30年以内に「70〜80%」の確率で発生するといわれている南海トラフ地震。この確率が水増しだと、丹念な取材で突き止めた力作。
真実を追い求める小沢さんの記者魂が読み手に迫ってくる。詳細は、ぜひ本書を手に取っていただきたい。
さらに政治的判断によって科学が歪められている実態を見事に暴く。
こちらの方が私には衝撃だった。
▶︎ 「前兆現象はオカルト」 「予言可能と言っている学者は詐欺師」
▶︎ 「彼らはばかではないがずるい」
勲章のどこが嬉しいのか理解できないが、やっていることは、ずるいどころか卑劣。
▶︎ そして、事なかれ主義?
中央防災会議の作業部会は、2017年に「(南海トラフ地震の)確度の高い地震の予測はできない」という報告書を発表。
予知を前提とした地震防災対策を断念したが、その一方でそれを前提とした大規模地震対策特別措置法ついては廃止されなかったという。
多くの国家公務員の方々が、過酷な労働環境の中でも、国の将来に思いを馳せ真摯に取り組んでくれている。
でも無謬性志向なのか事なかれなのか。これが現実なら、官僚の保身によって無駄なお金が使われ続ける。
そもそも高い専門性が求められるいまの時代に二年での異動は早すぎる。
▶︎ 危うく国の情報を当てにするところだった…
膨大な国費を投じて地震に対する監視網が構築され、それが活用されるのだと信じていたが、それは「勘違い」とのこと。
いまの科学では予知・予測は不可能で、地震は突然やってくるものなのだ。私たちができるのは「備える」こと。
ご自身が唯一の長所と謙遜される「粘り強さ」に加え、とことん真実の追求し、この問題を世に問うてくださった小沢さんの記者魂に敬意を表します。
第71回菊池寛賞の受賞、誠におめでとうございます!