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営業マインド&スキルエンパワーメントストラテジー#01「営業のミッションが見えているか?」

営業職なら切っても切れないワードがある。
それが「目標」だ。

「目標」とは「具体的なある到達点」である。
おそらくほとんどの営業人(このダイバーシティの世の中、営業マン、と言わず営業人、と言うことにする)はその目標は「数字」として設定されているだろう。
その目標に到達すればプラス評価となるであろう。
目標を大きく超えたのであれば、当然大きなプラス評価を得られる。
反対に、目標への到達がかなわなければ、評価は上がらない、もしくはマイナスとなる。

通常、目標は「ある一定期間」で到達する・させるものだ。
そしてそのある一定期間が終わった時点で評価があり、「次の一定期間」の目標が設定される。
そのため、ほとんどの営業人は「目標達成の有無が評価の最大要因」として位置付けてしまう
結果、「目標」が最重点事項として頭の中身が占拠されてしまうことになる。

しかし、実は営業人が最重点事項として本当に頭に入れておかなければならないのは、
「ミッション」
である。

ピッタリとした例えが浮かばないのが残念だが、
例えばジョギングを例にしてみよう。
「さぁ、今日からジョギングをはじめるぞ」という気分になって欲しい。
「最近運動不足なので、いきなり5kmはムリがある。まず2kmで設定してみよう」、と考える。
そしていざ家を出て町を走り出す、と、やっぱりキツイ。
ただ、最初に決めた2kmは走り切りたい。そこで考える。
「次の電柱までがんばろう」、「次の電柱を超えられたら、次の電柱・・・」といったように。
ここでいう「次の電柱」は「目標」である。
つまり、「目に見える具体的なモノ・コト」である。
そして「なんとしても2km走り切る」というのが、そう、「ミッション」なのだ。

ここで誤解をうまないように、この例え話も正直ウマい例え話、というわけではない、ということを再度付け加えておく。
どういうことかというと、この2㎞を「ゴール」と勘違いしてほしくないのだ。
ミッションはあくまで「走り切ること」である。
つまり、目標の積み重ねがミッションの達成につながるのだが、
逆から考えると「ミッション」なしには「目標」は発生しないのである。

さて、例え話が長くなったが、ここで「営業におけるミッション」とは何なのか、を考えなくてはならない。

そこでもう一度最初の「営業の目標」に視点を戻してみる。
ここで自分に問うてほしい。
「何のための目標?」と。

「この四半期で売上2億円!」という目標、いったい何のためなのか?
普通に「何のため?」と問われると「会社の業績のため」という答えになるだろう。
実は、これが落とし穴なのである。

ジョギングの話のように。ミッションは「目標の連続」で達成になる。
ここでいう会社の業績は、複数の営業人の「目標の積み上げ」で構築される。
つまり、会社の業績は複数の営業人の目標をあつめた、やっぱり「目標」にすぎないのである。

では、業績とは違う「ミッション」とは何か。
営業人なら所属する企業の「商材(モノ・サービス)」を売るのが仕事である。
その商材がクライアントにとって「有益だから売れる」のが大原則であるのだから、
営業人のミッションは「商材」でクライアントに「利益・便益」を与えることなのである。

これは私の経験だが、ある本部長級マネージャーの発言が私にとって非常な金言となった。

「お前、『得意先の株価を上げてやろう』って思ったことあるか?

である。
株価、それはすなわち企業の「社会的価値」と言ってよい。
「どれだけ必要とされているか、どれだけ期待されているか」のポイント、と言えば陳腐ではあるが。
「企業の時価総額ランキング」など、ビジネスに関わる人間は当然目にしたことがあるだろう。

マネージャーは続けてこう言った。

そして、ウチの会社の株価を上げるにはどうしたらいいか。常に考えろ

マネージャーの真意はこうだ。
クライアントに有益なモノ・サービスを提供できれば、クライアント自身の商材もそのクライアントに対して価値あるものになる。
クライアントの価値が上がるモノ・サービスが提供できるのが我々であれば、我々はやはり価値のある存在となる。
「価値あるモノ・サービス」は多くのクライアントは放ってはおかない。その価値あるモノ・サービスを求めるようになる。
結果、我々の業績が上昇するのだ。
業績が上がったから株価が上がる、なんて初心者投資家みたいに考えるな。
業績のための業績目標なんて、小さいスケールで考えるんじゃねぇ。
といった具合だろう。
ちなみに、そのマネージャー、自社株を会社の積み立て制度で買っていた、という事実もあることはあるのだが。

つまり、営業のミッションは「価値の提供」なのである。
だからこそ、営業人は「わが社の商材」がどこの誰に、何の役にたつのか、を考えることができるようになる。
それにより、目標へのアプローチは変化する。
目標のためにせっせと思考停止して営業活動をするのではなく、
担当得意先の求める価値を考え、求めるものにフィットする商材を提案するようになる。
もしくはその商材がフィットする得意先を求めるようになる。

この「ミッションを持つ」という「マインド」を手に入れると、
おのずと提案したくなるのだ。
そしてその提案がフィットしなかったとしても、フィットするようにチューニングする努力を惜しまなくなる
つまり、営業活動、提案活動が楽しくなるのだ。

ここで得るスキルは、
営業活動を楽しくする、提案活動を楽しくする」という行動が発生するスキルである。

楽しくする、なんてそう簡単にできるものではない、という人もいるかもしれないが、
周りを見渡してほしい。優秀な営業人は、「なんだか楽しそう」に見えなくもないのではないか?

目標は大事である。決しておろそかにしてはいけない。
ただ、目標を達成した時の達成感は得られるかもしれないが、仕事に楽しさを与えてはくれない。

「ミッションをもつこと」これが営業人にとって忘れがちだが最重要なコトなのである。

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