使用に注意「主語デカ」 【short note】
2024年、SNS界隈で頻繁に聞いた言葉に「主語デカ」がある。
何かしらの批評・批判において、その対象または前提となる母集団の範囲を大きくすることは適切ではない、という主旨での指摘に使われる。
「いくら何でも、それは主語デカだよ」と。
この言葉を聴き始めたころは「そうそう」と思えること、その指摘はもっともだと感じられるケースで使われていた印象だ。だがしかし、最近では
自分とは違う意見と思えることに対してまで乱発される傾向が見てとれる。
具体的に例を挙げよう。
あるコミュニティの中での書き込みだ。コミュニティの特性から、女性の方が明らかに多い。
ある女性の投稿に対して
「我々男とは違って」
という言葉を含む返信があった。投稿者である女性はごく自然に応答し、コミュニケーションが成立している。しかしそこに
「(我々男とは)主語デカですよ」
という指摘が入る。当人にしてみればリプライに書かれたような考えなり行動はしない、していないという意見の表明なのだろう。
悪意や攻撃の意図がないのは読み取れたが、「場」の空気をやや乱した感はあった。
全体像の詳細まで記すことは出来ないが、女性らしい繊細さの見てとれる投稿に対して「我々男」という言葉(表現)を含んで「肯定」した意図まで読みきれないまま、ここぞとばかりに「主語デカ」の指摘を入れたのだろう。
つまりリプライ全体にある「(投稿者を含む)女性に対する謙譲」を読まずに、要素の一つに過剰反応したのだと判る。要は読解力の不足だ。
今に始まったことでもないが。
この歌に「主語デカだ」「俺は船じゃない」と文句をつける奴がいるだろうか。
意見を表すのは大事だが、「主語デカ」はくれぐれも使いどころを間違って欲しくない言葉の一つだ。