【オボステルラ】(著 : ナナオキ様)が面白い!
さて先日、ミズノさんの片想いを白状しました。
⬆️の記事の『ファンタジー小説編』にてつらつらと一方的に気持ちを綴っておりましたお相手からリアクションをいただき、さらに実際にお名前や作品名を出しても構わないとの許可までいただきました。
いやあ、言ってみるものです。
嬉しくて虚無になっちゃう……🙂
今回ご紹介させていただきますクリエイター様は
ナナオキ 様
ご紹介させていただきます作品名は
オボステルラ
結論から申し上げますと、面白い。
noteに掲載されている長編ファンタジー小説の中で個人的に一番面白いし、読みやすく、noteという媒体にもかなりマッチしている作品だと思います。
片想いの記事中でも申し上げました通り、
『しっかり読みたい人向け』
且つ
『紙媒体の本が好きな人向け』
だと個人的に思うのです。
文章には密度がありますね。
この密度がちょうどいい。密度として大きすぎず、小さすぎず、文体に嫌味もなく、スクロールして読む量としてかなりちょうどいいのです。
文体自体が非常にスタンダードでさくさくしておりますからスッと入りやすく、ストレスもなく、ルールを理解するまでに時間がかかるタイプの独特の世界観ではないため、あえてこの表現を致しますと『とっつきやすく』『でも思春期向けではない』ファンタジー小説です。
あと挿絵があるよ!!!!
R指定的意味ではなく大人向けの内容ですから、最近の流行について『ああ、転生系ね……』とか『うーん、俺最強系かあ……』とちょっと思ってしまう人であっても心配なく読み進められると思います。
大丈夫、どちらかといえば絶望スタートです。
ナナオキ様ご自身でもおっしゃっているように、剣と魔法が交差するタイプのFFやドラクエ的ファンタジー小説ではなく、二面性を持つ『とある伝承』を追う人々のお話。
現在も更新中のお話ですから、あまり内容に切り込んでネタバレをするなんて無粋なことはしたくありません。
そのため、今回はあくまで主人公たちや物語の始まりについてご紹介させていただきたく思います。
本編はぜひぜひご自身でお楽しみください。
現在第三章が終了し、おまけ話もつけてくださっています。
もう公に許可もらっちゃったもんだから各所にペタペタリンク貼っちゃうもんね。
ご紹介
さて物語の主軸になる人物は大きく二人。
一人は名前すら持たない僻地の貧村の少年、ゴナン。
もう一人は、『とある伝承』を追って各地を旅する『死ぬと定められた日までは死なない旅の学者』リカルド。
命を奪うほどの飢えと渇きの中、日々生きることだけで精一杯、自分が何者なのか、自分が一体何者になれるのか、何になりたいのか、何ができるのか、そういった人間的欲求を持つことすら想像せずにただ『生きる』ことを淡々と続けてきた少年・ゴナン。
そんな彼はある日『大きな鳥』が空を渡る姿を目にします。
目の良い彼は、その鳥の背に少女が乗っていることに気づきこそしますが、なにせ『何事も求めない』人々が暮らす小さな村の少年ですから、『親方!空から女の子が!』と冒険の始まりに胸を膨らませたりもしない。
そういう不思議なこともあるものか、とあっさり流したその『大きな鳥』こそが、一話冒頭の『その鳥の姿を見た者には不幸が訪れるそうだよ』につながる『とある伝承』。
言い伝えの通り、ゴナンが大きな鳥を目撃してからただでさえ貧しい村に更なる危機が訪れます。
村人は弱い者から亡くなり、その死にすら心を傾ける余裕がなくなりつつあるゴナン自身にも脱水、飢餓による命の危機が全く普通のことのようにやってくる。
ああ、このままでは、というところでふと現れた男こそが『大きな鳥』を追いかけているという旅の学者・リカルドでした。
彼はゴナンを死の淵から救い上げ、なんでも無いことのように言うのです。
そう、伝承には続きがありました。
大きな鳥を見たものには不幸が訪れますが、卵を得た者は幸せになれる。
しかし飢えという極めて原始的且つ根本的な困難に直面しているゴナンにとって、幸せという概念は二の次。
ふわふわして掴みどころのない『幸せ』よりも、卵を食べても良いならついていくけれど、と返した、欲を知らないゴナンの人生の転機があるとしたら、ここ。
……と、ここまでが第一章の冒頭です。
ただただ生きることを繰り返し、本当は外に出られるのだけれど、外に出るという考えから抱いたことのないゴナンに対して、外から来たリカルドは容易く『旅』と口にします。
彼にとっての当たり前と、ゴナンにとっての当たり前は根幹から異なるのです。
その『当たり前』の違いをうまく対比させつつ、読み手の『まあなんかいい感じにゴナンのこと一緒に連れてっちゃうんじゃないの〜?』という予測を『えっ』という形で裏切る緩急が見事です。
そして『えっ』と思ったまま、なんと第一章は終了。
多くの謎と読み手の『えっ』という感覚を残したまま、第二章に突入します。
私は片想いの記事の中でも『第一章というよりは、第一巻を読み終えた気持ち』といったような表現をしました。
単行本的な『区切りの楽しさ』があるのです。
ですから『紙媒体の本が好きな人向け』とご紹介いたしました。
ええ〜どうなるのよ、と思いながら紙の本をパタッと閉じるときの気持ちに似た感覚に浸ることができます。
昔のゲームでも大きな区切りの部分ではディスクの交換があった(ミズノさんはプレステの世代です)と思いますが、その感覚にも似ています。
大きなスケールの物語に足を突っ込んだぞ!
