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【マーケ基礎】「買わない方がいいですよ」という提案。

私たちが日常使っているもののほとんどが、
成熟市場と呼ばれる中にある商品です。

つまり、普及し尽くしたものです。
誰でも使っているもの。

このような段階の商品は、
主に、買い換え需要で売れています。

壊れたから、新しいのが欲しいから、
という理由で買われます。

新しいのが欲しいというのは、もっと機能的なもの、
さらに性能のいいものを
お客さまが求めているということです。

別に壊れたわけでもないのに、
次々と新しいものが欲しくなります。

家電業界を見れば、よくわかります。

画像がよく、大きな画面になったテレビ。

テープやCDといったメディアがいらない、
デジタルオーディオプレーヤー。

使い勝手がよくなった、ドラム式洗濯機。

……などなど。

いまあるものでも充分に使えるのに、
次のものに買い換えます。

こうしたことが、いいか悪いかは別の話として、
商売としては、売り込まなければいけません。

ただ、「あまり良いことではない」という
『意識』だけは、持ち続けて欲しいと思います。

この意識を持っているだけで、
売り方が違ってきますから。

どうしても欲しい、というお客さまには、
とことん望みを叶えて差し上げるように努力しましょう。

相談にのって、もっとも適したものをお奨めします。

しかし、買い換えを本気で考えているわけではないが、
“安いから”“流行っているから”
という理由で買おうとしているお客さまには、
時には「やめた方がいいですよ」
と言ってあげることも大切なのです。

「そんなことをしたら、儲からないじゃないか」
と思われるでしょうが、
お客さまのことを本気で考えた商売というのは、
そういうものです。

お客さまにとって、一番いいことは何なのかを考えれば、
「やめた方が……」という選択もあり得るのです。

そこに、お客さまからの信頼が生まれるのです。

“売らんかな主義”のお店ではない、
ということがわかります。

そんな場面では、お客さまにご提案をします。

「もう少し我慢してお金を貯めて、
 性能の良い、グレードの高いものを買いましょう」

「しばらく待てば、新しい機種が発売されます」

このような提案で、次の需要につなげます。

これが、心ある商売人のやり方なのです。

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佐藤きよあき
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