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古道具として愛でる文具 【column】
noteの2024年のトレンドが発表された。私の目を引いたのは
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いかにもnoteらしいトレンドだ。ペンやら手帳やら、道具としてなら普通は一つ二つあれば事足りるものがアクセサリーのように収集・趣味の対象になる。それはそれで、大いに結構だと思う。もちろん私も文房具は好きだ。
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それゆえに日常的に使用するものは機能優先・実用本位。もちろん消耗品としてコストも要素になる。
しかし文房具には、どこか抗い難い魅力がある。それゆえに趣味化するのは今に始まったことではない。昭和40年代には
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筆箱は私も持っていたぐらいだ。
子供社会もトレンドには敏感で、そのアーム筆入れの大ヒットを追って磁石でロックできる筆箱や、フタをあけると鉛筆がミサイルのようにせり上がるギミックが仕込まれた筆箱が登場したり。休み時間は当然、自慢大会。
電動鉛筆削りが各クラス1台配置されるようになる前は、芯が折れたら自分で削った。筆箱にはそのための刃物も常備されていた。代表的なものが
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これはもう鉛筆削り専業だが、作業用カッターナイフの登場以前は家庭でも活躍の局面は多かったのではなかろうか。
そして、昭和の小僧どもを熱狂させたのが
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正確に言えば(これは)正統の肥後守ではない。駄菓子屋や学校近くの文房具店で100円で売られていたものだ。それぐらい類似商品は多かった。
歴史的にはボンナイフよりはるか以前から存在するが、子供社会では文具然としたボンナイフ以上のハイスペックツールとして所有欲を満たすアイテムだったと言えるだろう。
もちろんボンナイフも肥後守も、今は鉛筆削りには使用していない。そりゃ
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年を重ねるにつれて関心の優先順位(ファッションだったりバイクやクルマだったり)に変動はあっても、学生ばかりか社会人とて文房具からは離れられない。
昭和も50年代なかばぐらいになるとPOPEYEなど、いわゆるカタログ雑誌の影響で輸入文房具がインテリアとして都市部を中心に広まってきた。
学生時代を過ごした東京で手に入れた、いかにもなものが今も飾ってある。
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色といいヤレ具合といい、アンティークの風格。時代の進化に合わせてカッコ良くまたメカニカルに機器化した日本の文房具が失った
変わることない「道具感」をまとっている。
その証に40年以上が過ぎても後継商品が売られて誰かの役に立っているのだから、使って良し眺めても良しの文房具は面白い。
今の人たちが文具沼にハマるのも至極当然のことだろう。
「鉛筆削り」には思い出がある。それはまた、いずれ改めて。
意外に文房具について「つぶやき」をメインに記事にしていました。
それらを集約してマガジンにしましたので、ご覧いただければ幸いです。