−常磐色− 国道6号線
幹線道路で結ばれる地域同士の一体感みたいなのがある気がしている。
東京でいえば、246。環七。環八。
こないだ「マツコの知らない世界」で、「国道16号の世界」もやってたな。
それから、東海なら国道1号、山陽は国道2号。
近所を走る幹線道路をよその地域でも見つけたらなんとなく親近感を持つのは、ぼくだけじゃないと思う。
福島県浜通りの人にとって、そんな幹線道路は「国道6号」のようだ。
相馬に行った時、地元の人たちの会話に、「6号線」というワードが時々出てきたのを覚えている。
まだJR常磐線が全線復旧していなかった2019年。富岡駅と浪江駅の間を、代行バスが走っていた。ぼくはその代行バスに乗った。
バスは、帰還困難区域を走る。
鬱蒼と茂った木々。民家の入り口のバリケード。あの日のまま、乱れたお店の陳列。
何がどう悲しいのか、悔しいのか、よそ者であるぼくには言葉にできないし安易にしたくもないから、ここには書かない。
ともかく、国道6号は、浜通りを結ぶ国道だった。
それから約2年が過ぎた。
ぼくは久々に会う友人と、浅草のカフェでお茶をした。
その帰り道、浅草駅に向かう途中に気づいた。
吾妻橋の交差点にある、「国道6号」の看板に。
つながっているのだ。浅草と、浜通りは。
この、観光客であふれ、車が行き交い、多くの鉄道路線が乗り入れる浅草は、
あの浜通りと、つながっている。
ひとごとではないのだ。ぼくらは、つながっているんだ。
3月になれば、思い出すかもしれない。
でも、日々のふとした瞬間に、そっと思いをはせてみるのはどうかな。
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【常磐色】ときわいろ
常緑樹の葉の色。「常磐」は、常に変わらないこと。
おだやかな日常がみんなに訪れますように。
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