北極圏600キロ踏破の冒険記録③キキクタルジュアク
はじめまして。いいじまと申します。2019年4月7日〜5月5日にかけて、冒険家の方と共に男女14人で北極圏600キロを踏破しました。
2020年2月から再度、北極圏へ冒険します。次は単独で400キロ。主な目的は現地調査+冒険技術の向上です。
このnoteは2019の冒険の記録(日記)その③になっています。よろしくお願いします。
①はこちら↓
冒険の概要
プロの冒険家の方と共に、カナダの北極圏バフィン島を各々ソリ一台を引き、600キロ踏破を目指す。隊員は12人の若者と冒険家、カメラマンの合計14人。
冒険のルート
パングナタングからスタート。キキクタルジュアクを経由してゴール地点であるクライドリバーを目指す。
北極冒険のリスク
・ホッキョクグマとの遭遇・寒冷地における凍傷・薄氷の踏み抜きによる落水・突発的な自然現象
キキクタルジュアク出発
冒険出発前に、ゴール地点であるクライドリバーには、海氷の影響で行くのは困難、と告げられた。中間地点である、キキクタルジュアクに到着後に、クライドリバーに行くかどうかを判断、次の目標やゴール地点を決める話し合いをする予定。しかし、隊員の中から冒険リタイヤの話も出て…氷の状況、隊員の話合いがまとまり、無事、クライドリバーに行けるのだろうか?
4月17日 9時に集合。クライドリバーの海氷状況を知るために、街で調査。冒険家の方がイヌイットの方に装備を借りた後、
『クライドリバーで返すよ』
と言っていた。体力に自信がなく、キキクタルジュアクで冒険を終えようとしていた隊員は
『(クライドリバーに)行くんだ…』
と驚いて声に出していた。
その後、話し合いというか、クライドリバーへ行くための説明があった。
肩透かしを食らった気分だ。
ここで冒険を断念する人が出たり、クライドリバー行きをどうするか、という荒れた話し合いになると予想していからだ。
まさか、あっさりとクライドリバーに行くことが決まるとは…個人的には嬉しいのだが、大丈夫だろうか?
ホワイトアウト
4月20日 この日はホワイトアウトで目の前が真っ白だった。冒険家の方は、視界の悪い中、真っ直ぐ歩いていて不思議に思った。
どうして方角が分かったのか?
理由はシンプル。太陽と風紋を見て進行方向を見極めている、と教えて頂いた。
そういうことか、と納得すると同時に、冒険がもっと楽しくなる気配がした。
4月21日 この日も、ホワイトアウトで視界が悪い。今までは、冒険家の方がナビゲートして前を歩いていたが、この日から自分たちが前を歩くようになった。
ホッキョクグマ遭遇
4月22日(朝6時-30°) 昨日は、太陽と風紋を頼りに方角を判断して歩いていたが、今日は目標物になる山があり、ナビゲートが容易だった。
15時頃、初めてホッキョクグマの親子を目撃した。距離が遠かったので、黒い点にしか見えなかった。本当は危機感を持たなければいけないのだが、姿形を認識できないと難しい。形相がわかるまでクマに接近したら食われてしまうか。より警戒せねば。
北極の気候
4月23日(20時ー23° 晴れ・強風) 5時起床、8時出発。午前中は日差しが強く、腕まくりをして歩く。暑さで汗が滴る。15時から強風。『風が吹くと寒いね』と話した直後だ。一瞬で天候が変わった。
先程までは、腕まくりして、軽装だったのが一変。今はウェア、フリースを着込んでいる。しかも、寒さに耐えれず、フードで顔を覆って。
暑くなったり、寒くなったり、北極に弄ばれている気分だ。極地の気候の移り変わりは、予測できるのだろうか?
