建築のアプローチから生まれる唯一無二のかたち。掛け算で進化し続けるxaのプロダクト
ー作り手
×architecture
×ayami takada architects
×anything... 様々なものを掛け合わせることで生まれるデザインの魅力。
主催者の名前や、建築を掛け合わせています。
掛け算の概念を形にし、プロダクトシリーズを生み出す「xa(カケルエー)」。印象的な形状は、建築や乗り物などの工業製品から着想を得てデザインされています。
建物をつくる原理をデザインに応用しているため、10倍、100倍と大きさが変化しても生活の中で必要な役割を果たし、構造としても成立するというコンセプトで製作しています。自由に使い方を選びたくなるような、機能性が高い、人の感覚を刺激するユニークなデザインを探求しています。
建物をつくる原理をデザインに応用するという大胆な発想が取り入れられたことで、素材の繊細さとは対照的に、決してこぢんまりせず悠々とした存在感を放ちます。
つなぎ目が見えない「Flower Ring 」は、まるで指そのものから咲いているよう。驚くほど軽く、サイズを自分で調節できる機能性も魅力的です。
ゆらめきから生まれる光と影が魅力のピアス「Disco」。『あらゆるシチュエーションに溶け込む美しい作品を目指す』という想いが体現され、まるでどこまでも続くかのような円形が肌に馴染み、華やかに装いを彩ってくれます。
これらのアクセサリーは0.5mmの繊細なステンレスで描かれ、柔らかくも芯のある美しさがきらりと光ります。
こちらはハーフミラーサイドテーブルの「Fusion」。アクセサリー用のステンレスをあの細さで加工したり、Fusionの支柱の三次元的な溶接ができる工場は日本国内に1社ずつしかなかったそうです。
機械の力とそれを扱う職人さんの優れた技術力の両方があってこそ実現できる難しい加工に、さらにひと手間加えることで別の方法ではつくることのできない、造形の美学を持ち珍しい仕上がりの作品を生み出します。
機械の力、職人さんの技術力、そして xa の発想と手しごとという掛け算からこれらのプロダクトが生み出されています。ファッション業界をはじめとし、さまざまな加工や生産体制を海外で行うことが多くなった今、日本の優れた技術を持つ工場は減りつつあります。そんな状況を肌で感じる中で『日本ならではの開発が可能な質が良く長く使える商品を国内外の1人でも多くの人に届けたい』という想いのもと、活動されています。
ーものがたり
建築の模型が展覧会でしか公表されず、大半の間、倉庫に眠ったままでいるのがもったいないと感じていたため、様々な人に手にとってもらい使ってもらうきっかけを考えました。普段建物に関心がない人にも、ものを立体的に考えること、新しい使い方にチャレンジすることの魅力を肌で感じてもらいたいと思いました。
国内外で住宅やインテリアから公共施設やホテル、オフィスビルなど様々な規模の建物の設計を手掛けている建築家の高田彩実さん。建築の知識や設計の思考回路の可能性を問い始めたことからブランドが生まれます。自身が感じている建築の魅力をもっと一般の人にも感じてもらいたい、そんな素直な気持ちがきっかけでした。
普段大きなものの創作に関わっているため、製作の過程で発生する資材の断片や手法を別の方法で活用することで、単一のプロダクトデザインの思考回路では到達できない新しい商品を生み出せるのではないかと考えました。
目にとまったのは資材や専門的な手法。建築特有だったものを異なるものへインストールし、多くの人へ魅力的に届けたい。これまでの延長線上にないものづくりの試みこそが新たな仕組みづくりであり、設計の過程で感じた現状を変えるための挑戦でした。
また建築の設計は料理人の修業のような趣味の延長などでは到達できない非常に高度で専門的な技術を要するため、そのノウハウをプロダクト、グラフィックやUIに至るまで、様々なデザイン活動に生かしたいと考えています。
一見シンプルなプロダクトも緻密につくり込まれており、建築的手法、素材の特性、デザインとしての美しさといった様々な要素を1つのものの中で成立させる絶妙なバランスが保たれています。建築で培われたノウハウが xa に、そしてまた xa で培われたノウハウが建築に。良い循環生まれ互いが作用し合っていることを感じます。
ー想い
「xa」はものづくり産業の優れた技術と造形の魅力を融合させるプラットフォームです。
xa の根幹はプロダクトではなく、プラットフォームであると語る高田さん。関係者に建築家や学校で設計教育を受けられた方々を起用し、ひとつのムーブメントを起こそうとしているそうです。時には建築の施工を行う方や車のパーツを製造される方からアドバイスを受け、新たなノウハウや技術、材料を取り入れながらプロダクトの開発を行います。こうしてあらゆる技術と造形の魅力を次々に取り入れていく姿は、まるで掛け算によって進化しているかのようです。
多岐にわたる掛け算と既成概念に囚われないユニークなデザインの原動力となっているのが、ブランドをスタートさせた際の『建築の持つ魅力を多角的に広げる』という想いです。建物の持つ魅力は決して完成品の見かけの美しさだけでなく、その機能性から生まれる美、製作過程で蓄積されるノウハウや使用される素材、職人の技術など様々です。
多様で美しいデザインを味わうことはもちろん、プロダクトに込められた建築や素材の持つ可能性、掛け算から生まれる新たな魅力を楽しんでみてはいかがでしょうか。