😌💬近づいたり離れたりしている、個人史の「話」と技術の「顔」

顔というのは面白い。一人一人違う顔を持っている。機能を有したそれぞれのパーツが遺伝子に応じて伸びたり縮んだり、遠くなったり近くなったり、まっすぐになったり斜めったりして配置される。その平均値が世間的な美男美女として認識されるのだけど、いつもはっとしてしまうのは、どの顔の配置にも美しさを感じてしまうというところだ。どれも可愛らしく見えたり、誇らしく見えたり、甘かったり輝いていたりする。それも角度によって刻々と印象が変わるし、感情によっても変化していく。様々な形態が重なった一つの顔は、まるで角度ごとに美しい色や光をまとったオパールのようだ。

顔の表情を読み取ることでその人が真か偽か、寒か温か、😄か😢を推し量ることができる。対面のコミュニケーションでは表情から読み取れる情報のウエイトはかなり大きいと思う。そして表情はある程度技術で操作することができる。交渉における心理学的なテクニックから、コミュニティから要請されるルールとしての決められた表情。儀式における変身を意味する仮面から、物語に作用する能面。そして外科的な整形からスノウのようなピクセル的な整形まで。歴史から俯瞰しても、顔というのは常に技術の側に支配されているものだと思う。

現在の状況は、視覚優位の社会の典型である画像優位の社会というべきものだと思う。そしてそこでは、先に出てきたスノウのような情報整形的なアプローチがコミュニケーションにおいてとても有効に作用する。画像は動かないし、画像は喋らないから、相手からは何も悟られない。

そのような状況で、もしこの人と喋ったらどんな口調なのだろうか、どんな話をするのだろうかということを想像する。顔は技術で補える。口調も声もなんとなかなる。しかし話というのは技術で補うには限界がある。もちろん話を盛ったり展開したりすることは技術でどうにかなるか、ボキャブラリーや話題の選択はその人個人の歴史に寄り添っている。そこが問題であり、そこに興味がある。技術で補った表情と言葉がどれぐらい離れているのか、どれぐらい乖離があるのかというところに。

話というのは顔とセットだと思う。例えば表情によって話の性質が変わったり、一人で文章を打っている時もその内容によって、怒っている文章の時は怒っている顔で書いたりするし、朗らかな話の時は、気づかぬうちに少しマヌケな顔をして打っていたりする。そして顔は技術の側にいたり、話は個人史の側にいたりする。その距離は離れたり近づいたりしている。そしてこの二つが互いに近づいている瞬間が自分は美しいと思う。