なぜBDシャツは復権しないのか 【style】
昔はオシャレなシャツの代名詞でもあった「BD(ボタンダウン)シャツ」。残念ながら今はメインとは言えないポジションにあるのは選択肢が増えたこと以上に、意識して「避けられている」傾向もあるのではなかろうかと思っている。
折しもスーパークールビズの時期に突入したばかりだ。男性諸氏これ幸いとネクタイにはサヨナラだ。ユニフォーム的にポロシャツを着用する職場もあるが、ほとんどのサラリーマン男性はネクタイを外しただけの出で立ちになる。
ここで登場するのが「例のシャツ」。
そう、襟が二重になっていたりボタンが目立つようになっていたりやたらステッチが入っていたりのクールビズ専用、いや今ではタイドアップ時でも着用する人も見る、あのシャツだ。
私は着ないが否定もしない。ネクタイが売れなくなって、それに代わる商機を創ろうという業界・企業努力の産物だから。
だが個人の趣味、ファッションのテイストの部分でもあるが、若い時から自分を少しでも良く見せようとMEN'S CLUBやPOPEYEを愛読してきた世代には、あのシャツは自分を良く見せるためのアイテムには見えないのも事実だ。
そして90年代半ば以降、メンズファッションのメインストリームはイタリアに移る。
アメリカントラディショナルの象徴のBDカラーよりもワイドだカッタウェイだと、選択肢の拡大に置いていかれてしまった感がある。いささか過剰デコレーションのクールビズ専用BDシャツが忌避される傾向の「とばっちり」と合わせて、BDシャツにとっては受難の時代が続いているのだ。いわゆるクールビズが、「ネクタイを外しただけ」から脱却しない限り続いていくのかもしれない。