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びびりな若者

現在23歳で、都内の靴屋でアルバイトをしている。その前は日本伝統の技術でつくられたバッグや洋服の販売をしていたが、先日退職し取り急ぎアルバイトをしている。

以前の会社での仕事はとてもやり甲斐のあるもので、プロダクト自体がとても気に入っていたし、鮮やかで刺激的な想像を掻き立てるような職場だった。
そんな職場を辞めたのは、途中から加わった中年の女性と上手く関係が築けなかったからだ。
よくある話だ。自分で分かっていても、耐えることはできなかった。

仕事を辞めて、次にしたいことについて考えた。けど、1番にやりたいと思っていたことを辞めてしまったためか簡単には見つからない。

私の家族は、とても感覚的で人々が歩むレールから外れることが大好きだ。兄と父は特に。だからか自分の好きなことをしなさい。と小さい頃から言われ続けてきた。

ただ今の私は、言われたサイズを地下の部屋の下から天井までぎっしり積まれている倉庫から該当するひとつの靴を持っていっているだけだ。私の身長よりもはるか高くぎっしりと積まれた箱はきっと地震がきたら、一気に崩れて落ちるだろうとただただ考える。そう今の私はやりたいことをやっているわけでも、靴が好きなわけでもない。ただ漠然と該当する靴を日々見つけて息をし続けているだけだ。

そんな私でも唯一やってみたいことがぼんやりと1つだけある。それはヨーロッパに行くことだ。こりゃまた漠然とした妄想かもしれないし、本当に行動できる人はすでにチケットを手配し向かっていることだろう。そういう人は見切り発車でも強くしっかりと意思を持ちそれを軸に仕事をして生活を送っていける人種だ。

私の兄はまさにそれで、大学を卒業していわゆるニートだったがいつの間にか海外と日本を行き来して仕事をして生活をしている。本当に不思議な人だ。

そんな兄は私が仕事を辞めて海外にいきたいと話したところ、ふり切ったほうが道が開けるといった。

たしかにそうかもしれない。
ただ今の私にはふり切る勇気がない。

#びびりな若者 #私のおはなし

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