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主催をする、ということ

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マシュマロでこのような質問をいただいたので、人生で数回ですが、イベント企画を主催したわたしなりの、企画の流れ、心構えなどをなんとなく思い出しつつ、書いてゆこうと思います。

これはあくまでもアマチュアでの企画なので、お仕事での企画主催ではないよ、ということは念頭において読んでもらえると嬉しいです。

まず最初に主催をするということは地獄で火の釜で炙られるような葛藤をする可能性がかなり高い割合である役回りであるということです。誰よりも苦労をして誰よりも頭を下げて誰よりも損な役回りになっても構わない、それでもいいからこれを実行したい、と思う企画以外わたしはやりません。なぜなら単純にめんどくださいし、大変だからです。

撮影にあたってのちょうざっくりした流れ

1  企画
2  金の準備(わたしは一年がかりで貯めます)
3  キャスティング・場所決め
4  撮影準備(タイムスケジュール・衣装相談・役作り)
5  撮影
6  アフター(今後の展開を考えるなら超大事)
7  写真集・展示の仕事分担
  (わたしの場合は毎回だいたい誰が何を担当するかなど
   ありがたいことに決まってます)
8  広報
9  当日
10 アフター(超大事)
11 関係各所全員に直筆の手紙とお礼

FIN


なぜって、これはビジネスではないからです。趣味だからです。例えば撮影の企画でRPGファンタジー物の撮影がしたい!ついでに写真集も作ってイベントやっちゃお!と思ったとします。やりたいと思ってるのはわたしだけです。キャストをやってくれそうな子にまず一人一人頭を下げて依頼をします。その際わたしは誕生日の企画という名目で衣装などの準備は本人たちにお願いしています。(お揃いの衣装の場合はわたしが全員分作る時もあります)その代わり、スタジオ代、移動費、小道具などは全て自分もちです。誕生日パーティーひらくからきてよ!ドレスは自分で準備してね!ケーキとからあげと会場は自分で用意するよ!というまあ、イメージするとそんな感じです。

スタジオ代を自分持ちというと結構驚かれることがありますが、わたしの感覚からすると、いや、お前のやりたい企画なのに周りにお金払ってもらうのおかしくね?衣装準備しないなら会場くらい自分で用意できるわって感じです(これはわたしがカメラマンで衣装などの出費がないからでもあります)わたしが逆の立場だったらなんでお前のやりたい企画にドレスも場所代もからあげ代も払わなあかんねん、こっちの負担多すぎだろって思うからでもあります。

この時点でスタジオ代一人で払うのはちょっと…という人はもしかしたらその企画は今の自分には身の丈にあっていない企画なのかもしれませんね。企画を見直すことも大事かもしれません。個人的にお金がないのにやりたいことをやる、というのはわたしは推奨しません。あくまで趣味。金銭的に余裕があって初めてできることだと思います。

あとお金に関しては必ずキャストを勧誘する時に必ず、明確にしておくことが大事だなと思っています。

わたしの場合は

誕生日に俺の考えた最強の企画撮影付き合って下さい。

・これこれこういう企画のこのキャラをぜひあなたに演じて欲しいと思いお誘いしました。ときちんと企画の趣旨などを説明します。きちんと役者としてあなたにどれだけやって欲しいかということを口説き落とします。
・衣装は基本自分でご用意お願いします。(難しい場合相談下さい)
・撮り高がよかったら写真集と展示するかもしれません
(その場合場所代印刷代すべて私がお支払いします、献本もします)
・撮影データの使用は全面的に自由です。
(展示や写真集の演出の一部として公開日の指定をすることはあるかもしれませんがそれ以外は全面的にバンバン使ってもらって大丈夫です)
・初めましての人が多いかと思いますが、必ず楽しい撮影にしてみせます。
・不安があったらなんでも相談して下さい。必ずフォローします。

とまあだいたいですがこんな感じで口説きます。

これで断られたら残念ですが、わたしの人徳不足ということで諦めます。
3回連続で断られてる人もいるので、そこらへんはうじうじせずに次へと進みましょう。

この時点で気づくのですが、主催、めちゃめちゃめんどくさいです。
あと責任感はんぱないです。
もしもこれを読んでるあなたがキャストさんに日給をお支払いできるのならば、支払ってしまったほうが気が楽かもしれません。わたしは誕生日撮影という名目で払っていない分必ず素晴らしい撮影をして必ず素晴らしい写真を提供します、ということを遠回しに宣言しながら企画を続行している状態です。謝礼は素晴らしいデータと楽しい時間です。という自信がない場合は謝礼を支払ったほうがいいかもしれません。お互いのモヤモヤが晴れます。

