Magical Mystery Tour - The Beatles にまつわる話
ビートルズのアルバムにまつわる話を書いていくテキストのシリーズです。
Magical Mystery Tour にまつわる話
私が中学生時分にStrawberry Fields Foreverを聴きたくて、初めて買ったビートルズのCDがMagical Mystery Tourです。
買った当時は音楽はほとんどカセットテープで聴いてたので、CDっていうもの自体数枚しか持ってなかったのでこればっかり聴いてたっていう印象です。
後になって知ったのですが、東芝EMIから出たそのCDはアメリカ版準拠のもので、イギリスではEP2枚組っていう謎の形態でリリースされたらしいです。収録曲も違ったのかな?
テレビ映画のサウンド・トラック的なものですから、他のオリジナル・アルバムとはちょっと立ち位置が違う作品ですが、そんなことは知らない私は普通のビートルズのCDとして聴いてましたし、今でもそうです。
映画の方は、私にビートルズを教えてくれた当時の友達がレーザーディスク(若い人は知らないかな)で持ってたので、VHSにダビングしてもらってこちらも、こればっかり観てたって感じで繰り返し観ました。
今はそのVHSは手元にないし、あってもデッキがないんで観られないんですけど、動画サイトに上がってるのをさっき観たら、オープニングのMagical Mystery Tourのイントロに合わせてロゴがドーンと飛び出てくるところ、普通のCDと同じ音で入ってました。
というのは、当時私がVHSで観てたやつだと、ポール・マッカートニーのRoll up , Roll up~っていう早口のセリフのところ、別の音声になってて最後にHurry , Hurryみたいな声が入ってたんです。バージョンが2通り以上あるってことですね。
動くビートルズを見るっていう点で中学生当時の私にとっては貴重なものではありましたけど、映画の内容としては面白くもなんともないです。映画って言えるのかっていうくらい。
最初にリンゴ・スターと太ったおばさんの小芝居があって、ここはちゃんと台本通りにやってる感じなんで、何か物語が始まる感がありますけど、何にも始まらないです。
ビートルズと(多分)当時のイギリスのタレント一行がバスに乗って出かけて、適当にカメラ回して撮ったのをつなげただけみたいな感じで、ビートルズの曲が出てくるところ以外は退屈極まりない映画です。
個別の曲にまつわる話
Magical Mystery Tour
さっきも書いたけど、中学生の時に観たレーザーディスクでは冒頭のセリフが違うものに差し替わってました。ビデオが複数バージョンあるってことなんだと思います。
映画版の音声、CDの音源には当然入ってない間奏部分の「マジカル・ミステリー・ツアーのチケットを買うと~」みたいなくだり、映画のオープニングのワクワク感を盛り上げるにはとてもいい感じです。でも、ワクワク感を返してくれということに(笑)。
Fool On The Hill
間奏以降出てくるリコーダー、この音色は日本人には本当に馴染みが深いものです。小学校で習う楽器だから。今の小学生も縦笛習うのかな?
