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Conversation Piece

生身の人間関係から距離を置き、絵画に描かれた人々に囲まれて過ごす孤独なおじいさん。
でもある日上階に家族が引っ越してき、物静かで平穏だったおじいさんの日々に終わりを告げる。

上階からは色々な音が聞こえてくる。
足音、笑い声、罵り合い、破壊音、大音量のミュージック。
鳴り止まない騒音はおじいさんに新たな隣人の存在を意識させ続ける。

この映画は、人の二面性、矛盾さをよく描いている様に思う。
おじいさんは所謂インテリで、行きすぎた資本主義を疎み、政治の学問介入を嘆く。でもその一方で、欲望に奔放な隣人の生き方に憧れを感じている様でもある。
彼は静かに、いずれくる死の訪問を待っている様に見える、私はここにいる、君を迎え入れる準備はできているよ、とでも言うかのように。でもその一方で、若さが放つ無邪気さ、生の力強さに対する執着心が、彼の瞳の奥で揺らめいている。

隣人の娘はおじいさんの若かった頃の日々を尋ねる。おじいさんは、君達とは違ったと答える。戦争に行き、結婚をした。そういう時代だったのだ。

でも私は、このおじいさん、若いころは結構やんちゃしてたんじゃないかしら、と思う。もちろん、生きるのにやっとな時代だったのかもしれない。でもそんな中でも、若さを謳歌してたんじゃないかしら。女の子と遊び、偶には泣かせ、酒に酔い、音楽に酔い。失敗談もちらほら。

おじいさんはまだ「生」への執着を忘れていない。十分すぎるほど孤独の恐ろしさを知っているし、隣人に苛立ちながらもその温もりに抗えない。
そんな彼の人間らしい本音が露わになるエンディングは必見だ。

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