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見たことのない空 外接ハロの朝
空に浮かぶ大きな瞳とパレイドリア現象
ある夏の朝、静かな公園を歩いていると、ふと太陽のまわりに大きな光の環が広がっているのが目に入った。
くっきりとした輪が空に浮かび、まるで天空が大きな瞳を開いてこちらを見ているかのようだった。
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これは「外接ハロ」と呼ばれる大気光学現象のひとつだ。
ハロは、空気中の微細な氷晶によって太陽や月の光が屈折することで生じるが、外接ハロは通常の22度ハロとは異なり、特定の条件が揃ったときにのみ見ることができる。
その条件のひとつが、氷晶の並び方だ。一般的なハロは、氷晶が無秩序に浮かんでいても発生するが、外接ハロが現れるには、六角柱の氷晶が水平に揃って浮かんでいる必要がある。
そのため、発生の頻度は通常のハロよりも低く、観察できる機会は限られている。
さらに興味深いのは、その形状が太陽の高度によって変化する点だ。
太陽が低いときには、二つの光の輪がつながるように見えることがあり、高度が上がるにつれて楕円形になり、最終的には完全な円を描く。
この日、目の前に広がっていたのは、まさにその円形の外接ハロだった。
この光の環を見たとき、多くの人が瞳のように感じるかもしれない。
実際、人間の脳には、ランダムな模様や形の中に意味を見出す「パレイドリア現象」と呼ばれる認知の特性があり、雲の形を動物や顔に見立てたり、月の模様をうさぎと認識したりするのもその一例だ。
外接ハロが天空の瞳のように感じられるのも、こうした心理的な要因によるものだろう。
しかし、この現象がただの錯覚や偶然の産物ではないこともまた確かだ。
大気中の氷晶が光とどのように作用し、どのような条件が揃えばこの美しい光の環が形成されるのか――その背後には、自然が生み出す精巧な光学の法則がある。
科学的に解明されているからこそ、その美しさがより際立ち、私たちはこの世界の不思議に心を動かされるのではないだろうか。
もし次に空を見上げたとき、こんな光の環を見つけたなら、ぜひその瞬間を味わってみてほしい。
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そこには、科学と自然の繊細な調和が生み出した、美しい奇跡が広がっているのだから。