電子契約のメリット・デメリットを徹底解説【押印業務の効率化やコスト削減に役立つ?】
近年、多くの企業がデジタル化の波に乗り、オンラインでのコミュニケーションを積極的に活用しています。しかし、「オンラインでのやりとりが増えても、契約の取り交わしなどは紙の書類で行う」という契約書や重要な文書の取り交わしにおいて、紙の書類に頼る企業も依然として存在します。
一方で、デジタル上で契約を締結する「電子契約」の導入が広がりつつあり、これには多くの影響が及ぶと言えます。電子契約の導入が進む理由の一つに、政府の「ペーパーレス化」や「脱ハンコ」推進があります。これにより、多くの企業が契約書の電子化を検討し、実際に導入しています。
電子契約を導入することで、業務の効率向上やコストの削減などさまざまなメリットを受けることができます。しかし、導入を考えている方の中には、電子契約についてさまざまな不明点や懸念点を持っている方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、電子契約の利用を考えているものの「どういうものかよく分からない…」そんな声にお応えします。電子契約の具体的なメリット(コスト削減・業務効率)と、導入に向けた検討課題や注意点・デメリットも合わせて分かりやすく解説していきます。
電子文書に電子署名を行って締結する電子契約とは?
電子契約とは、電磁的記録で作成・締結する契約のことで成立する契約行為のことを言います。電磁的記録とは、電子的方式、電磁的方式そのほか人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいい、PDFのような電子データに電子署名を行います。
書面契約から電子契約へ切り替えた場合、「コスト削減」「業務の効率化」など多くのメリットが見込まれます。中でも、契約締結ごとに負担していた200円~数十万円の収入印紙が不要になるのは大きな利点です。
「脱ハンコ」を掲げた国を挙げてのデジタル化推進策の後押しと、コロナ禍における急速なリモートワークの普及を受けて、ますます電子契約への切り替えが進んでいくと考えられています。
「電子契約に切り替える具体的なメリットを知りたい」
「メリットだけじゃなくて、デメリット(注意点)も教えてほしい」
「紙の原本のようなしっかりとした証拠力があるのか心配」
「具体的に、どんなシステム・サービスがあるんだろう」
今回はそんな方々向けに、電子契約に切り替えた際のメリットだけでなく、「こういう業態・企業は向いていない」「状況によってはこういう難しい局面がある」などのデメリット(利用する上での注意点)も分かりやすく説明していきます。検討する際の参考にしてください。
電子契約に関連する法律
電子契約は、法律上も認められている契約方法です。
「電子署名法」には、電子的に作成された書類であっても、本人による電子署名が行われていれば真正に成立したものと推定するという旨の記載があります。つまり、電子契約であっても、有効な電子署名が行われていれば、押印のある書面に適用される二段の推定と同様の効力を発揮するということです。
また、電子契約で取り交わした契約書の保存については、「電子帳簿保存法」や「e-文書法」に定められています。電子契約で契約を締結した契約書が法令上保存義務のあるものである場合、これらの法律が定める方法に則って保存をしなければなりません。
なお、具体的な機能は各システムにより異なりますが、電子契約システムでは法律に則った契約書の保存が可能です。ただし、電子契約を結んだ取引先に対しては、電子契約の適切な保存について伝える必要があるでしょう。
電子契約の証拠力は?
文書が証拠として認められるためには、本人の意思で文書を作成したことを証明する必要があります。従来は紙で作成した契約書に、双方の担当者が「押印」することで契約締結の証拠としていました。その他、本人が作成した証拠として「印鑑証明書」、改ざんを防止するために「契印・割印」などが存在します。
電子契約では以下のような一定の条件のもと、書面契約と同様の効力が認められています。
押印の代わりに「電子署名」
印鑑証明書の代わりに「電子証明書」
契印・割印の代わりに「タイムスタンプ」
電子契約システム・サービスは目的・機能別に様々なものが存在しますが、ほぼすべてが上記を標準機能として搭載しています。比較検討の際にわざわざ「対応しているか」を心配する必要はありません。
(ただし、電子証明書に関しては、事業者の電子証明書はあるものの、契約を行う当事者の電子証明書には対応していないシステムも多くあるので注意が必要です)
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