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なぜ中国が非科学的な批判を続けるのか、九州大学 益尾知佐子教授の慧眼

少し前の記事を改めて読み見返す。

専門家とはいえ、益尾先生の慧眼に驚くばかり。

約1ヶ月を経て、この記事のような解説や報道が増えてきていると感じる。

 福島原発事故で生じた処理水の海洋放出問題で、日中関係が緊張し始めた。
(中略)
昨年11月中国の毛寧・外交部報道官も、IAEAの作業班の福島視察を支持し、一行が「客観的で公平で科学的な原則に基づき、核の安全に関する同機関の基準を厳格に貫徹」するよう求めていた。
 つまり、IAEAの承認は中国の同意の「条件」だったのだが、日本がそれを満たすとわかると、中国はゴールポストを移動していっそう激しく日本批判を展開している。

 いったいこうなるのか。中国の主張の目的を理解すべきだ。

「中国外交の武器となる『汚染水』批判」(益尾知佐子 九州大学大学院教授)
週刊東洋経済 2023.7.29 P.28-29

さらに鋭い解説が続く。

 中国の最近の国内報道では、福島処理水は核「汚染水」の呼称で統一されている。つまり中国メディアは最初から、この問題で日本批判を行えと指示されている。
(中略)
 最初の報道は2021年5月6日だ。処理水問題はその前からあったが、中国はその頃これを「汚染水」と呼び、攻撃すると決めたはずだ。
(中略)
 これらの記事に一貫するのは、日本政府が「国際法に違反し、無責任な態度と不透明な手法で、世界の海を一方的に汚そうとしている」という論理だ。掲載記事の83%で中国以外の国や団体の批判が取り上げられ、日本は世界の声を顧みない存在として描かれる。中国はいわば他者の口を借り、「実は醜悪な日本」の喧伝に励む。

(同上)

今後の展開についても明快。

 中国は西側陣営への批判材料が減るのを望まない。だからこの問題は当
面、幕引きされない。当局の喧伝戦の影響で、今後中国人の日本イメージも悪化していこう。おそらくこの問題は、かつての歴史認識問題のように泥沼化する。中国は併せて沖縄への独立工作も仕掛けてきており、日中関係は再び冬の時代を迎えている。

(同上)


 日本を強く批判をすることで、悪化の一途をたどる国内経済への国民の関心を逸らし、中国共産党による統治の正統性を毀損させないための方策でもありそうだ。

 その一方で、日本における対中国感情が、ここまで急速に悪化するとは、予想していなかったかもしれない。

 いずれにせよ、屈することはできないが、過度に感情的にならず、長期的な視点に立って冷静に対処することが必要なのだろう。

 我が家でも海産物の消費を増やしながら。

 


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