強風のため、少し早めに16;30にキャンプ。外海に近づいたので、海氷が固く歩きやすい。
19;30に衛星電話を使用して、サポートメンバーと通信。しかし、電波が悪く断念。
(スマホを使用するタイプの衛星電話)
軽度の顔面凍傷
4月24日 15時頃、DWPに到着。物資補給。山の上なので、風は強く、雪が飛ばされ、氷上が剥き出し。途中、岬を通過した。岬はホッキョクグマが出没するので注意が必要。食料計画の変更も行った。
それと、同じテントの隊員が顔面凍傷になっていることが判明。顔が腫れて、別人になっていた。
明日から、10時間行動になるかもしれない、という説明があった。今から向かう home bay という湾は、強風が吹くと予想される。この冒険の難所だ。一刻も早く通り抜けたい。
4日、できれば3日で抜けたい。風が弱いときに強行突破して、移動距離を稼ぎたい。そのため、最初から体力のない隊員の荷物を持つことになった。不安だ。大丈夫だろうか。
難所・Home Bay、ホッキョクグマ接近
4月25日(−25°、南東の風、晴れのち曇り)
5時起床。朝のトイレは、指の凍傷との戦いだ。出すものも出せない。寒い。
今日から home bayを通過する。風が強いエリアで、雪が風で飛ばされ、海氷が剥き出しだ。地形的に北風と西風が吹くことが予想される。北西に進行している冒険隊にとって向かい風だ。風が弱い時に長時間行動して、移動距離を稼ぎたい。
8時、出発。南東に風が吹いていた。追い風だ。幸先がいい。海氷は凸凹でサスツルギが出来ていた。ここで隊員の1人がビンディンベルト破損。
今日は、ホッキョクグマに二回遭遇した。
1回目は、2匹の子供を連れた親子グマ。前方右から接近。危うく冒険隊と接触するところだった。冒険隊が止まると、クマは立ち上がり、こちらを観察していた。しかし、あまり興味がないのか、去っていった。
他の隊員は『ケモノくさかった』と言っていたが、よくわからなかった。
2回目も間近で遭遇。止まって冒険隊を眺めていた。こちらに近づいたり、興味を示していたので、威嚇して追い払った。
18時に、行動終了。10時間かけてい出した。今日は辛ラーメンを食べた。残り汁にアルファ米、チーズ、バターを入れる。最近は、身体がカロリーが欲しがっているのがわかる。カロリーが欲しい。たまに、バターを齧ってしまう。
4月26日(12時ー2°、13時5°) 5時起床。home bay 2日目。暖かい1日だった。今日も、運がいい。無風だ。雪下は固く、サスツルギで凸凹。そのため、つまずく人が多く、スキー板を脱ぎ、歩行している人が多かった。
私もちょっとした雪の段差を乗り越えることが出来ず、前にスキー板が引っかかり、よくこけていた。前方のナビゲーション組は苦戦していた。霧で前が見えなく、雪で隠された段差や凹凸に引っかかっていた。
13時は気温がプラスになり、暑かった。暖流に乗った、ワタリドリの群れを何度も目撃。
最近は、冒険の終わりを意識してしまうので悲しい。
4月27日 (5時−5°) 午前中はサスツルギがなく、海氷が平らで歩きやすかった。時速3キロペースで移動。いいペースだ。
と思ったら、13時から、右斜め横から風が…(東北東の風)風速6〜7キロ。その風が北にずれていき、ついに向かい風になった。風の抵抗を感じながら歩行。
春風らしく、湿っぽくそこまで寒くない。むしろ、歩くと汗が出るので体温調整が大変だ。道中、カモメ、ワタリドリ、子連れのホッキョクグマと遭遇。
17時、強風のためキャンプ。
島超え・Henry Kater Peninsvla
4月28日 (北西の風、曇り)5時起床。8時出発。道中、アザラシ発見。
ついに、難所であるhome bayを抜けることに成功。home bayを抜けると、島(henry kater peninsvla)超えを決行。海氷とは違い、陸地のため、積雪に砂が付着している。ソリが滑らないので、体力が消耗する。
4月29日 (晴れ・微風)henry Kater penisvlaを登る。日差しが強いため、ウェアを脱ぎ、パーカーで行動。風、砂混じりの雪の影響で、移動困難の場面もあった。島の下りは、谷間があった。谷間は風が強く、氷が剥き出しでアイススケート場のようになっていた。踏ん張れないので、ツルッと滑ってしまう。
海では風景が変わらず退屈だったが、島は様々な風景、移動手段があり楽しい。ここは飛行機の通り道なのか、何度も上空を通過していた。島でキャンプは、強風のため危険と判断。10時間行動し、島を抜けて、すぐにキャンプをした。
(北極圏600キロ踏破の冒険記録④クライドリバーに続く)
おわりに
最後まで読んで下さりありがとうございました。
ヤギの郵便屋活動、北極圏600キロ踏破の冒険など、皆さまの協力、応援に支えられて達成することができました。ありがとうございます。
2020年2月28日から、北極圏単独冒険に挑戦する予定です。資金は期間工で貯めましたが、より多くの資金を確保することができるのなら、冒険の質や活動の幅を広げることが可能です。
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今はまだ未熟ですが、経験と知識を蓄え、より世界を見て周れる力をつけていきたいです。(北極、南極、砂漠、世界をもっと冒険したい)
今後とも応援お願いします。
PS.要らなくなったGoPro、ドローン等を寄贈して下さる方も募集しております。荷物制限、環境により使用できない可能性もありますが、上手くいけば北極の映像撮影ができます。協力しても良いよ、という方はツイッターにてDMお願いします。