worldも僕の頭の中では夜や宇宙的や、浮遊みたいなイメージがあった。大好きなバンドoasisの中でもよく聴いていたのはやLet There Be LoveやHalf The World Away、Keep the Dream Aliveだったりするんです。僕の中では全部夜の優しいイメージなんですよね。「ここにいればいいよ」という雰囲気があるといか。
ーー確かに、oasisの代表曲という感じではないですね。
(伊々坂):僕、高校に入学して登校初日から帰ってすぐ39度の熱を出して少し休んだんですよ(笑)
新しい環境に中々適応できなくて。その時はしばらくずっとyellowを中心にColdplayのライブ版を聴いて過ごしてました。とりあえずここじゃない場所でどうにかしようって(笑)
ーー伊々坂さんのライブを見ても、確かに朝に聴く感じの曲とは違っている印象はありました。
(伊々坂):そうですね。アコギでの曲作りの段階で夜のイメージが出てくることが多いです。
ーーなるほど。ボーカルレコーディングはどうでしたか。
(伊々坂):苦労しました。というのも、ボーカルトラックに関してはタイミング修正もピッチ修正も一切していません。
今回のレコーディングは、岩瀬さんにはキーボーディストとレコーディングエンジニアという形でもサポートして頂いておりまして。岩瀬さんの自宅スタジオにて楽曲レコーディングへのアドバイスやデータの処理、ミックス、マスタリングなども行って頂きました。
そして、ボーカルのレコーディングに関して岩瀬さんとお話しした結果、ボーカルは編集なしでいこうという事にしました。
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ーーボーカルのタイミングやピッチ修正が当たり前の時代に珍しいですね。
(伊々坂):そうですね。でもそのおかげで初めてしっかりと歌うことと向き合えたというか。この一年は、とにかく活動を始めるために曲を作って演奏して、よくないからボツ、それか残し。そしたら次またすぐ新しい曲を作っての繰り返しでした。この一年でしっかり弾を込めて、自信を持って届けることができる曲を早く用意しておこうという意識が先行していたので、楽曲アレンジやその歌い方に向き合う時間が多くはありませんでした。でも、このレコーディングのタイミングで修正なしで歌うことが決まったことで一ヶ月ほどは歌うことと向き合うことができました。その楽しさも難しさも知りましたね。
ーーボーカルも修正がない上に生楽器でレコーディングとなると、かなりリアルな温度を保った曲になりましたね。
(伊々坂):そうですね。本当に感謝することばかりです。
周りの皆さんのサポートがなければこのレコーディングも一年の活動もできていませんでしたからね。
ここまで楽曲制作についてのエピソードを聞かせてくれた伊々坂友秋。
インタビュー後半では、歌詞に対する思いとジャケット撮影について掘り下げていく。
伊々坂友秋『Blur』は下記のURLより各種サブスクにて配信中!
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