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負帰還を理解したい

真空管アンプを作り始めて、初めのうちは、作成本にある回路図に従い、疑いもせずそのまま作成していた。いわゆる、プラモデルの電子技術版の様な感じ。先生が作成した回路だから、必ずいい音が出る。負帰還だか、無帰還だかを気にするまでもなかった。

少しすると、自分で簡単な回路を作れる様になるが、できるだけシンプルにしたいし、少し難しい技術は全く歯が立たないので、三極管または、三結のシングル、無帰還と決めて作り始めた。

スピーカーは、能率が割と高いフルレンジでバックロードホーンを自作して、そんな無帰還のアンプでも、ドンシャリ感が無くいい音に聴こえて満足していた。

2次高調波歪は気持ちいいし、性格的にも、複雑なものよりシンプルな方が好きという事もあり、負帰還には、手を出さなくてもいいのではないかと思っていた時期がある。巷では、負帰還を使うと技術的な数値は上がるけど、音がいまいちになるという噂もある。

とは言いつつも、不思議なもので、ここまで来ると、次は?とまだ見えない雲の上の高みを見ようとする。それが人間の欲望というものだろうか?それが、実は負帰還という事になった。

数学、いや、算数さえも、というか、国語、英語、勉学全体にあまり自信がない私であるが、欲望がわいたからには、ねちっこい性格で何とか攻略しようと試みている。

しかしながら、負帰還を多用して数値的に良いアンプを作りたいという欲望ではない。初心のように、できればシンプルで2次高調波歪を心地よく聴けるシングル無帰還というものに最終的には落ち着きたいと思う。そのような思いがあっても、負帰還の事を知らないで、無帰還が絶対良いなんて言えないと思うので、負帰還アンプを理解して、自作して、聴いてみて、自分の中の五感でどちらがいいかという結論を出したいという欲求である。

それにしても、いろいろな作成本を読んでも、ネットで調べても、この歳で頭にすんなりと入ってこない。数学的な知識(関数とか、対数か???)、算数までも社会人生活の中でほとんど使ったことがないので、なかなかとっかかりが見えてこない。

ところで、負帰還について説明のある書籍やネットを調べていて不思議なことがある。どこを見ても負帰還を使った場合の原理、効果や、負帰還を使ったときの利得の計算方法については詳しく出ているのだが、負帰還素子(抵抗)をいくつに設定したらよいかという実装に対するアドバイスが少ない。
それはどうしてなのだろうか?
抵抗値の値は、経験でこのぐらい、みたいなものがあるのだろうか?
その辺のところを簡単に教えてくれる資料がなかなか見つからない。

私の場合、今のところ負帰還後の利得、ゲイン、増幅率がどのくらいになるかという事よりも、とにかく、負帰還を設定して、ダンピングファクターが1以上になる状態になった時の音を自分の耳で聴いて、いい音になるのかどうかを確認してみたいという実践的な事が一番の目的である。

そんな事を今朝から考えながら、梅雨の曇りの中、お店の開店準備にぬかりがないように気を使いつつ、頭の中は、負帰還、負帰還とぼやいているのである。