ここで向いてないしやりきる自信がない…と思ったらやめるなら今です。ぶっちゃけ途中で中途半端に企画たてて誘って企画倒れして迷惑かけることになるなら、最小限の迷惑に留めておくべきです。その失敗は反省して次に生かしましょう。経験値が足りなかったのだな…と思って次の創作に勤しみましょう。その方が精神的にも健康です。

それでもやりたい、という気概があればあとは大丈夫、撮影をするのみです。当日いかに円滑に撮影を行えるか考えタイムスケジュールを組んでおくといいかもしれません。イメージの共有も事前にしっかりしておくと当日あれ?が減ると思います。写真集にするのが前提であるならば、どのシーンが必ず必要なのか、というのをみんなで相談しておくのも大事かもしれません。

わたしは一人では企画を走りきれないのと、一人で相撲をとるのが嫌いなので、"参加者みんなで"つくりあげるということをモットーとしてます。(俺はワンマンでやるぜって人はスルーして下さい)なのでラインでたくさん話し合います。企画のこと、ストーリーのこと、キャラクターの関係性、衣装、デザイン、演出、広報、写真集編集、たくさんたくさん話し合います。その全体を把握してバランスを取り、決断を下すのが主催の大きな仕事のひとつでもあります。実はわたしはこれが一番苦手です。決断を求められる旅に嫌だなあ嫌だなあと思いながら頭を抱えています。自分に決断する権利があるの?やったー!と思う人は主催に向いてるかもしれませんね。わたしは続く向いてないなあと思いながら続けています。

ひとつの展示にかける日数はわたしの場合はだいたい企画立ち上げから半年ちょっとくらいです。それでやっと一つの展示が完成します。時間もかかるし、すごくめんどうですね。この期間で120回くらいは辞めたい、土下座して逃げ出したいとわたしも思います。でも有言実行がモットー不実行の自分は社会的地位を失うくらい恐ろしいと何度も言い聞かせ、周りの人間に支えられ、フォローをしてもらい完成しています。

大変です、お金もかかります、人に嫌われる可能性もあります、でも、それでも何かを作らなければ、表現しなければいられないという衝動があるからこそわたしは毎回展示当日ギャラリーに立っていられるのだと思います。

主催をやらなくていいのならば、普通の女の子としてスタバ飲んで彼氏とデートして可愛くて高いワンピース買って美味しいものたくさん食べて結婚して子供産んでハッピー感じています。でもそれで納得してくれない"真っ黒な怪物"がわたしのお腹の中で暴れまわるので、泣きながら全ての欲をかなぐり捨てて企画を実行します。わたしの動機はそんな感じです。

主催は辛いこと嫌なことばっかりだ!みたいなことたくさん書いて脅しましたが、でも当日お客様に手を取り合って喜んでもらえた時、メンバーに参加してよかったと言ってもらえた時、写真集を喜んでもらえた時、やっとわたしは自分で脅し続けた自分と自分は間違えてなかった、これで完成したのだと抱き合うことができるのです。

(とかいいつつこのあと通販作業などで追われるので展示はゴールではないのですが、ひとつめのゴール地点ということではゴールということで)

展示の最後の夜、布団に潜って眠る時、ああ、もうこんな大変ことはもうこれっきりにしよう、楽しかった本当に楽しかったけれどこれが最後だと噛み締めながら眠ります。それから感謝状を全員に直筆で送ります。これは友人の受け売りなのですが、必ず手紙を書くことにしています。それから特別な贈り物とサイトウエンなんでもする券を贈ります。

それから半年ほどぼんやりと過ごし、そして又私の中の怪物が疼き始めるまでわたしは普通の主催でも何者でもないものとして過ごす、これがわたしの企画主催のだいたいのサイクルです。

長くダラダラと書いてしまいましたが参考にしてもらえれば幸いです。
主催は死ぬほど大変ですが、これ以上ない喜びや光景を見せてもらえる素晴らしい役職です。あなたも体のどこかに怪物がいていてもたってもいられない!という時はぜひ、やってみて下さい。




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