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ファミコンのコントローラーの話
アーケード・ビデオゲームに始まってファミコン、スーパーファミコン、その後の次世代ゲーム機と呼ばれたもの、思えば子どもの頃から人並み以上にテレビゲームが好きだった私です。
最近はとんとゲームをやらなくなりましたが、ゲームが嫌いになったわけではありません。ド近眼でしかも老眼ってことで自分のハード面の問題でゲームをやるには負荷が大きすぎて慢性的に自分が処理落ちみたいな具合なんです。
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ファミコンが登場した時は誇張抜きで度肝を抜かれたものです。
ファミコン登場前にも家庭用ビデオゲームっていうのは存在したんです。野球ゲームとかテニスとか、1個のゲーム専用のある意味贅沢なゲーム機だったり、ファミコンより性能的に数段劣るカセットビジョンっていうゲーム機とか。
それらに比べるとファミコンは色鮮やかな画面と超なめらかなキャラクターの動き、それらを活かしたゲーム性がすごかったんです。家で遊ぶゲームなのにほとんどゲームセンターのゲームのクオリティと変わらないと感じました。
我が家にファミコンがやってきたのは私が小学校6年生の時、1985年のことです。カセットはマリオブラザーズ(スーパーマリオにあらず)、エキサイトバイクの2個だけでしたが、そりゃもう狂ったように遊んでいました。
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これは当時のファミっ子たちは誰しも経験したことでしょうが、あんまり遊びすぎてコントローラーのボタンが馬鹿になってしまうっていう深刻な事態が発生しました。
初期型のファミコンはABボタンがゴム製(通称四角ボタン)で、押したボタンが戻ってこなくなるっていう事例があったんですが、我が家にあった新型ファミコンはプラスチックボタン(通称丸ボタン)でした。
しかし丸ボタンでも四角ボタンの事例よりももっとタチの悪い原因でボタンが戻らなくなるということがありました。ボタンの内側の基盤との接点がついてるゴムのフチが切れてしまうんです。
こうなるともうどうやってもアウト。四角ボタンの場合は戻らなくなったボタンをどうにか引っ張り出せば復旧できたんですが、丸ボタンの場合はもう駄目なんです。
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そうなるともうゲームがプレイできませんから、なんとかせねばなりません。新しくファミコンを買い直すなんてのは無理な話ですから、コントローラーだけを買って付け替えて凌いだものです。
最近のゲーム機みたいにワイヤレスだったりコネクタに接続みたいなことじゃなくて、ファミコン本体を分解して付け替えるんです。ただその後、そうして付け替えたコントローラーも全く同じ部分が破損してオシャカになってしまいました。予想はされていたことですけども。
今度はコントローラーの付け替えじゃなくて、拡張ポートに接続して使えるジョイスティックを購入しました。私が選んだのはジョイボールという、今となっては知る人ぞ知る名機(迷機)です。
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レバー部分が球状になっているんですが、トラックボールなわけじゃなくって単に丸い形のレバーです。箱には長時間操作しても疲れなくて操作しやすいみたいな売り文句が書かれてましたが、正直言って操作性は悪かったです。
いつしかABボタンはジョイボールのボタンを使って、十字ボタンは本体のコントローラーのものを使うっていうよくわからないことになってました。
ジョイボールにはもうひとつ売りがあって、私が知る限りファミコンのジョイスティック史上初(多分)の連射機能付きだったんです。連射スイッチをオンにするとボタンを押しっぱなしにするだけで1秒間に15連射!
連射と言えば高橋名人ですが、彼がよく使っていたと見受けるのがハドソンのスティックです。
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これの存在は知っていましたが、スティック型レバーっていうのがちょっと操作性の面で印象が悪かったんです。なぜなら、セガのSG1000のコントローラーの最悪の操作性が刷り込まれていたから。実際にハドソンスティックを使ったことはありませんでしたけども。
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話を戻して、左手で普通のコントローラーの十字ボタンを操作、右手でジョイボールのABボタンっていうおかしなやり方をしていた期間を経て、革新的なジョイスティックに出会いました。これは衝撃的でした。
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ジョイカードマーク2、これは素晴らしかった。やや大ぶりながらもほとんど純正のファミコンコントローラーと変わらないデザインと操作性、ABボタン独立してついている連射機能オン・オフ・スイッチ、しかも連射性能はジョイボールを上回る、高橋名人と同等の1秒16発。
これはもうファミコンのジョイスティックとしては決定版と言っていいものでした。
実際どのくらい売れたのかは知りませんけど、これを持ってないヤツの方が珍しいくらいみんな買ってました。ファミコンの純正コントローラーのゴムの切れやすさ、連射系のシューティングゲームの流行といった原因が複合したこともあって、超大ヒット商品だったと思われます。
そう言えば、ジョイカードマーク2と言えばって感じで思い出が繋がるように連想されるのが謎のおもちゃのシュウォッチです。
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今どきのヤングメェンはこれが何なのかわからないかもしれませんが、お父上にでも聞いてくれたまえ。
何が面白かったのかわからないというか、別に当時としても面白くはなかったんですが、なんかみんなやってました。私は持ってはいなかったですけど。
こんな謎のおもちゃでも遊べちゃうっていう娯楽の飢餓状態の時代がむしろ幸せなのか、ゲーム機だスマホだっつって色んなゲームがいつでもどこでも遊べる現代が幸せなのかは何とも言えませんが、現代のゲームはファミコン現役世代の我々でも遊べますから、両方経験できた我々はある意味トクしてる気がしないでもないです。