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見たことのない空 漁火と三日月と海
令和が始まったばかりの初夏の晴れた日、なんとなく海が見たくて日本海に出かけました。
空ばかり見てきたのですが、ほかの諸々の事情でちょっと疲れていたので、なにか心をクリアーにしたかったのです。
ほんと、何となく行ったのでいつもの撮影機材ではなく、カメラ1台と中望遠ズームといった簡易的な装備。
夕食をゆったりと撮った後、夕方の快晴の空に三日月が輝いていました。
そんな時撮った写真、なんか思った以上にきれいな風景を見つけたのです。
この写真、静かで美しいだけじゃなくて、どこか特別な魅力を感じませんか?深い青い空と海に浮かぶ三日月、その下に優しく輝く漁火。
この一瞬の風景には、自然と人間の営みが調和した、ほっとするようなぬくもりがあるように思います。
三日月の柔らかな光は、存在感があります。
さらに、その影に浮かぶ地球照。
地球の反射光が月面を淡く照らしているんですが、これがまた繊細で、不思議な感覚を引き出してくれます。
自然が創り出すこの繊細な表情には、どんな言葉でも表しきれない美しさがありますよね。
漁火も素敵です。この小さな光が、どこか人のぬくもりを感じさせるんです。
日本海で昔から続いてきた暮らしや文化の一部が、この一つの光に象徴されている気がします。
人工の光だけど、自然の風景にすっと溶け込んでいて、互いに響き合うような調和が感じられます。
そして、この空と海の深い青。この色彩は「Bluemoment」と呼びたくなるような特別な時間帯にしか現れないものなんです。
太陽が沈みきる直前や昇り始めたばかりの空が生み出す、一瞬の青のグラデーション。
その青の中に浮かぶ月と漁火が、シンプルだけど力強い印象を与えてくれます。
もうひとつ、この写真の中で印象的なのが「余白」の存在です。空と海が広がる広大なスペースがあるからこそ、三日月と漁火の控えめな輝きが際立っています。
この余白の美しさ、日本人が大切にしてきた「間」の感覚に通じるものがあると思いませんか?見る人に委ねる、余韻を楽しむ空間の作り方が、この写真には詰まっています。
こんなふうに自然と人の光が穏やかに共存している風景を見ると、私たちもまだ自然と共に生きることができるんだと、そっと背中を押されるような気持ちになります。
この写真は、特別な瞬間を切り取ったものですが、それ以上に「これからもこんな風景を大切にしていきたい」と思わせてくれる、静かなメッセージを持っているように感じます。
どこか控えめで、シンプルで、それでも力強い。そんな美しさが、この一枚に宿っているように思います。
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