音が出ない真空管
音が出ない真空管は、役に全く立たないのでゴミになるばかり。
、、、とはわかっているのだけど、ケチケチジジイとしては、ゴミ箱へポイというには、あまりにも忍びないと思ってしまう。
以前、地元の電子部品屋さんで中古の6FQ7(6CG7)という真空管を一本50円で大量に購入する事ができたので、それをアンプに指して使えるか試してみたところ、その中で4本ほど音が出ないものがあった。
不良のレッテルを貼って奥の方にしまっておいたのだが、安定化電源を作成したことをきっかけに、今一度火入れをしてみようと思い立った。
すると、4本どれも、キチッとヒーターは光り発熱し始めた。
とすると、4、5番ビンのH(ヒーター)の問題ではないなぁと理解した。
今一度、ピンをアンコールで磨いて、アンプに指してみて、音出しをすると、4本のうち一本は、正常に音が出て使える事がわかった。
やっぱり、一度不良のレッテルを貼ったからといって、捨てなくてよかったと思うのである。
一本の命を救った気分である。
残念なら、残りの3本は、やはり、アンプに指してもうまく鳴らない。
一本は、鳴ったり、プツンと途切れたりの症状で、内部の接触が悪いようだ。
他の2本は、うんともすんとも言わない。
う〜ん、私の知識ではこれ以上対応のしようがない。というか、物理的に管内で線が切れているのならどうもしょうがない。
それでも諦めがつかないジジイは、懐中電灯を取り出して、管の中を照らして、数倍から60倍のレコード針先を見るルーペで、ヒーターの4、5番ピン以外のピンを念入りに覗いてみる。
すると、どうやら何の三本とも3番ピンから伸びている薄っぺらい線がUnit2のカソードに繋がっていないように見える。
反対側の8番ピンは、Unit1のカソードに繋がっているようである。
正に、3番ピンの接続が切れているということのようだ。
こうなると、納得せざるおえない。この三本は、残念だけれど、もう使えないのであろう。
と、また、この三本を不良のレッテルの貼った袋へ戻してみると、また、ムクムクと新しいアイデアが浮かんできた。
もし、私の目が正しく、3番ピンの切断している事が事実であるならば、ヒーターは、使えて、5番ピンも使えるのだから、一つの三極管として使えばいいのではないかという考えが浮かんだ。
ケチケチとか、勿体無いとかいうことではなくて、真空管を学び深く知るという意味で、これは、実験に値するように思えてきた。
つまり、生きている三極管を出力段として使い、ドライブ段は、別の物で行ってあげるようなアンプを作って試してみるという事。
さて、昨晩から、今朝にかけて、この不良のレッテルが貼ってある、数本の真空管のために、あーでもこーでもと考えて、時間を費やしてきた。
でも、そんな事を自由に考えたり、楽しみながら突き詰めたり、こんな事ができる私は幸せなのだろうなぁとつくづく思うのである。
いつになるかはわからないが、この不良のレッテルを貼った双極真空管たちの、片方から音が出るのを確認する事が出来る日を楽しみにしておこう!