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ちゃり
昼間の暖かい日差しもなくて、風も冷たくて、本格的に冬を感じた今日
午前中からずっとパソコンに向かい、ひたすらデータまとめに動画編集に曲編集、いつの間にか16時になっていて仕事へ向かう時間
ずっと部屋にこもっていたから寒さがより染みた
今日の仕事場のダンススタジオの最寄駅はいくつかの高校のアクセスに使われている駅である
17時頃その駅に着くと、学生服を着た高校生達がわたしとは逆に駅に向かって歩いていく
女の子同士でわちゃわちゃ話しているグループや、冬で日が落ちるのが早いから部活がないのか野球部らしきジャージをきているグループ、同じクラスで仲良いのかなって感じの男女グループなど、色んな学生たちとすれ違う
そんな中に、ふとわたしの目に止まった子達がいた
歩いている女の子の隣には、チャリを押して歩いてる男の子
きっとカップルなのだろう、記念日がなんとかって会話しているのが聞こえたから
この2人が、心の隅の隅にしまっていた、わたしの中学時代の淡い恋心を思い起こさせた
わたしが自分の恋愛話をするなんて、わたしと仲良い人はびっくりするかもしれないね、それくらい遠い記憶のことだからさ
これは中学時代の話
小学校中学校と同じだったAくん、小学校時代に1.2回同じクラスになった程度でそこまで仲良いわけでもなく、別に仲悪いわけでもなく、同じ学校の子だよ〜くらいの関係、まあこんなの色んな人が当てはまるよね
中学に入って、Aくんは1組でわたしは5組だった
わたしがクラスで1番に最初に仲良くなったBちゃん
Bちゃんの小学校からの1番仲良い男の子の友達(Cくん)が1組にいるんだ!遊びに行こうよ〜!なんてもんだからついていくと、Cくんが1組で1番仲良くなった子がなんとAくんだった
まあそれまではいいのだ、別にそれまでもAくんと話さない仲ではなかったからその4人でなんとなーく仲良くなった、クラスは違うけれど休み時間のたびにお互いのクラスに遊びに行ったりきたり
まあそれとなく距離は近くなった
わたしとAくんとCくんはそれぞれ部活をやっていて、Bちゃんは帰宅部だった
わたしの部活帰りとAくんの部活帰りの時間が被ればいつの間にか一緒に帰る仲にまでなった、学校を一緒に出るときもあれば、わたしが先に終わって帰ってる途中であとからチャリで合流したり、
そう、Aくんはチャリ通だったからいつもわたしと帰る時はチャリから降りて一緒に歩いてくれた、
今わたしが現実世界ですれ違ったカップルと同じ情景なのだ
ただ違うのは、わたしとAくんはカップルではないこと
Aくんの帰路的にわたしの住んでるマンションの前を通って帰るんだけど、毎度話が尽きなくていつも1時間以上、マンションのエントランス前にチャリをわざわざ止めて立ち話をした、
今日部活でさ〜、とか、誰と誰が付き合ったらしいよ!とか、あいつフラれたんだってよ!とか、あの先生、課題多いんだよなあ〜とか、たわいもない会話だったけれどその時間がわたしの1日の楽しみにもなっていたりした
色んな話が出来て、気が合う、ただの男友達で
って、いつしか自分に言い聞かせるようになっていたのだ
それが恋愛の好きなのか友情の好きなのか、中学生のわたしには区別がつかなくて
幼いながらに、色々考えた
わたしがちょっと落ち込んでいると、どうしたの?って1番に気付いてくれたり、時には察してくれているけれど何も言わずに隣にきて一緒に帰ってくれたり、楽しいことも嫌なこともなぜかわたしに1番に話したりしてくれていた
なにより、一緒に帰る時にチャリでそのまま帰った方が早いのに降りてまでわたしと一緒に歩いて帰ってくれていた、あの優しさ
いつの間にか近い距離になってしまっていて気付かなかったんだけど、Aくんは容姿も整っていて、運動神経抜群で、ノリもいいし、男女誰からも好かれるような存在だった
それでもどんな感情でAくんに接していたらいいのか分からぬまま、自分の気持ちから目を逸らして、なにごともないかのように時は過ぎた
ある日、いつも通り一緒に帰っているとき、ふとAくんに、れなって好きな人いないの?と、聞かれた
何も言葉に出来ず、沈黙が続いた
その瞬間にわたしは自分の気持ちと目が合った
あ、わたしAくんのこと恋愛的に好きなのだ、と
もちろんあなただよなんて言えるわけもなく
その時は、いるよ〜あはは〜なんて誤魔化した
帰ってからもメールがきて、
ねえだれ〜?教えてよー!いるなら言ってよ!
なんて、
わたしの気持ちも知らないで!とは思ったけどそりゃ知る訳ないよな
Aくんなら分かるよ、、!とか送ってみた
その人とよく喋ってる?と返信がきた
嘘つく理由がないわたしと焦ってるわたし
めっちゃ喋ってるよー!なんて返してしまった
実際、わたしは冷めてる性格なのもあって、男友達もまあまあ多かった、
けれどここまで仲良くしてるのはAくんだけだ
周りの友達にもよく言われていたくらい
だからそんな返信をしたら、勘付かれる可能性が高い、なんてことわかっていた
え!誰〜?わかんないよ〜
返信はきたものの、わたしは返せずにいた
その次の日、なぜか勝手に気まずくて、それがAくんもで、いつもだったら
おはよ!ねえねえ!聞いてよ〜!
なんてなる朝の騒がしい廊下での会話も
お、おはよ、、
うん、
漫画か!ってくらい、、、が多いセリフをお互い言って、そこからというもののあまり会話も減っていった
いつしか時は流れて、中3の秋
みんな部活引退して、いつも帰宅時間の違かった部活のことも帰れることもあり、ちょっとずつ帰宅メンツが変わっていった、わたしも違う部活だった親友と帰ることが多くなった
あの一件があってからというものの、A君と帰るのが自然となくなった
親友と歩いて帰っていると、
友達と横並びでチャリを漕ぎながら抜かして行くAくん
わたしはその背中を見つめる事しかできなかった
今の自分なら、きっと違う言動が出来て、告白して付き合ったりしたのかも、気まずい空気取っ払っていつも通り遊んだり帰ったり出来たのかも、って無限に考えてしまう
当時のわたしにはそんなの考えることなんて到底無理だったなあ
だから、そんな気持ちを静かに心の隅にしまっていたのだ、誰に話すこともなく
そんな淡い記憶が、23歳の冬、なんともない日常の景色によって思い起こされた
逆に今思い起こして良かったのかもしれない
冷静になって考えれば、しっかり恋愛の好きじゃんね、(笑)まだまだだよなあ〜中学生の自分
まあそんな過去があってもいいよね
そんな日のレッスンは生徒たちがいつも以上にやる気満々で空気が良くて心地良くて、幸せな仕事の時間になった
ありがとう、淡い恋心、これでスッキリした