オーガニックコットンと天然染色の洗練されたシンプル。ナチュラルモードなSAKURA堂 storeのファッションアイテム
ー作り手
今回ご紹介するのは、深い色味と洗練されたデザインが魅力の衣料品ブランド、SAKURA堂 store(サクラドウ ストア)です。オーガニックコットンや国産のファブリック、泥染めや藍染め、草木染めを活用した天然染色など、こだわりの詰まった丁寧な手しごとによってつくられています。
オーガニックコットンを選ぶということは、知らず知らずのうちに社会貢献しているという事にもなるという事です。 だから最近では、オーガニックコットンにこだわらず、国産生地も積極的に使用しています。 例えば、今は下火になってしまった、岡山の「倉敷デニム」など。 国産デニムの、繊細な技術の詰まった魅力的な素材でした。 また、それらを使用する事で、その素材を知らない方にも魅力を伝える事ができるし、微力ながら生産者を助ける事にも繋がります。
生地に使用されているオーガニックコットンの特徴は化学薬品の使用による人体への負荷・環境への負荷が抑えられていることや、生産者の労働環境に配慮がされていることなどがあります。“地球と人により優しい”という点で選ばれているのです。
こちらのジャケットには倉敷デニムが使用されています。多くのアパレル産業において機械化が進む中で、倉敷デニムは職人の熟練した技術によって支えられ、長く使うことができる品質となっています。SAKURA堂 storeの商品を通して日本ならではの上質な素材を味わい、さらに生産地を支えることにもつながります。
デザインやサイズを一から体型に合わせて作る「フルオーダーメイド」に対して、より気軽に注文できる、既成のデザインにお直しやデザイン変更を加える「セミオーダーメイド」を主流にしています。
また、自身の体型や好みに合わせてお直しやサイズの変更が可能な『セミオーダーメイド』を主流としていることも魅力です。自分だけのフィット感やこだわりの着丈など、世界に一つだけのお気に入りが叶います。
洋服だけでなく、コスチュームジュエリーも制作されています。こちらの葡萄のブローチにもオーガニックコットンを使用し、葉の部分には白のスパンコールが装飾されきらきらと光ります。実や枝葉、それぞれのパーツで見せるコットンの様々な表情と、あえて同じ白で施されたスパンコールが上品さを演出します。
ーものがたり
続いて、SAKURA堂 storeを立ち上げるきっかけについて詳しく伺いました。
フォーマル衣料品のデザイン・パターン・縫製、と、それぞれの仕事を経験し、全ての工程を学んだ強みを生かして、自身のブランドを立ち上げました。
学生時代から大好きだったというコレクション鑑賞の経験を活かし、衣装のデザインをはじめは楽しく取り組まれていたそうです。一方でデザイン・パターン・縫製という一連の流れに関わりたいという気持ちに反し、ひたすらデザイン画を描く作業になってしまっていました。
縫製のお仕事は、高価な服を仕立てる職人さんの需要が減る中で、昔ながらの古い体質や先が見えない職業である上に大変な重労働。
そしてパタンナーとして良いものづくりを目指すと同時に、売り上げのためにも大量の仕事をこなす日々。使い手に合わせて一からつくる『オーダーメイド』の技術を活かせないもどかしさがあったそうです。仕事だから、と自身を納得させることもできますが、これまでの経験と想いを全て活かした仕事は “ 自分でつくるしかない ” と決心し、「SAKURA堂 store」の立ち上げと現在の活動に至ります。
ブランドの象徴でもあるコットンとの出会いは、立ち上げるにあたって、“ 何か専門性や付加価値がないか ” と模索していたとき。素材としての魅力を感じていたオーガニックコットンを使用することになったそうです。コットンというと柔らかな優しい風合いを連想しがちですが、「SAKURA堂 store」のアイテムたちは優しいだけでなく、キリッとした爽やかさもあります。『毎日着ていくことのできる衣料品』にしたい、という想いが佇まいからも感じられます。
さらにものづくりのあり方についても考え、エシカルな素材のこれまでのイメージを変えるためのアプローチも取り入れていきます。
衣料品制作時に、大量に出る「はぎれ」を捨てるということに抵抗を感じるようになりました。 エシカル素材の「質素」というイメージを払拭するため、刺繍やアートフラワー、草木染めや藍染め等の天然染色を独学で学んで、アクセサリーを仕立ててみたことが、コスチュームジュエリーをつくるきっかけとなりました。
『はぎれ』が “ いらないもの ” ではなく ” 特別なもの ” へと生まれ変わると同時に、少しでもオーガニックコットンが生まれる背景に想いを馳せてもらえたら…そんな願いを込めてアイテムを届けていらっしゃいます。
ー想い
素材を統一させると、試されるのは「デザインの力」だと思います。 自身が大好きな、コレクションのような煌びやかで絢爛豪華なデザインだったり装飾を取り入れ過ぎると、着る機会の無い衣料品になってしまう。
要素を絞り、削ぎ落としたシンプルな美しさは、決して簡単に作れるものではありません。これまでのご経験と技術、理想のものづくりを目指した決心が随所に散りばめられ、使い手を想ってつくられていることを感じさせます。
大量生産品のクオリティーがどんどん上がってきている今、同じものを作っても意味がない。 だから大量生産品の問題点を洗い出して、着心地やラインを重視する事。 その中に、一点だけ個性的なデザインを取り入れて、差別化する事。 この二つのバランスを見ながら、いつもデザインを考えています。 だから「オシャレ着」ではなく、どこに行く時も自信を持って、「毎日着ていくことのできる衣料品」を理想に、日々試行錯誤しながら制作しています。
大量生産では決して作れない、手しごとだからこそ生み出せるアイデアと心遣いが詰まっているのです。限られた素材とシンプルな色形の中にしなやかな強さが感じられるのは、日常の中で長く愛され身につけられるように、背筋が自然と伸びるような『デザインの力』が宿っているからではないでしょうか。
ナチュラルな素材とモードなデザインの融合が織りなす大人の装いを、ぜひお手に取ってお楽しみください。