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Rubber Soul - The Beatles にまつわる話

ビートルズのアルバムについて、それにまつわる話を書いていこうというテキストのシリーズです。


Rubber Soul にまつわる話

靴のゴム底のRubber Soleに引っ掛けてゴム魂っていうダジャレみたいなアルバム・タイトルはとりあえず置いといて、ちょっとアートっぽいジャケット写真とか、演奏や歌のハーモニーがものすごく凝ってるとか、前作のHelp!までとガラっと雰囲気が変わったアルバムです。4人の才能が爆発しています。

Help!の変な邦題(4人はアイドル)の次のアルバムがコレで、アイドルバンドのイメージがまったくなくなって、当時リアルタイムで追ってたファンの人はさぞ面食らったことでしょう。

ちなみにこのアルバムから、カバー曲がアルバムに入ることがなくなっています。

私は中学生の頃にビートルズを聴き始めたんですが、オリジナル・アルバムを全部聴く前に武道館公演のビデオを見ました。

その曲目の中でNowhere Manの3声ハーモニーを気に入って、Nowhere Manが収録されているこのRubber Soulのレコードを持ってる友達に頼んでカセットにダビングしてもらいました。

ビックリしました。武道館公演のルーズな演奏とハーモニーとまったく違って、スタジオ版の方はとてつもない重厚なハーモニー。分厚い声のカタマリみたいで、衝撃を受けました。今でもそうとう好きな曲です。

個別の曲にまつわる話

Drive My Car

それにしても真っ黒な曲です。She's A Woman以来の黒さです。

バンドとかでカバーしたことある人はわかると思いますが、イントロのところ、ドラムの入るタイミングがちょっとアレ?って感じ。これはギターが実は裏から入ってるっていうだけで、割とよくあるトリッキーなパターンなんですけど使い方がうまいです。

15年ほど前にやってたトリオバンドでカバーしたこともあって、ライブで演奏したこともあるんですが、この曲の歌のハーモニーはすごい。っていうか音程取れないです。よくぞライブでやったものです。できてなかったけど。

Aメロのところは黒さはともかく音程は取れるんですが、問題はその次のBut you can do something in betweenのところ。

ちょっと異常な3声コーラスです。それぞれの音程を聴き取ることすら至難。耳の良いベーシストに聴き取ってもらって正解がわかったんですが、音程はわかっても演奏しながらハモるのが厳しすぎます。

ピアノの音で入れてあるのがその問題のハーモニーです。

音程は高い方から順に、G・F・Cとなっています。コードはA7ですから一番の上のGはわかる。セブンスの音で、黒っぽい感じを出すためにはそりゃ一番上はGで当たり前。

ただ、私みたいな凡人はA7なんだからGの下はC#・Aと重ねてしまうと思うんです。なんですかF・Cって。歌いにくいったらありゃしない。でも、これによってあの緊張感のあるハモリになってるっていうすごい部分なんです。

黒くてブルージーな曲ですが、ドラムとカウベルとタンバリンで実に軽快なノリを出していて黒いのに爽やかさすらある感じ。見事だと思います。

ベースとほぼユニゾンのリード・ギター、ブギーっぽいフレーズをサラっと入れてるピアノとか、アンサンブル的に完璧。つかみの1曲として素晴らしです。

You Won't See Me

バンドで演奏したことはないんですが、MTRを使ってひとりで録音したことはあります。歌のハモリも簡単だし、メインのところをダブルトラックにすれば割と感じ出るので、録音して遊ぶには楽しい曲でした。

ドラムはずっとちょっと変わったフレーズで叩いています。ハイハットのチキチキがユニーク。録音するときこれの入力がたいへん面倒だった記憶があります。タムを下から上へ叩くっていうのもリンゴ・スターがたまにやるちょっと変なプレイですけど、聴いてる分には違和感はないです。

Nowhere Man

先に書いたとおり、この曲の武道館バージョンを聴いたっていうのが私のビートルズ原体験のひとつです。そしてこのスタジオ版のハーモニーのすさまじさ。

昔読んだなにかで、ジョン・レノンのひとりオーバーダビングによる3声コーラスみたいな文章を見たことがあるんですが、どう聴いてもレノンひとりの声じゃないです。

ポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンの声も絶対入ってるし、ジョージの声なんてけっこう目立つくらいです。誰がいつ書いたんだろう。

