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前澤さんの「カブアンド」への批判をまとめてみた
追記:この記事がめちゃくちゃ読まれているので、最新情報も含めてポイントをまとめなおしました。合わせてどうぞ!
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先に言っておくと、マジでアンチとかではないです。
むしろカブアンドは非常に社会的意義があると感じてます。
日本の投資リテラシーを高めるのはめちゃくちゃ大事なことですので!
その上で、カブアンドに対する主要な批判と、それについての個人的な意見をまとめてみました。
というのも?ぼく自身が「トークン」を使って、カブアンドと似た感じのサービスを始める予定なんですよね。
勉強も兼ねてリサーチしたので、ポストで共有します。
もしも、ぼくの調べに間違いがあったらご指摘ください!
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批判①上場がいつになるか不明、上場できない可能性もある
これはもっともわかりやすい、カブアンドの弱点かなと思います。
公式サイトでは「なるべく早く上場します!」と書かれていますが、当然ながら、現時点で具体的なスケジュール感は語られていません。
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これは、始まったばかりなので当たり前ですし、一般的に上場計画が公開されることもありません。
スタートアップが上場するまでには、多くのケースで、7〜10年程度の時間が掛かります(もちろん千差万別ですが、平均的にはそのくらい)。
どれだけ早くても3年、かなり早くても5年……というのがスタートアップの常識です。
今カブアンドを利用し、チケットをもらったとて、それが換金できるのは7年くらい先になる可能性があります。
また、ウェブサイトにもあるとおり、上場は確約されたものではありません。
万全の準備は敷いていると思いますが、かなり特殊なスキームなので、スムーズに上場できるかどうかはやや疑問が残ります(特に反社チェック)。
上場が数年先、上場できない可能性も残されている……
となると、正直
「それなら普通に楽天ポイントをもらって、そのポイントでS&P500買えばいいんじゃないか?」
という判断が、一定程度の投資リテラシーを持つ方には働きます。
もちろんそのようなユーザーは対象外なのだろう、という話なのですが……。
今契約している人がどこまで上場までの時間軸を理解しているのかな、というのは純粋に疑問です。
ここらへんは一般論を交えて、説明を厚くしていかないと「まだ上場しないのかよ!!!(2026年)」みたいに怒り出す顧客も出てきてしまいそうかもな〜とか。
カブアンドを通して、企業の成長に5〜10年スパンで寄り添える、長期的な視点を持つ投資家が増えれば、日本はもっとよくなるでしょうね。
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批判②ビジネスモデルの伸びしろ、革新性
カブアンドが現在提供しているサービス自体は、「未上場株がもらえる」という点を除くと、正直なところエキサイティングなものではありません(すみません)。
通信、電気、ふるさと納税、ウォーターサーバーなどを提供していますが、これはカブアンド自身が提供しているのではなく、提携先の企業のサービスに「送客」しているかたちです。
カブアンドは、送客に応じて、一定の割合の利益を提携企業からもらうかたちになっていると思われます。
ざっくりいうと、ポイントサイトに近いかたちですね。
実際、ポイントサイトも、電気やガスなどの乗り換えでポイントがもらえますよね。
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で、このポイントサイト的ビジネスモデルは果たしてイノベーティブなのかというと……
いい意味でも悪い意味でもこなれており、ここから破壊的なイノベーションにつながるイメージは持てません。
ちなみに、大手ポイントサイト「モッピー」を擁する上場企業「セレス」の時価総額は、300億円程度です。
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カブアンドの時価総額は、現在「180億円」という算定です。
このビジネスモデルをベースに、どこまで企業価値を高められるか、注目ですね。
なお、前澤さん的には
「まずは株を配って仲間(コミュニティ)を作り、そこから、より収益性が高く、革新的な事業を作っていく」
という考えなのかなと思います。
あくまで今は初期の初期だから、このような見え方なのかなと。
今後、どのような「カブアンド○○」が増えていくか楽しみですね!
