【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第17回「棋聖戦第5局の序盤を眺めてみよう!」
こんにちは。
IGOcompany【U】です。
財団法人日本棋院での15年間の勤務を経て、囲碁をビジネスに起業。
もうすぐ10周年になる「宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、
「新百合囲碁学園」の学園長を任されたりしながら、世田谷や麹町、大学などで囲碁を教えて、ご飯を食べてます。
本日のnoteは、
【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!シリーズの、
第17回「棋聖戦第5局の序盤を眺めてみよう!」
です。
いつも書いてるんですが、囲碁の棋力向上の為には沢山の囲碁の知識に触れることが必要です。
本を読んだり、囲碁教室に通って講義を受けたり、指導碁で検討してもらったり、そういう積み重ねが大切なんですね。
囲碁は、これだけを覚えれば大丈夫!ってことが(ナカナカ)ないので、応用の連続と言いますか、難しい言葉で表現すると「棋理(囲碁の理屈)」の理解が重要です。
色々な局面に対応するために、それぞれの知識が必要になるので、たくさんの棋譜解説(など)に触れて囲碁の知識の引き出しを増やしていかないといけません。
身も蓋もない言い方をすれば、兎に角、数をこなさないことには強くならないんですよね(笑。
なので、
拙いnoteではありますが、コツコツせっせと色んなことを書いていきますので、良かったら眺めてみて下さい。
毎週、棋譜解説を書いているので、週に1回、1年で50回以上、新しい知識に触れることが出来れば、
囲碁が強くなること間違いなしです!
宜しくお願い致します。
有料noteは、
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前回のnoteはこちら。
前回は、女流棋聖戦を取り上げてみました。
※必ず前回のnoteを載せていますので、もし興味があれば遡ってみて下さい。
今回の参考教材。
【棋聖戦第5局 黒 井山裕太王座 白 一力遼棋聖】
YouTubeで中継もありました。
いつも思うんですが、
囲碁の動画って長すぎるので(それが良さでもあるんですが)、ポイントを絞った10分くらいのダイジェスト版みたいなのがあるといーなと思います。
【講義で使った部分までの棋譜 白84手目まで】
木曜日の教室や、新百合囲碁学園で、この題材を使って講義しました。
この碁のポイントは、
白22の打ち込みからの戦いです。
個人的には、井山先生が頑張って打っていったな(凄いな)という印象です。
もうちょっと軽やかに打ってもと思ったりもしましたが、偉大な井山先生の棋風なので、僕が何か言えることはないんですが、
ただ、教室の生徒さんや、このnoteを読んでくれている(ほとんどの)皆さんには「こんなに頑張らなくていいよ」とも伝えたいので、その序盤のポイントを解説していきたいと思います。
(別に何かを批判するワケでもなく)、
あくまで個人の感想ですので、気楽に眺めて頂けると嬉しいです。
良かったら棋譜を並べながら解説を読んでみて下さい^^。
【黒1手目~15手目までの局面】
序盤は落ち着いた進行です。
右上隅、白6のカカリに黒7のコスミ、白8と二間ビラキもわかりやすい定石ですね。
右下隅の三々入りからの変化、黒15と単にケイマするのは、やや珍しいかもしれません。
【参考図① カカリにハサミを打った場合の三々定石】
右下隅は、このようになればよくある三々定石。
白10とハイで打つのが現代風ですね。
AIで検討しても、このような形を示していたので(まあ、定石ですし)、これが普通の変化となります。
三々定石に関して、こちらのnoteでまとめていますので良かったら読んでみて下さい。
【参考図② 黒がハネツギを決めずに打った理由】
だったら何故、井山先生は、実戦のように打ったのかと言うと、
下辺白2のハサミが星で遠いので、いずれ黒1の石からAなどの動き出しを狙っていたのかもしれません。
【実戦の進行 白22手目まで】
参考図②で紹介した黒の狙いがあるので、白は16と一手ハサミを打ちました。白10と白16は、昔は働きのない二重バサミの形と言ったりしていましたが、現代ではよく見かけますね。
白18のコスミツケから黒21の二立三析のヒラキはよくある形。
この形に対して、
白22の打ち込みからの変化を、これから詳しく解説します。
【参考図③ 白の狙いの打ち込み】
上で紹介した白22の打ち込みは、部分的な狙いの一手。
コスミツケた後の二立三析に対してや、
