【マーケ基礎】決めのひとこと。
「何かお探しですか?」
「プレゼントですか?」
お店で商品を見始めると、
声を掛けて来る店員さんがいます。
大きなお世話! おせっかい! うるさい!
ほとんどのお客さまは、そう思っています。
でも、こんな店員さんは、
まだまだたくさんいるのです。
お店に足を運ぶお客さまの80%以上は、
何を買うのかを決めて来るわけではない、
というデータがあります。
つまり、見てから決める、
もしくは見るだけ、なのです。
そんなお客さまに、
いきなり「何かお探しですか?」と言っても、
答えようがありません。
怒ったり、居心地が悪くなって、帰ってしまいます。
お客さまは、商品を見ている間、
声を掛けて欲しくないのです。
ゆっくり見て、楽しみたいのです。
だから、そっとしておく方が喜ばれます。
だったら、まったく黙っていれば良いのか、
と思われるかもしれませんが、そうではありません。
ごあいさつ+「ひとこと」が必要なのです。
もちろん、ごあいさつは“いらっしゃいませ”ですが、
「ひとこと」は、お客さまが“いまだ”という
シグナルを出している時に、
すべてを決定する言葉を発するのです。
そのシグナルとは、商品の購入を迷っている時、
選択を悩んでいる時の仕草や表情のことです。
それを読み取ることが大切なのです。
ある程度は、お客さまが声を掛けて来るのを待ちます。
商品について質問して来るまで。
その時に「ひとこと」を言います。
もし、ずっと悩んでおられるようなら、
こちらから「ひとこと」声を掛けます。
その「ひとこと」とは……。
甲子園球場での、ある出来事を書きましょう。
ビール売りのバイト学生の伝説です。
大きなタンクを背負いながら、
「ビール、いかがですか〜」
と場内を売り歩くバイトです。
このバイトは、基本給+歩合給になっていて、
売れば売るほど、学生は儲かるようになっています。
しかし、どの学生も同じ程度にしか売れません。
それは当然のことです。
同じビールを、同じような売り方で、
同じお客さまを相手にしているのですから。
でも、あるひとりの学生は、違っていました。
飛び抜けて、売り上げが良いのです。
特に変わった売り方をしているわけでもありません。
ただ「ひとこと」だけ、売りの言葉が違っていたのです。
他の学生は「ビール、いかがですか〜」。
この学生は「冷たいビール、いかがですか〜」。
わかりますよね、この違い。
夏の暑い時に、熱気ムンムンの球場スタンド。
のども乾きます。
そこへ“冷たいビール”。
これは、反応してしまいます。
飲みたくなります。
このたった「ひとこと」で、
売り上げを上げていったのです。
「ひとこと」が、お客さまのタイミングに
ぴったり合っていたのです。
先ほどのお店の場合に話を戻すと、
迷っているお客さまに、
“いまだ!”というタイミングで、
“これだ!”という売りの言葉を掛ければ良いのです。
「いま、こちらが一番売れています」
「○○○で、こちらがおすすめです」
「お客さまには、こちらのスタイルがお似合いかと」
お客さまは、背中を押して欲しいのです。
決める手助けを待っています。
たった「ひとこと」ですから、
よ〜く考える必要はありますが。
でも、たった「ひとこと」で、
お客さまが購入を決定されるのです。