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初心忘れるべからず
初心忘れるべからず
先日、生徒たちを対象に行ったアンケートの結果が届きました。その内容は、率直に言って厳しいものでした。「授業がわかりにくい」「先生が生徒一人ひとりに向き合っていない」といった意見が目立ち、教員としての自分が否定されたように感じました。
しばらく結果を直視できずにいましたが、時間が経つにつれ、ふと自分が教えるという仕事をはじめたに40年前を思い出しました。
初めて教壇に立った日のことは、今でも鮮明に覚えています。真新しいチョークを握りしめながら、「子どもたちにとって学ぶ喜びを与えたい」と心の底から思っていました。未熟ながらも、生徒一人ひとりに目を向け、少しでも彼らの成長を助けられる存在でありたいと願っていました。その頃の私は、授業の準備に何時間もかけ、生徒たちの些細な変化に気づけるようにと全力を尽くしていました。
しかし、今の私はどうでしょう。40年という年月の中で、いつの間にか「慣れ」や「効率」を優先し、生徒一人ひとりと真摯に向き合う姿勢を忘れてしまっていたのではないか。アンケート結果は、まさにそのことを指摘されているように感じました。
厳しい評価を前に、落ち込む気持ちがないと言えば嘘になります。しかし同時に、この結果は、私にもう一度初心に立ち返るチャンスを与えてくれたのだとも思います。
「初心忘れるべからず」という言葉があります。私がこの仕事を始めたときの思い――「子どもたちと共に学び、成長したい」という情熱を、もう一度胸に刻み直そうと思います。授業の進め方を見直し、生徒たちの声にもっと耳を傾ける。忙しさを理由に流していた一瞬一瞬を、もう一度丁寧に拾い上げる。
教師としての40年は決して短くはありませんが、それでも「まだできることはある」という気持ちを忘れず、これからも努力を続けます。子どもたちが「この先生に教わってよかった」と思ってくれる日が来るように。
初心を胸に、また新しい一歩を踏み出します。
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