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今と昔の音楽への触れ方、良し悪し色々あらあなっていう話

こないだ、音楽バーのカウンターでその日たまたま隣に座った20代の若者と話して、音楽への触れ方が時代とともにものすごく変わっているということを痛感しました。

私なんぞは人生後半戦にさしかかっている昭和人間ですから、テレビで音楽に触れるという機会が今と比べ物にならないほど多かったわけです。

歌番組っていうのがテレビの中でメインを張ってたっていうのが大きいです。

「ベストテン」「トップテン」「夜ヒット」は昭和のお茶の間では子供から大人までみんな見てたみたいな定番の番組で、そういう番組があったことでロック・ポップスから演歌、歌謡曲まで自然と耳に、体に入ってきたものです。

オールジャンルのスターが一同に介する、今思えば贅沢なものでした。贅沢と言えば、生バンドの演奏でレコード版と違ったアレンジでスターの歌が聞けるっていうところもまた。

歌番組以外でも、ドラマで登場人物が突然歌い出すなんてこともよくありました。ストーリーに特に関係なくても、ドラマの中にそういうコーナーがあるみたいな感じで。

当時は言うまでもなくYouTubeだの音楽サブスクなんてものはなかったんですが、歌番組の充実によって名曲が常に世に送り出されていたわけで、聴くだけでその時代を思い起こさせるヒット曲が常に身近にあったんです。

そんな話をバーで若者に話したら、今は自分から堀りにいかないとなかなか好きな音楽に出会うことができないと言ってました。

ですから、音楽を聴くことを積極的に趣味としている人意外は、音楽に触れる機会がものすごく少なくって、聴く耳も肥えてこないからますます聴かなくなっちゃうみたいなことがありそうです。

そういった意味では我々の世代は恵まれていたと思うと同時に、新たに好きな音楽を探して掘るという意味では今の方がずっと環境が充実しているとも思いました。

だって、YouTubeでもなんでもネットでちょっと検索すれば簡単に色んな音楽を試聴できちゃいますし、サブスクを利用すれば膨大な数の音楽の中から自分の好きなヤツを探せますから。それもビックリするほど安価に。

我々の頃だったら試聴したかったらタワーレコードとかへ足を運んで、みたいなことをしてたんですから。

いや、外資系レコード屋が入ってくるより前の時代は、レコード屋に行っても試聴すらできないから、カンでジャケ買いしてみるとか、前もって雑誌や口コミで情報を仕入れて買いに行くとか、レンタルレコードで色々借りてみて試すとか、けっこう大変でした。

ラジオとかで「あ、この曲いいな」と思っても曲名も歌手名もわからず、結局その曲と再び巡り合うことはなかった・・・なんて展開も。売れてない良い曲は一生聴けないみたいな。

つまり、昔は音楽を趣味として主軸に置いているような人だろうと、そうでもない人だろうと、みんな平均的に色んな音楽に触れる機会は多かったものの、深掘りして音楽にハマっていうにはハードルが高かった。

それに対して今は、音楽を日常的に聴く量は平均的には少ないものの、ガッツリ掘って聴こうというような人はいくらでもその機会は得られるっていう違いがあるってことです。

どっちが良いとか悪いとかじゃなくて、時代によって変わったという話です。

確実に言えることは、音楽好きな人にとってはいくらでも好きな曲を探せる環境があるっていうのは最高だってことです。

こういった昭和と令和の違いっていうのは、テレビから音楽を浴びるか、ネットから取ってくるかっていう行動様式の違いから生まれており、これから先テレビはどんどん衰退するでしょうし、ネットの音楽サービスはどんどん発展するでしょうから、ますます変わっていくと思います。

聴く人もものすごくディープに掘って聴きまくるようになり、そうでない人は音楽に触れる機会自体が非常に限定されるようになると思います。

今現在、既に感じているのは、私の場合は音楽を通じて知り合った知り合いも多いのでそういう場合別として、そうでない知り合いとのコミュニケーションの場では、世間話として音楽の話をする機会はずいぶん減ったなと感じています。

昔だったら誰とでも「昨日のベストテンのジュリーの新曲聴いた?」みたいな話は当たり前にしてましたが、そういう感じはもうなくなってます。

そもそも歌謡曲なんていうのは、そのジャンルというか文化自体がほとんどなくなってしまっているようにすら感じます。

そういったこと全部ひっくるめた、時代による変化は個人的には不都合はありませんし環境が充実して実に良いのですが、少し寂しくなった部分はなきにしもあらず、です。

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