下の図のようなツケヒキ定石の時にもよく打たれます。
【参考図④ 簡明な形】
打ち込みに対しては、基本的には反発せずに受け入れる方が良いでしょう。
黒1のコスミで白2の連絡を許せば簡明な形です。
連絡されるのが嫌だなぁと感じる人もいると思いますが、序盤だったら、だいたいはワタリを許して打って問題ないと思います。
【参考図⑤ 同じく連絡を許す変化】
参考図④は、黒1のコスミだけを覚えれば良いので簡明な形。
ちょっと手順が長いですが、黒1のツケからの変化も良く打たれています。
何度も言いますが、ワタリを許したとしても、黒は厚みを得て、しかも先手ですので特に不満はありません。
これで一局と覚えておきましょう。
【参考図⑥ 分断をするのは激しくなるのであまりオススメしません】
黒1(あるいはコスミツケもあります)と分断するのは強い態度ですが、白2のトビから戦いが開始します。
打ちこなせる、戦いは十分にやれると思えばこのような展開も考えられますが、
基本的には参考図⑤のような変化をオススメします。
【参考図⑦ 三々に入る選択肢】
参考図③のツケヒキ定石と違い、星からのコスミツケの場合の、黒は三々に入る選択肢もあります。
その場合は、黒△の二子を「軽く見る(さしあげる)」という判断です。
黒3は最近AIが示す大ゲイマスベリ。この黒3の手では「5-三」にノゾキを打つ古来からの打ち方もあります(後の参考図で紹介)。
【実戦の進行 黒23手目】
黒23手目は感心しました。
なるほど。
白22と打たれると、渡らせるか遮るかしか考えないものなのですが、どっちを打つかをいったん「保留」する考え方ですね。
とはいえ、白からAに連打される手も嫌ではあります。
【実戦の進行 黒31手目まで】
白24のカケは、右下隅に対する形の好点。
黒は27のハネツギを決めて、ほぼ定石の形に戻しました。
黒31は強い石に対してケイマしている印象でしたが、AIで検討すると最善の候補手。左下隅から盛り上げていくのが大きいんですね。
【実戦の進行 黒37手目までの局面】
ちょっと不思議な手順なのですが、
黒35のオシに白36のカカエを打たせてから、
黒は左辺、黒37のコスミツケに戻りました。
ここから左辺の戦いが開始します。
【参考図⑧ 先手を取る工夫】
その前に、白36とカカエさせるのに、ちょっと違和感を覚えたんですが、単に黒33と打つと「先手」で白34と打たれてしまうので、実戦のような手順を踏んだのかもしれません(善悪は不明です)。
【参考図⑨ 黒35はどうだったのだろうか?】
そもそも黒35は良いトコロだったのかなって疑問も浮かんだんで、AIで検討してみました。
5分くらいしか読ませてないので、他にも色々あるかもしれませんが、黒33と出切りを打ったからには、やはり普通に右下隅の黒33の石から動き出すのも有力だったようです。
【実戦の進行 黒37手目までの局面】
さて、
下の図が、さきほども載せた黒37手目の局面。
ここからは「戦い」。序盤の山場です。
皆さんだったらどう打ち進めていきたいですか??
【実戦の進行 黒39手目まで】
黒37に対して白38のトビ、黒39の鉄柱と実戦は進みました。
【参考図⑩ 弱い石から動くのが本手】
このnoteを読んでいるほとんどの皆さんには、黒39の鉄柱の手で、下の図の黒1のトビをオススメしたいと思います。
「弱い石から動く」がまずは基本です。
白2はAまで行く手もあるでしょう。
部分的な形の急所になります。
【参考図⑪ 鉄柱が頑張った手】
実戦の黒39の鉄柱は、左下隅の地を確保しながら攻めるという意図の「頑張った手」。
囲碁は地を稼ぐと石が弱くなるので、ここから白△の二子と、黒□の三子の強弱がこの碁のポイントになります。
この解説を通して、(なんとなくでも)石の強弱を感じてみて下さい。
【実戦の進行 黒41手目まで】
実戦は、白40の手に対して黒41。
この手を見た時は、井山先生は左上隅の黒石を軽く捨てるのかなぁと思ったんですが…。
※実際には、黒は、この後凄く頑張ります。
もし、
僕が黒番だったらこう打つのをオススメするなぁって手があるので、
以下の有料部分で紹介してみようと思います。
それでは、
ここまで読んで頂きありがとうございました。
是非ぜひ、また読みに来て下さい!!
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さて、
それでは僕のオススメの一手は!?
サポートありがとうございます。コロナの影響もあり、今囲碁界はどんどん縮小していっています。どうにかしたいと思っている方は多いと思います。まずは小さな一歩から、囲碁の本を買ったり、近くの囲碁サロンに行ってみたり、周りに囲碁を教えてみて下さい。サポートは囲碁普及に使わせて頂きます。