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批判③「180億円」という企業価値
カブアンドの種類株式は、時価総額180億円という算定に基づき、1株5円で計算されています。
この時価総額については、「株クラ」からけっこうツッコまれている印象があります。
ビジネスモデルから考えて割高だ、根拠が乏しい……云々。
個人的には、前澤さんという実績ありまくりの連続起業家のチャレンジであることを考えると、このバリュエーションが付くことには特に違和感はないです。
実際、グローバルのスタートアップ投資の世界では、まだ事業が動き出していないにも関わらず、数十億、100億円単位の資金調達を実現する例は、普通にあります。
なので、個人的にはこうした批判は「主観の問題」でいいのかなと思います。
この点について強いて指摘があるとしたら、「株配り」を始めるとしたら、もっと時価総額が低いときから始めた方が、もらった人の期待リターンも高まっただろうな、とは思います。
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批判④「儲かるのは前澤だけ」
カブアンドの株式は、当たり前ですが、大部分を前澤さんが保有しています。
もしも上場に成功した場合は、当然ながら、前澤さんは大きなリターンを手にすることができます。
それをもって「儲かるのは前澤だけ」と批判する向きもあるようですが……まぁ、これは完全に難癖でしょうw
事業を立ち上げた創業者が儲かるのは、当たり前です。
これが「株」の仕組み、「資本主義」の仕組みですからね……w
こうした批判を見ると、結果的に、カブアンドはある種の啓蒙活動にもなってますね。
カブアンドが大成功した暁には、「スタートアップで成功すると、大金持ちになれる」という常識が、より広く浸透するでしょう。
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批判⑤「情弱ビジネスだ」
これも取り合うまでもないのですが、かなり声を見かけますので一応……。
これを情弱ビジネスなんて言ったら、
・オプション盛り盛りの大手通信キャリア(と販売代理店)
・窓口で微妙すぎる金融商品売る銀行・証券会社
とかのほうが、よっぽど悪質で、情弱ビジネスじゃないか?と思ったりします。
カブアンドはメインターゲットが「まだ株式投資をしていない人」なわけで、株クラの人たちからしたら、そりゃ情弱に見えるよね、というだけの話ですね。
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批判⑥「ハイリスク・ローリターンだ」
……という批判も見かけましたが、ちょっとよくわからなくて、カブアンドは、株を実際に買うわけではありません。
普段のサービス利用で「ポイントの代わりに株がもらえる」仕組みなので、大きなリスクはないように思うんですが……。
現時点では、大量にカブアンドの株を買うこと自体は難しい仕組みになっています。
つまり、大きなリスクを取ろうとしても、取れないんですよ。
ポイント還元のような仕組みなので、年間20万円をカブアンドのサービスに課金した場合、1〜2万円程度の株が得られる……という感じなんですよね。
これを「ハイリスク」というのはピンとこないなと。
せめて?「ローリスク・ローリターンだ」というならわかりますが。
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批判⑦上場後はどうなるのか
最後、こちらは調べたけど、よくわからない点でした。
まず、カブアンドが上場したら株を売れるようになるわけですが、そのタイミングで多くのユーザーが売却すると思われます。
Web3あるあるですが、上場後にトークンが売られ、暴落し、ユーザーが離れていく……
ということはよくあるんですよね。
今回の訴求の仕方だと、ユーザーの大部分は上場時に売却すると思われます。
利確タイミングで解約が増え、売り圧に負けて株価も振るわず、徐々に失望されていく……みたいな悪い未来もありえる気がします。
と、その点はマーケット対策をしてなんとかなるとしても、
これって、「上場したあと」も株はもらえるんでしょうかね?
上場株を大量に配るのはなんか難しそうな気もするので、上場後は通常のサービスのように、ポイント付与になるのかな……?それとも配当とか優待で還元?
ウェブサイトなどを見ても「上場後」のことはいまいちわからなかったので、ここの構想はぜひ聞いてみたいなと!
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そんなわけで、ざっと調べて見つけた批判をまとめて、個人的な見解も述べてみました。
総じていうと
「ごく初期からステークホルダー(仲間)を大量に集めて、みんなで事業を作っていく」
という考え方はめちゃくちゃ面白いと思います。
ぼくらもWeb3領域(NFT、トークン)で似たようなことをやってるので、これは未来の事業づくりのかたちだなと感じます。
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これは先日も書きましたが、仲間を集めたい場合は、個人的には株よりも「トークン」の方が利便性に優れていると考えています。
トークンの強みはなんといっても、ごく初期から流動性があることです。
トークンの場合、上場を数年待つ必要は基本的になく、もらったらすぐに売れるんです。
他にもトークンには
・株よりも設計が柔軟
・発行・管理コストも圧倒的に小さい
・上場が難しい / 上場を目指さない事業でも活用できる
といったメリットがあります。詳しくは以前の記事をどうぞ!
無論、株には株のメリットがあり、前澤さんはトークンも理解した上で、今回は株にしていらっしゃいます。
前澤さんを見習いつつ、ぼくらはぼくらで、新しい「トークンエコノミー」のあり方を提案していきたいと思います!
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