私はこの縦笛が大好きで、音楽の授業中以外でもずっと吹いてました。下校中も歩きながら吹いてました。歌謡曲とか、ファミコンの音楽とかを耳コピーならぬ記憶からのコピーで吹いてました。
それにしても今思うとなかなか渋い楽器ですよね、縦笛って。吹く強さとか舌のタンギングの具合で音色の表情がずいぶん変わるし、穴を両手の指で塞いでそのパターンで音程を変えるっていうところもアツいです。
しかも穴を半分だけ開ける押さえ方とか、小学生にとっては難しいだろうし、楽器好きの大人にとっては燃える要素でもあります。
ビートルズの曲と関係ない話じゃないかって?「まつわる話」っていうのはこういうことなんです。
Flying
歌が変なコーラスみたいなラララ~しか入ってないインストゥルメンタルで、ビートルズの曲では唯一ですね。
映画では空撮みたいな映像にサイケな色の処理がかかった場面でかかる曲なんですが、曲としては案外気持ちよく聴けます。
ドラムがリンゴらしくて、それを聴いただけでもし曲を知らなくてもビートルズの曲なのかな?ってわかりそうなくらいリンゴ節。
丸っこい音色のリード・ギターのオブリも心地よいです。フルアコのエレキっぽい音なのでカジノを使ったのかな?なんて思います。
Blue Jay Way
ジョージ・ハリスンの怪しい雰囲気の曲ですが、映画の映像もとても怪しいもので、ミュージック・ビデオとしてはこの曲のシーンが一番良いです。
オルガンの回転スピーカーみたいな音とか、ボーカルにかかったエフェクト、ドラムにまでフランジっぽいエフェクトがかかってるっていうのが斬新に感じます。
Your Mother Should Know
いかにもマッカートニーらしい、ちょっとロックからは離れた感じのボードビルのミュージカルみたいな曲なんですが、映画のラストシーンでかかる曲です。
Sgt.Pepper'sからこのMagical Mystery Tourにかけて、当時は「ポール死亡説」が話題になったようですが、面白くもなんともないくだらない話だと思います。映画のこの曲のシーンで、マッカートニーだけ黒い花を胸につけてるみたいな話。
ビートルズにまつわる話として「ポール死亡説」と「バーナード・パーディ」を持ち出す人とは距離を置くようにしています。
I Am The Walrus
何度かしろうとバンドで演奏したことがあって、歌を歌った時は歌詞も覚えたんですが、英語がしゃべれない私でもナンセンスな歌詞だなとわかるくらいめちゃくちゃです。
めちゃくちゃだけと口に気持ちのいい言葉の羅列っていう感じ。Mister city policeman sitting Pretty little policemen in a row.とか、言葉の意味はわからんがとにかくすごい自信だ。
Strawberry Fields Forever
アルバム後半の曲は映画で使われてる曲じゃなくてこの時期に出たシングルを集めたものらしいです。この曲の映像はアンソロジーで初めて見たような気がします。
最初に書きましたけど、この曲を聴きたくて中学生としては決死の覚悟で3000円という大金を投入してこのアルバムを買ったんです。英語の先生がカセットに録ったこの曲を授業の時に聴かせてくれて、曲名を覚えてレコード屋に走ったんです。
イントロのフレーズは木管楽器の合奏と思いきやメロトロンっていう楽器で演奏してるっていうのは有名な話ですが、メロトロンという楽器が激アツにも程がある楽器です。
テープ式のサンプリング楽器で、鍵盤を押すとそれぞれの鍵盤に対応したテープが再生されて、鍵盤を離すとテープがシュッっと巻き戻るっていう仕組みのアナログ・サンプリング・キーボード。これを作ろうと思った人は、何かキマっちゃってたとしか思えません。
テープには楽器の音以外にもパーカッションのリズムだったり、長押しするだけでギターとかのフレーズが流れるようなものもあったみたいです。ホワイト・アルバムのBungalow Billの冒頭のスパニッシュ・ギターもメロトロンのプリセット(?)音ですってよ。
テープが進んだりシュルっと戻ったりする様子が見られる貴重な動画がYouTubeにありました。
マッカートニーがメロトロンで遊んでる動画がこれで、けっこう最近の動画ですね。70年代とか昔だったらマッカートニーはカメラの前でStrawberry Filedsは歌わないと思います。
Baby You're A Rich Man
イントロから聞こえるバグパイプの音、やっぱりイギリス人はバグパイプに馴染みがあるから使用したんだと思ってたら、シンセサイザーで作った音だって。なーんだと思いました。
何か変な感じの曲ですけど、ドラム、ベース、エレクトリック・ギター、ピアノが中心の割とオーソドックスなロック編成で演奏されています。やったことないけど、ちょっと演奏してみたくなる曲です。
歪んだギターのザッザカザッザカみたいな刻みっぽいリフとか、ちょっと弾いてみたくなります。
ミック・ジャガーが参加してるってことですが、よく聴いてみましたけどサビのコーラスで参加してるみたいです。1分35秒過ぎあたりとか、エンディングのところでミックの声が聞こえるような聞こえないような。
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