![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/98484298/rectangle_large_type_2_579f5615bebddbb3fb121eaa0f7c6d08.jpeg?width=1200)
引越顛末2
2023年1月28日(土) くもり
引っ越ししてからちょうど2週間が経った。住民票や免許証の変更など、思いつく限りの手続きもだいたい済ませることができた。先週はベッドが届いて、そこからようやく人間らしい生活になったと感じる。もともと長いあいだ敷布団で生活してきたのだけど、今度の住居は硬い床&底冷えで、これまでのライフスタイルを変更せざるを得なかった。
遡ること2週間前。引っ越しを終えて初めての夜。敷布団の上に横になると、まるでコンクリートの路上で眠っているようだった。背骨を感じた。自分の体重を感じた。血流が滞っているのを感じた。新しい家での生活が始まる、その期待感なんてまったく感じられなかった。これから最悪なことが起こり続ける。環境音に対する警戒もフル稼働していて、身体は疲れ果てていたはずなのにあまり眠れなかった。
2日目の夜。この環境で眠ると身体を壊して死ぬと確信した俺は、敷布団を縦に折りたたんでその上に眠ることにした。煎餅布団と呼ばれるような薄いものだが、二重にすれば充分な厚みを感じられる。死を免れて一安心。しかし背中の痛みこそ緩和されたが、棺桶程度のスペースに収められた身体は最低限度の生活からほど遠くに感じられた。翌朝目が覚めて、春巻きのように丸まった布団を見たとき、これは人間の寝床ではないと思った。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?