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【試乗】アルピーヌA110

アルピーヌA110 (アルピーヌセンター水戸)

今月2日、雑誌社の招待でスポーツカーブランド「アルピーヌ」のイベントに出席。ゲストは全日本ジムカーナの鉄人チャンピオン・山野哲也選手

山野哲也選手(右  2022年7月2日)

ジムカーナとは、所定のコースを一台ずつ走行するモータースポーツ。コースは当然「いぢわる」に作り込まれ、普通に走ったのではコースを外れたり障害物に接触したりすることもある(それらはペナルティーとしてタイムが加算される)。
そこをどれだけ早く走れるかのタイムを競うのだから、ドライバーの技量と共に車両の特性がモノを言う。そんな競技に山野選手が選んだのがアルピーヌA110だ。
今回、アルピーヌセンター水戸のご厚意で試乗の機会を与えていただいた。今の時代には稀有なライトウェイトスポーツの実力を体感してみよう。

カードキーをセットしてENGINEスタート

シートとステアリングを合わせ、ミラーを調整。走行に必要な各部の操作について、同乗するアルピーヌアドバイザーI氏のコックピットドリルを受ける。

話題の限定車「A110ツール・ド・コルス75」に合わせて、シャツに黄色をチョイス

試乗コースは高速道路を含む約1時間(!)。なるほど予約が必要なわけだ。最初の数分は自身の慣熟も兼ねて抑えめに。特にブレーキのタッチを覚えこませる。

慣れてきたところで前走車との距離が十分なことを確認して、少し多めにアクセルをくれてやる。加速フェーズでは後ろに背負ったエンジンから心地好い音を聞かせてもらえる。

交通量の多い幹線道路ではペースダウンも強いられたが、逆にそこで搭載する7速DCTの高度な制御を知ることになる。アクセルオフでの減速感がきちんと伝わってくる。5速6速といったギヤポジションの高いところでもだ。
ドライビングに必要なことではあるが、ブレーキを踏むということはある種のストレスだ。妙な空走感なく減速感・接地感の勝る味付けは、エンジンとの統合制御が高い次元にあることを示している。
ストレスの蓄積を最小にし、アクセルオンでそれを解消する。カタログスペックでは表せないところにまで行き届いたリアルスポーツだ。

さて高速道路に入る。前にバスがいたこともありランプウェイでの加速は十分ではなかったが、追い越し車線のクルマの切れ目でパドルシフトも使って加速する。軽い
車重2トンにもなろうかというクルマも珍しくはない今、1,100キロ台のA110は「軽さは正義」という言葉を改めて実感する。1.8リッターターボの吹け上がりに合わせてのシフトアップの忙しさも、DCTのダイレクト感と相まって愉しいの一言だ。

高速道路を降りてからはアップダウンのあるワインディングコース。ここからはパドルシフトだけのマニュアルモードで走行してみる。
フットブレーキを使うほどのタイトコーナーがないこともあり、ほぼシフト操作だけで抜けて行ける。信号での停止以外でフットブレーキを使うこともなかった。
また、このコースではクルマの旋回軸がまさに自分の座っている、いや「据わっている場所」にあることが全身を通して伝わってくる。同じ後輪駆動でも一般的なフロントエンジン車以上に「アクセルで曲がって行く」感覚が顕著だ。ジムカーナチャンピオンが選ぶわけだ。

無事アルピーヌセンターに帰りクルマを所定の位置に戻す。後方視界は愉しさや充足感とのトレードオフなのは言うまでもない。もちろんリヤビューモニターがアシストしてくれるので、目視と併用すれば慣れも早いだろう。

アルピーヌA110というクルマを一言で表せば「実物大のミニカー」だろう。ジドウシャ大好きな大きなコドモが

自らの手に収めてコントロールする愉しさがある

という意味において、だ。

今回の試乗車

アルピーヌセンター水戸は、ルノー水戸に併設されている。
国産、輸入を問わず最近は積極的に試乗を勧めないディーラーが多いと感じる中(認定中古車としての再販を重視していたり、一部消費者側の問題もあるが)、積極的に試乗の希望に応じてくれる。少々語弊があるかもしれないが、一部のディーラーにありがちな居心地の悪さは皆無。自動車業界時代に店舗開発やスタッフ教育にも携わった者の視点から、そこは確かだということも書き添えておきたい。

・記事作成協力


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