京都カンパニュラ神物語。


京都に向かう新幹線の中、僕は考えていた。

渡辺道治先生に何かプレゼントを贈りたい、と。

今回のセミナーを開催してくださる感謝の意を込めて、というのもあるが、もう一つ大きな理由が僕にはあった。
それついてまずは語ることにする。

僕はここ2.3週間、仕事が思ったようにいかず、心身ともにダウンしていた。
学ぶことすら嫌になり、毎週参加していたセミナーにも出向かず、通勤時のVoicyも聴かなくなっていた。
いま思えば完全なる不貞腐れだ。

そんな絶賛腐り期のある日のこと、
その日はたまたま仕事の調子が良かったのか、退勤時ふと渡辺先生のVoicyを聴いた。

どの放送だったかは定かではないが、その時聴いた放送が僕の心に何かを残していった。
その日以降、なぜだか学びのエネルギーが少しずつ戻っていった。

渡辺先生が僕の中にあるゴングを鳴らし、再度リングに上がる気持ちを引き起こしてくれたのだ。

そういう経緯もあり、渡辺先生に何か恩返しがしたかったのだ。

さて、何がいいだろうか。
まずは誕生日が気になった。

渡辺先生のツイート内検索で「誕生日」と入れてみた。
何月何日だと明言こそしていなかったが、どうやら7月8日ということがわかった。

なんてこと!来週じゃないか!
特別なものを贈りたいという想いがいっそう強くなった。

最初に頭に浮かんできたものは「花」だった。

そこで、「7月8日 誕生花」と検索してみた。

7月8日には3つの誕生花があるらしい。

ホオズキ
ハス
カンパニュラ

この中に、僕の中の『渡辺道治』とぴったりと重なる花言葉を見つけた。それは

カンパニュラ(Campanula)
ラテン語で「小さな鐘」という意味
花言葉は『感謝、誠実さ、熱心にやり遂げる』


これだ。この花を贈りたい。
そう決意し、僕の京都旅行にはカンパニュラ探しというミッションが加わった。


とはいえ時間は限られていた。
宿泊先周辺の花屋さんは5.6軒。

観光名所・グルメ巡りのルートに加えながら、なんとか全軒回れそうだった。


1軒目、置いてない。

(まあまあ、どこかにはあるやろ。)

2軒目、置いてない。

3軒目……

現実は甘くなく、行く先々でカンパニュラは置かれていなかった。


気づけば時刻は19時40分。

なんて言っている余裕もなく・・・


20時まで空いている花屋さんが1軒だけあった。
僕は最後の望みをかけた。

そーっと、戸を開ける。

「カンパニュラ、置いていますか?」

「カンパニュラは……」



「ないですね…」


悔しかった。

しかし、どこか晴れ晴れとした気持ちもあった。


宿泊先へ向かう足取りは軽やかだった。
力を出し尽くした結果、「ない」のだから仕方ない、お前はよくやったよ、と思えたからかもしれない。

それに、人に対する熱い思いが自分の中にあることに気づけて、なんだか誇らしかった。


さあ、物語はここでは終わらない。


『京都カンパニュラ神物語。』

神ってなんやねん、と思われた方もいたのではないだろうか。

そう、この話に「神」は出てくるのだ。


宿泊先に戻った僕が目にしたのは、ロビーで行われていた雑貨・小物の販売会。

珍しいなあと思ってみていると、カンボジアの国旗が目に入った。
カンボジアに関わりがある方による販売会だったようだ。

カンボジア…

カンボジア…?


渡辺先生ってカンボジアに縁があったような…

やっぱり!!!!!!!!


きっとこのロビーでの出会いは、
神様がプレゼントしてくれたのだろうと思う。

神様は見てくれていたのだ。

そこで選んだものを翌朝、無事に届けることができた。

渡辺先生は「大切に使いますね。」と言って、熱い握手を交わしてくれた。


あぁ。よかった。


京都カンパニュラ神物語、完。

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