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Let It Be - The Beatles にまつわる話

ビートルズのアルバムについて、それにまつわる話を書くっていうテキストのシリーズです。


Let It Be にまつわる話 

Abbey Roadのテキストでも書いた通り、let It Beは最後にリリースされたビートルズのアルバムですが、録音されたのはAbbey Roadより前です。

いい曲もあるけど正直パっとしないデキのアルバムですが、リアルタイム世代の人にとっては最後のアルバムっていう要素が足されて特別な感じ方があるのかもしれません。

このアルバムが結果的にリリースされることとなった「ゲット・バック・セッション」の頃のビートルズは、原点回帰でライブ・バンドをもう1回やろうみたいな動きだったようです。

ギターロックな曲が多くて、その辺は散漫なアルバムなのに割と人気が高い理由だと思います。

映画のLet It Beですが、映像ソフトが入手しづらいんです。日本ではビデオテープやレーザーディスクなどで発売されたものの正式に許可を得てなかったってことで発売中止になり、それ以来ずっと入手困難です。

ディズニープラスで独占配信してるらしいですが、そこまでもったいぶる理由を知りたいです。普通にDVDとかブルーレイを売れよと。

私は見るのに苦労したってことはなかったです。学生の頃に友達がVHSで持ってたんで、何だかんだで今パソコンのハードディスクに動画ファイルとして入ってます。画質はひどいもんですが。

解散間際の最悪なセッションの様子が生々しく見られるドキュメントで、大人が仕事場で喧嘩する映像という何とも言えないものを見せられちゃいます。

アルバムのレット・イット・ビーでフィル・スペクターに切られちゃってるところとかも聴けるんで、アルバムの方を何度も聴いてる人にとってはけっこう楽しいところも多いです。

個別の曲にまつわる話

Dig A Pony

屋上ライブの音源ですが、冒頭のAll I want is youのところが思いっきりカットされちゃってます。でも、個人的にはカットして正解だと思います。スッキリしてて良くなってます。

ジョン・レノン、ポール・マッカートニーのデュエットはさすがって感じですが、気合が入ってない時期ってことで初期のデュエット(ハモり)曲と比べるとビシっと決まってる感がちょっと薄いです。この2人は気合入れると超すごいですから。

ジョージ・ハリスンのソリッドな感じのギターがとても良いです。ロック・ギターの教科書の1ページにしたいくらい。私もこの曲のギターにはすごく影響を受けていて、自分の曲にオブリをつける場合はDig A Pony風な感じになることが多いです。

I Me Mine

これは映画の方で観て聴いた方が面白いです。イントロの前にフラメンコみたいなジャンジャガジャランが入ってたり。ジョン・レノンは踊ってるだけで演奏に参加してないのはアルバムの音源でも実際にそのとおりで、ギターは全部ジョージが弾いてるようです。

サビの直前のクリシェのところのコード進行は(多分)Am、AmM7、Am7、D9、FM7って感じで、これって割とお約束の進行です。音楽理論的な語り方はできませんけど、覚えとくとけっこう使える進行です。

Dig It

アルバムだと1分未満でカットされちゃってますが、映画の方を見るとわかる通り延々ジャムっていう即興演奏です。けっこう見応えのある演奏です。っていうかこんな短く切るんだったらアルバムに入れる必要はなかったのにって思います。

この曲は映画の方で楽しむ曲です。レノンは顔アップが多くてあんまり手元が映らないんですが、ちょっとだけ映るのが6弦のベースをギターみたいにかきならしてるところ。すごい楽器の使い方です。

Let It Be

アルバム版とシングル版(Past Mastersに入ってるやつ)の違いで一番ハッキリわかるのが間奏のギターなんですが、アルバムの方は歪みのキツい荒々しい感じ、シングルの方はコーラスのかかった柔らかい感じ。

なんですがよーく聴くとそれぞれのギターが同時に鳴っています。ツイン・リードみたいなもんなですが、アルバム版とシングル版で音量バランスが違うっていう。

音量バランスっていうより、アルバム版だとコーラスのかかったギターがホンのちょっとだけ聞こえて、シングル版だとその逆っていう。どういう意図があってこんなことしたんだろう。消し忘れたというには聞こえすぎるし。

I've Got A Feeling

まさにライブ・バンドへの回帰、その象徴的な曲です。同じ伴奏に乗せてマッカートニーとレノンで別々の歌を歌うっていうのが実にカッコいいんですが、対位法とか言うらしいです。最初、エロい言葉かと思いました。

対位法じゃなくてマッカートニーの歌にレノンが下でハモリをつけてる部分、これが絶妙です。仲が悪い時期でもコーラス・ワークは抜群です。

ギターも冴えてますけど、ジョージに対してマッカートニーがギターの弾き方について「もっとゆっくり下げろ」と執拗に要求するシーン、これはうざい!ジョージがキレるのも無理はないです。

ただ、マッカートニーはビートルズを何とか再生させたい一心だったのかな。彼はバンドでやりたいタイプなんだと思います。

だからビートルズ以降も、ウイングスはもちろんのことソロ名義でも割と固定したバンドメンバーでやることが多いんだと思います。

One After 909

レノン=マッカートニーがそうとう若い頃に作った曲ですが、公式曲としてリリースされてるのはこのバージョンだけです。

若い頃にも録音はしてるんですけどお蔵になってます。確かにパっとしないんです。このアルバムのバージョンの方が断然良いアレンジになってます。ただ、演奏が粗いにもほどがあります。いい曲だし、ちゃんと録音したやつを聴きたかったなあ。

ちなみにお蔵入りバージョンはAnthologyで聴けますけど、Anthologyが発売される前から海賊版で出回ってました。

ビートルズはデッカ・オーディションの音源とかスタークラブのライブ音源とか、昔は海賊版が出まくってました。

中高生の頃、レンタルレコード屋でレンタル落ちの海賊版を買っては聴いてましたが、ジャケットがちゃんと写真だったり印刷されてるレコードの他に、コピー用紙みたいな紙で粗悪な白黒写真とか曲名が印刷されたヤツが挟んであるだけみたいなレコードもけっこうありました。

For You Blue

スライド・ギターの名手のジョージですが、この曲のスライドは面白い音ではあるけどあんまり効果的に使われてるとは思えないです。多分オープンD7のチューニングで弾いてると思います。

ものすごい単純な3コードの曲ですが、Status Quoみたいなブギー・サウンドで演奏したら楽しいしカッコ良くなりそうです。バンドやってる人はハード・ブギーでカバーしてみたらいかが?

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