The Bookshop
イギリスのある港町に住む未亡人のフローレンスは、念願の本屋さんを開く。小さいながらも暖かみのある本屋さんは、次第に町の人々で賑わいを見せるようになっていく。また、フローレンスは、人嫌いで滅多に家から出ない読書家の老人と本を通して交流を深めるようになる。
しかし、彼女をよく思わない町の有力夫人により、フローレンスの本屋経営を妨害する画策が動き出す。
田舎町の空気感を良いところも悪いところもひっくるめて素直に描いているなあ、というのが最初の感想。小さいコミュニティーの暖かみを感じられる一方で、噂があっという間に広まってしまう閉鎖社会のイヤな感じもなかなかに上手く描かれている。
ただ残念なのが主人公…。「心優しい、本を愛する素朴な未亡人」というキャラクターなのだろうが、どうにも薄っぺらくて偽善的に見えてしまう。
ストーリーの鍵を握る重要人物な割には余り登場してこない有力夫人の方が、なかなかに卑しくて、人間味があって、面白い。
ただ物語の最後に分かるのが、この映画のナレーターが、フローレンスの本屋の経営を手伝っていた女の子だという事。
この年端のいかない少女の視点から描かれた世界だとすると、自分に大きな影響を与えたフローレンスが、理想化され美化された人間味のない女性になってしまったのも頷けるか…??