セ・リーグ指名打者制導入議論から見えた意外な構造
noteでは初めて野球の話を書きます。
プロ野球のセ・リーグにも指名打者制(DH制)を導入してはどうかという議論が出てきています。私としてはやっとかという感じがします。というのは、私はずっと前からセ・リーグも指名打者制を導入すればいいのにと思っていたクチなんです。
私のセ・リーグ指名打者制賛成の理由は特に目新しいものではなく、導入によって全チームの打力が上がる、それによって投手が鍛えられる、リーグのレベルが上がって野球が面白くなるということです。
補足すると、打つ気がない投手が多すぎて、投手の打順になるとチャンスであろうとなかろうと興ざめしてしまうケースがあまりに多いというところも大きいです。
投手交代や代打策の面白さ、投手がヒットやホームランを打つ意外性という部分が導入反対派の意見の主なところですが、私としては導入しないメリットよりも導入するメリットの方が何倍も大きいと感じます。
リーグ間の実力差も、交流戦の通算成績や近年の日本シリーズでのセ・リーグの惨敗を見て分かる通り深刻であり、指名打者制の有無が原因としてどのくらいの比重を持つかは別として、打てる手は打つべきだとも思います。
・・・というような議論はさんざんこすられていますし、ここまで書いといて何ですが今さらここで議論を展開する必要はありません。
ここで言いたいのは、プロ野球界でのここまでの議論の流れに気になるところがあるということです。つまり、原辰徳監督の発言に端を発し、それ以来巨人は導入賛成派、それに対して他の5球団が反対しているという流れです。
これは私としてはちょっと意外です。巨人は保守的な球団だと思っていたのですが、指名打者制の議論を見ると実はセ・リーグで最も革新的で柔軟な考えを持っているのが巨人だということが見えてきました。別の言い方をすれば他の5球団は実に保守的だということです。いままでのイメージと逆です。
さらにびっくりしたのは、緊急事態宣言の延長によって外国人選手が来日できないこともあって、巨人以外の球団から日本人選手限定の指名打者制にしたらどうかという意見が出ていたという話です。ちょっとこれは理解に苦しみます。現行の外国人枠ですら前時代的で差別的なのに。
巨人以外の球団は、戦力があって打てる選手が多い巨人がますます有利になってズルいみたいな幼稚でダサいことを考えているんじゃないか、そんなことを感じてしまうほどです。
全ての流れを正確に把握しているわけではありませんが、ここまでを見た印象では、巨人はパ・リーグとのレベル差を深刻に考えてなにか手を打ちたいと考えており、それに対して他5球団は波風立てずに今まで通りやっていこうよと反対しているように見えます。私が今まで持っていたイメージと逆で、そこに驚いています。
指名打者制の導入のアリナシというレベルの話じゃなくて、問題があることはハッキリしているんだから改善のため何かをしようという姿勢が見える唯一のセ・リーグ球団が巨人というのが意外だという話です。
そういう姿勢についてもセ・リーグはパ・リーグに大きく差をつけられているように思います。このまま唯一革新的な巨人が他5球団に足を引っ張られ続けるようだと、とセ・リーグは本当に二部リーグみたいになっちゃいそうで心配ですよ。