というワクワク感とも表現できるでしょうか。
とにかく、『そうそう、私、これが読みたかったの』と思いました。
私自身が思春期の時期を過ぎてしまったせいでしょうが、どうしても『学園ファンタジーもの』やそれこそ『冴えない俺が転生したら最強だった』や『養成学校系』や『天才最強美少女が出てくる』的な展開についてゆけず、しかし昨今の流行といえば『転生ファンタジー』が鉄板であって、noteでも多くのクリエイターさんがこのジャンルを執筆しておられると思います。
誤解があってはいけませんからしっかり書いておきますが、
もちろんそれぞれ面白いのです。
ターゲット層ではない人間もいるよ、ということなのです。
面白いのですが、ある一定の年齢になってきたり、『もうちょっと密な文章が読みたいな』とか『もうちょっとバリバリの容赦ない内容が読みたいな』と思う場合には、『転生最強ファンタジー』や『特殊技能養成学園系』はちょっと味付けが違う。チーズハンバーグ三段盛りにガーリックライスよりは、焼鮭の西京焼きに野菜の煮物、お味噌汁と漬物と雑穀ご飯と温かいお茶とデザートにちょっといい果物がいいなあというときにぴったり。
ああ、そうそう、こういうのがよかったの。
これくらいのが読みたかったの、私。
↑ の感覚になれるのです、本当に。
おそらくなのですが、私のnoteを読んでくださる方々はほぼ間違いなく全員社会人経験があるだろうと推測しております。そもそもR25のドスケベ不審者のnoteですから、未成年の学生さんは大人になってからまたきていただきたいのですが、とりあえず、大人の方が多いと思います。
私自身もそうですが、公共交通機関での通勤を伴う方も多いでしょう。
昼休憩なども1時間とされているだけで、よくないことですが、実質その時間はなかったりもするでしょう。
そういった中で、がっつり文庫本を読むよりは、スマホを眺めていることの方が多いのではないでしょうか。
そのスマホの中で『読む』のにぴったり。
1スクロールでファンタジーの世界にサッと引き込んでもらえるのですから凄いことだと思います。
本当はページをガツガツめくりたいけど、現実問題勤めてるとそうもいかないのよ、という『大人』向け。
いい塩梅のところを押さえておられるなあ、と勉強になります。
一話あたり、概ね5000字くらい?でしょうか。
話数自体はこちらでまとめておられるように⬇️
『おおっこれは本腰を入れなくては』と思う大きな数字になっておりますが、実際はnote上で読みやすい一記事あたりの字数の都合で区切られているため、かなりテンポよく読めるようになっていると思います。
むしろ『次は?!次は?!』となるのではないでしょうか☺️
それから、ちょっと前後いたしますが、第一章の終わりは『えっ』のまま、と申しましたね。
大丈夫、第二章の始まりでも『えっ』のままです。
個性的な登場人物が一気に増え、私の超『推し』も現れます。
この人がいないとこの連中どうしようもねえだろ、という絶望をなんとかしてくれる非常に頼もしい人物で、きっと、多くの人が『ああ、いい人だこの人は』と思うのではないでしょうか。
お名前だけ載せておきましょう。
ナイフちゃんです。
いいですか、『ちゃん』までが重要です。
ネタバレ防止の観点からあまり第一章の内容をつっこめなかった理由上、第二章や第三章⬇️
の内容もがっつりはご紹介できないことが非常に残念なのですが、ざっくり申しますと、第三章は『どうなる?! ゴナン!』といった内容で、ハラハラドキドキ、大変胃が痛くなります。
全体を通して
拝読している感覚として、第一章は物語が始まり、第二章は人物像にグラデーションがつき、第三章で旅の仲間たちの関係性が見えてきて、『オボステルラ』という大きな物語が、ぐぐぐっと持ち上がる力を感じました。
船が海へ出るために、力強く港を離れる時の感じ。
おまけを挟み、きっと第四章では波を力強く切って、『オボステルラ』はぐんぐんと進んでいくことでしょう。
生きるといえば『生きるだけ』で無欲であらざるを得なかったゴナン、『死ぬと定められた日までは死なない』リカルド、見た者に不幸を呼ぶが、幸せを与う卵と共にある大きな鳥、そして『オボステルラ』。
ナナオキ様曰く、まだまだ旅は始まったばかりとのことですから、これからの展開が楽しみでなりません。
応援しております。
この度はナナオキ様、オボステルラのご紹介を快く許可してくださいまして、本当にありがとうございます。
読書好きの皆様、ぜひ、この日曜日に『第一話』をどうぞ。
⬇️ おまけ(ナナオキ様へ)
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