やはりダメ耳か?
真空管アンプについて良くある話題で、真空管の有名メーカーや、希少価値のあるビンテージ物は、同じ名前、規格の真空管でも安物とは音が違うという。
なので、巷では、玉転がしと言って、色々なブランドのマッチドペアを差し替えながら、音の違いを楽しむと言う。
そんなビンテージ物には、ペアで何十万円もかけてオークションで落札する人がいるらしい。
私が真空管アンプと言うものを知った数年前に、自作した真空管アンプに挿すためのKT88を秋葉原に探しに行った時の事を覚えている。お店にあった真空管アンプに、安い方のKT88を先に挿して聴かせてもらい、次に5,000円ほど高い方のKT88に挿し替えて聴いた。「高い方がいい音だろう」と店員に言われ、何となくそんな気がして、「確かに違う」なんて言って、まんまと高い方を買わされて帰ってきた。その頃は、ブランド物は、いい音がするのだと鵜呑みにしていた。
それから、数年が経ち、このごろでは、お小遣いの関係上、ネットで落札したジャンクのMT管を中心にミニワッターを作る事に力を注いでいる。
そして、今日、落札したジャンクの12BH7Aが手元に届き、メーカー、増幅率が不揃いの12BH7Aが手元に10本以上になった。全て中古でジャンク扱いの落札品。
元々、少ない手持ちの12BH7Aでは、増幅率が揃わず、左右のバランスに偏りがあったのでオークションで追加の真空管を手に入れることとしたという次第である。
それらを、一つづつアンプに挿して、400Hzの信号を出しながら、入力信号のmVと出力信号のmVを測定して、各々の増幅率を計った。増幅率は、バラバラだけど、全部ちゃんとヒーターがついて、役割を果たしている。
結果、幸いな事に、マツダ、松下、日立がそれぞれ2本ずつほぼ近い増幅率を示したので、ベアとする事ができた。しかし残った物は、全く別のブランドで、表示がはげてブランド名さえもわからないものもあるので、増幅率の近い物でペアを組んでみた。真空管の中を除くと明らかに作り、形状の違うものがペアとなっている。
さて、このブランドさえもわからない、形状の違う真空管ペアをアンプをに挿して、聴いてみる事にした。
きっと、諸先輩から、「お前は何をやっているのだ!メーカー、形状が違う不揃いの真空管を左右に挿すなんて、音色が合わないじゃないか!」と怒られそうである。
ところが、私には、そんな不揃いの真空管でも、増幅率が近い事もあり、全く違和感がなく、バランスよく、そして、相変わらず、とても良い音に聴こえるのである。
私好みの3極管という事もあり、全く申し分ない。
やっぱり私のダメ耳では、ブランドの違いで音が変わるという事を聴き分けることはできないらしい。なので、私にはきっと玉転がしは、意味がないのかもしれない。
でも、好都合なのは、そんなダメ耳なので、ブランド球、ビンテージ球のマッチドペアを高価な値段で落札する必要もなく、経済的な負担も少なく楽しめるなぁと得した気分でもある。
そんな事を考えながら、今日も不揃いの真空管が奏でる音に癒されながら楽しい今宵を過ごしているのである。