コーラス曲として素晴らしいんで、しろうとバンドでもカバーして演奏しているのをよく見かけますが、そうとうな歌うまなバンドでもあんまり良い感じになってるのを聴いたことがないです。

そうとううまくやっても、ビートルズのバージョンがすごすぎてハードル上がっちゃうっていうのが実際のところだと思います。

しろうとバンドと言えば、間奏のギターの最後のポーンっていうハーモニクスをきれいに成功させてるのも見たことがないです。あれのライブ一発勝負は確かに緊張するし難しいだろうなあ。

メロディアスなフレーズで上がったり下がったり自由自在なベースも楽しい聴きどころのひとつで、マッカートニーはこういうのお手のモノって感じ。これ以前のビートルズの曲でも、後々のウイングスとかでも自在にベースを歌わせています。

Think For Yourself

ジョージの才能がついに爆発したような曲です。裏へ裏へ入る歌いっぷりもいかにもジョージらしいです。

印象的なファズベースは普通のベースとユニゾンのところと、ギターで低音のフレーズを入れるのと同じような役割の部分があります。バンドで演奏する場合ギターで弾いても感じ出るかもですけど、やっぱり独特なんでベースにファズを繋いで弾くのがベストかなあ。

コーラスが重厚ですけど、サビの後半の上のパートとかかなり音程が怪しいです。でも普通に聴いてる分には別に変な感じはしないです。

The Word

これはカッコいいですねえ。ビートルズ史上でも屈指のカッコいい曲です。

トリオバンドでカバー演奏したことがあります。その時のメンバーのベーシストは歌いながらベースを弾くという部分においてちょっとしろうと離れしたヤツだったんで演奏できましたが、このハネまくりベースを弾きながら歌うって大変だろうなと思います。

歌のハーモニー自体はそこまで音程を取るのが大変ってことはないです。ただ、ずっと音の長いコーラスを続けますから、途中のIn the beggining~とかのところ、けっこうコーラスで疲れたノドで歌うのがしんどかったです。

Michelle

なんてオシャレな曲なんでしょう。アコースティック・ギターの音のイメージが強くて、ひとりで弾き語りなんかできたらモテモテになれることでしょう。

でも原曲はバンド・アンサンブルの素晴らしさが、ひとりで演奏するにはもったいないくらいです。でも、バンドでカバーしたことはありません。ずっと入ってる重厚なコーラスも超大変そうだし、チャレンジする気にもなれません。

What Goes On

マッカートニー=スターキーっていうクレジットになってる曲で、一応リンゴ・スターが作曲者として公式に世に出た最初の曲です。

リンゴがカントリーっぽい歌を歌うっていうのはビートルズのアルバムではお約束になってるんですが、それらの曲の中で一番好きです。

バックコーラスもきれいだし、ギャッっていう感じの音色のギターも良い。

In My Life

20代そこそこで故郷の情景をしっとり歌い上げるみたいな感じ、私が20代の頃にはなかったです。初めて聴いたのはこのアルバムより先に聴いた、ジョン・レノン・イマジンっていう映画のサウンド・トラックに入ってたやつでした。

間奏の回転数操作をされたピアノ、1オクターブ下でゆっくり弾いてそれを倍速にしたらしいんですが、ちょっと変というか独特の音になってますし、最後のところの超高速フレーズはさすがに人間業じゃなくなってます。

しろうとバンドでカバーしてるのを聴いたことがありますが、その部分はさすがに忠実にコピーするのは大変だったようでグリッサンドでやってました。そりゃそうか。

If I Needed Someone

これも最初に聴いたのは武道館公演のビデオでした。武道館ではテンポゆっくりで演奏もルーズ、正直そんなに好きにならなかったんですが、このスタジオ版を聴いたら全然違うじゃないですか。そのギャップもあって大好きな曲に昇格しました。

ホリーズがカバーしたのをジョージが聴いて「ダメだこりゃ」と言ったとかなんとか。いや、別にホリーズのやつも悪くないと思うんですけど。ジョージ的にはそれだけ自信作だったってことかなあ。

ビートルズにおける12弦ギターの使用はこの曲が最後となりました。ちょこっと入ってる曲はこの後にも出てくるかもですけど、12弦ギターフィーチャーみたいな曲はこれが最後。

ジョージが歌う曲で12弦がチャラチャラ鳴ってるっていう曲はこの曲だけって今気づきました。

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