見出し画像

−蒲公英色− 東京大学教養英語読本

市井の本屋さんで、たまに見ませんか?
「東大生にいちばん読まれている本!」
みたいなPOP。

実際のところ、東大生がいちばん読んでいる本はこれじゃないかなと思う。
その名も「東京大学教養英語読本」。

東大1年生の必修科目、「英語一列」のテキスト。
東大生なら誰しもが受講する科目で、いかに本文の内容を覚えてから試験に臨むかで結果が決まるといわれることから、「暗記一列」と呼ばれているとかいないとか。

だから、全東大生が、一度は血眼になって読んだことがあるはずである。


今は「東京大学教養英語読本」という身も蓋もないネーミングだが、一昔前は「The Universe of English」という小洒落た名前だった。

通称「Universe」というそれを、ぼくは高校3年生の時に読んだことがある。


高校生の頃のぼくは英語が得意だった。
英語の先生をして、「もうあなたに教えることはない」と言わしめるほどだった。

そんなぼくに、進路担当の先生が「読んでみたら?」と言って貸してくれたのが「Universe」。

今思えば、地方のイチ公立高校の教員が、なぜ東大教養学部の英語のテキストを持っていたのか非常に謎であるが、ともかく分厚いA4のテキストを渡された。


ぼくは受験勉強もそこそこに、Universeを貪るように読んだ。

どんな内容があったかは忘れてしまったれど、とにかく夢中になったことを覚えている。

当時、学校の英語の授業は簡単すぎてつまんなかったけれど、Universeの中には、ワクワクするような難しくて面白い英語が詰まっていた。
日本語ででも知らないアカデミックな世界を英語で切り開いていく興奮。

未知が詰まったその本は、まさに「Universe」だった。


そうして、Universeが愛読書だった高校3年生は無事東大生になり、東京大学教養英語読本と格闘して英語一列で優を取り、そして数年後東大を修了した。


Universeは、ぼくに学問の扉を開いてくれた本であり、学びの原点。


東大生の皆さん、2個上の先輩に東京大学教養英語読本を譲ってもらうのもいいですが、しっかり自分の力で勉強するときっと面白いよ。


ちなみに、そんなぼくの今の目標は、Goetheを原文で読むことです。


【蒲公英色】たんぽぽいろ
タンポポの花のような色。
「英」から。





いいなと思ったら応援しよう!