テレビ局のビジネスモデル
前回はキー局と系列局の仕組みを軽く触れましたが、今回はビジネスモデルの仕組みを説明したいなと思います。
放送事業収入と放送外事業収入
テレビ局は大まかに分かれて以下の二つの事業収入に分類されます。
①放送事業収入
・広告収入
・タイム広告
・スポット広告
・番組販売
・CS放送(※局によって分社化の場合もある)
②放送外事業収入
・イベント事業
・映画事業
・DVD/BDなどの販売事業
・番組関連グッズ事業
・配信事業
局によって異なりますが放送事業収入は大体7~9割程度、放送外収入が1割から3割程度になると思って良いかなと思います。利益率という意味では、番組コンテンツを実質上タダで利用出来る放送外事業収入の方が当然高くなります。例えば、テレビ東京の営業利益の大部分はこの放送外収入で稼いでいたりもします。つまり、本業である放送収入では事実上の赤字に転落しつつあった状況です。
そのため、ビジネスの性質上、番組そのものが資産でありテレビ局においての商品となりますので、番組を如何に量産して稼いでいくのかが大事な時代になっています。例えば、一昔前ではDVD/BD事業は箱代と製造コスト等のみで原価率が極めて低い状況で荒稼ぎを出来ていたり、テレビ局にとっては美味しい商売でした。もっとも配信事業の伸び率と共に衰退の一途を辿っているのが現状です。なお、余談ですが、未だにDVD/BDなんて買う人なんているの?という方も多いかも知れませんが、アニメやドラマではまだ万本レベルで売れていたりするコンテンツはたまにあります…。
放送事業収入における広告収入
さて、ここからが本題です。
テレビ局の大部分は放送事業収入となり、概ねスポット広告とタイム広告となります。キー局の場合、売上比率としては大体50:50となります。つまり、35~45%程度の売上がこの2つに依存する構図となっています。このタイム広告とスポット広告の違いはなんでしょうか。日本テレビさんの広告ガイドにより引用して説明すると。
タイム広告
個別の番組を提供し、その番組に含まれるCM枠内で放送する広告です。
タイムCMのセールスの最小単位は30秒で、期間は2クール(6ヶ月)が基本です。
日本テレビ広告ガイド
放送局においての安定収益性確保のためのある種の屋台骨みたいなものです。半年ごとに変わるのですが、大体1月から3月/7月から9月にかけてセールス活動を行います。
また、このタイム広告の中でも2つに分かれており、全国向けのネットタイムと放送免許を持っている区域向けのローカルタイムの2つに分かれています。この中での売上比率はキー局の場合、ネットタイムが大体8~9割程度、ローカルタイムが大体1~2割程度となります。
ちなみに、このタイム広告がよくある「この番組はご覧のスポンサーでお送りします」と放送されている提供表示となります。30秒単位のセールスとなっており、以下のように分かれております。
提供秒数/コメント
30秒/ごらんのスポンサー
60秒/社名または商品名
90秒以上/かんたんなキャッチフレーズを含む社名または商品名
スポット広告
スポットとは、番組に関係なく、局が定める時間に挿入されるCM枠内でCMを放送する広告です。スポットCMのセールスの最小単位は15秒で、基本的には関東ローカルでのセールスを行っています。
タイムとは違い、購入できる期間は自由に設定できますので、例えばある商品のキャンペーン期間中のみ購入しCMを放送することが可能です。
日本テレビ広告ガイド
このスポット広告は季節変動制が高く、世の中の閑散期と比例する部分もあります。例えば、2月や8月頃は比較的出稿が少ない時期となります。またタイム広告と違い固定枠で出稿する事はなく、広く薄く広告を出稿できます。放送局から見たらある種のバルクセールみたいなものです。
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