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透き通るガラスの先に広がる温かな光。吉田晶乃が作る美しいガラスの世界
ー作り手
今回ご紹介するのは、ガラス作家の吉田晶乃さんです。コップやお皿、花器など身の回りにあるガラス作品を中心に制作しています。
朝起きた時に、何気なくコップに入れた水が光を反射してふと綺麗だなと思う。そんなほんの少し心が動く瞬間に出会っていただけたら嬉しいです。
自然の光と共にある私たちの毎日。光とガラスとの親和性を追求し表現する吉田さんは「光を美しく見せるガラス」を作ることで、日々の暮らしが光に満ち溢れ、心豊かになることを願っています。
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作品の多くはガラスの塊をガラス炉で溶かし吹いて膨らませたり、ガラス粒を電気釜で鋳造し器の形を作ります。その後光のバランスを考えながら磨いたり、表面を削って艶消しをしたり、再加熱をして質感を整えたりという工程を経て完成させます。
ガラスは光を通し、同時に含むという性質を持つ物質。ガラスそのものの魅力を最大限伝えられるよう、光をどのように配分するかを軸にしながら、生み出されるモノが美しいかどうかを判断しているそうです。
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ありのままでも美しいガラス素材を、わずかでも無駄にしないものづくりにもこだわりをもつ吉田さん。例えば石の形をした黒のお皿シリーズは、制作過程で失敗してしまったガラスを細かく砕き、材料としてお皿の中に挟みこんでいます。散りばめられた欠片たちが、まるで木漏れ日のように優しくきらめく新しい作品へと生まれ変わるのです。
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素材に真摯に向き合い、美しい光の世界をガラスで表現している吉田さん。作品への想いについてお話を伺いました。
ーものがたり
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幼少期からビー玉やガラスなど透明なものが好きだった吉田さんは、美術全般への興味から美術大学へ進学します。在学中さまざまな分野に触れていく中で改めて出会ったガラス。実際に作品を作り始めると、透き通るものが好きだった記憶が蘇り、ガラスを扱う制作に向き合っていくことになります。
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卒業後はガラス工房のアシスタントや、ガラス教室の講師として働きながら個人の制作を続けていた吉田さん。出産をきっかけに独立し、現在は自宅に工房を構え子育てをしながら制作に励んでいます。
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その時住んでいる環境に影響を受けながら作風が決まります。作品のスタイルは決めず、同じシリーズの中でも一つとして同じものは存在しませんが、どこにいても自身の美の基準と技術を常に磨いていきたいと思っています。
何気なく空間を見るとき、私たちは光を放つ部分に自然と目を留めます。視線の先に広がる美しい光を追求しながら仕上げられていく吉田さんの作品。暮らしの中で過ぎていく時間や置く場所が変わるたび、新しい世界を見せてくれるのです。
ー想い
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私が大切にしていることは、空間に置かれた姿の美しさだけでなく、直接手に取った時の至近の視線にも耐えられるような細部まで手が行き届いているものづくりです。
徹底したものづくりへのこだわり。写真は綺麗だったのに実際に触れてみると何か違う…と隔たりが生まれないよう、質感や重心、光の焦点を意識して制作します。一方で冷たいはずのガラス素材に温かみを感じるのは、使い手を想う吉田さんの人柄や優しさの現れかもしれません。
完璧すぎて隙がないものは日常使いには疲れてしまいます。使っていただく方の日々の暮らしに溶け込むように、いつも側にいて心地良いものを届けていきたいです。
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透明感や質感のゆらぎは、私たちの日常に静かに存在し、美しさと安らぎを与えてくれるのではないでしょうか。夢の中にいるような儚い雰囲気を放ちながらも、手に取ってみるとすっと馴染む使い手に寄り添ったガラス作品たち。眺めているだけで心がふわりと軽くなる、特別な時間に出会ってみませんか。