買って、捨てる?スウェーデンで考える「服と暮らし」。
こんにちは、igenのShizunoです。
スウェーデンのカペラゴーデン美術工芸学校に入学し、2ヶ月が経ちました。
人にも暮らしにもようやく慣れてきて、自分のペースが掴めてきたところです。
私は現在、カペラゴーデンのテキスタイルコースに在籍しています。織り、染め、紡ぎ、、、、テキスタイルのことで頭がいっぱいな毎日を過ごす中で、自然と「服との向き合い方」についても考えるようになりました。スウェーデンでの暮らしに触れながら、お話したいと思います。
というのも、今週の授業では「Mending(繕い)」を題材にゲスト講師を迎え、様々な手法で服を繕う方法や、生徒同士でディスカッションを行いました。「服」について深く考える良いきっかけになったので、それを今回の記事のテーマにしようと思いたったのでした。
なぜ服を繕うのか
擦り切れたり、穴が開いたり、ほつれてきた服。みなさんはどうしますか?
捨てたり、売ったり、あげたり。
「服を繕う」という作業は、時間がかかるし完璧でもない。新しい服を買ったほうが早いし綺麗ですよね。では、なぜわざわざ繕うのでしょう?
授業では、先生が生徒一人一人に尋ねました。
などなど、たくさんの意見が出ました。「ボロボロの服を着るなんてみっともない」という考え方とは正反対のムーブが、ここスウェーデンでは広がっているんだなと感じました。
セカンドハンド(中古)市場が活発なスウェーデン
スウェーデンでは、セカンドハンド(中古)ショップがいたるところに存在し、人々の生活に深く根付いています。
多くのショップは慈善団体によって運営されていて、働いている人は高齢のボランティアの方や、職業訓練の方などがいます。
慈善団体が運営するショップで売られているものは全て寄付されたもので、ほとんどの場合それを安い値段で手に入れることができます。ありとあらゆるものが並んでいて、衣類も沢山売られています。
学校生活でも、何か必要なものや欲しいものがあると、まずはセカンドハンドショップに行きます。多少汚れていたり傷がついていても気にしません。「完璧」「新品」を求めない雰囲気が、心地よいと思います。
きっかけはデンマーク留学
私が「服と暮らし」を考えるようになったきっかけは、デンマークへの手芸留学でした。
スウェーデンのお隣の国デンマークでも、セカンドハンド市場が深く根付いています。
スウェーデンに来る前、デンマークの手工芸学校に滞在していた時のこと。その学校にも、スウェーデンの学校の生徒と同じような考えを持ったクラスメイトたちが多くいました。
あるとき、デンマーク人のクラスメイトと街に出かけました。小さなショッピングモールに立ち寄ると、ファストファッションのお店が並んでいます。私は何気無く、「普段服はどこで買うの?」とクラスメイトに尋ねました。
すると彼女は少し考えて、「服を買うこと自体あんまり無いかな。どうしても必要なときは、環境のことを考えて、セカンドハンドで買うことにしているの」と。
彼女はデンマークの首都コペンハーゲンで生まれ育ったお洒落な女の子だったのですが、小さい頃お母さんに編んでもらった手編みのポンチョをよく着ていました。
他にも、「環境のために、今年は下着以外の服は一切買わない」という目標を立てている子や、なるべく天然繊維で作られた服を買うことにしている子など。
そいういう話を聞いて、私は今まで服に対して何も考えも持っていなかったな、と気がつきました。
留学する前は、「食と暮らし」をテーマにした編集部で働いていたので、食べ物については生産元や添加物を気にしたり、環境や動物福祉に配慮されたものなどを買おうと心がけていました。
でも、服は安いもの、デザインが好きなものを選んで買っていたし、ワンシーズン着て、古くなれば捨てていたものもありました。その服がどんな素材で、どこで誰が作っているのか、そこに目を向けることがなかったのです。
デンマークに留学し、自分で服を作るようになってから、初めて「自分が着る服の背景」に意識が向きました。自分で作ったものは思い入れがあって愛おしい。せっかく作るなら素材にもこだわりたいし、環境に配慮されているものだったら尚更いい。補修の跡や凸凹も、手作りだったらそれはチャームポイント。
食べ物と同じで、毎日身につける衣類も、小さなこだわりを持って大切にあつかったり、作ったり、選んだりする。それは自分自身を大切に扱うのと似ているように感じます。
自分や誰かのために編んだり、繕ったり。忙しい毎日を過ごしていると中々時間がとれなかったりするのですが、少しでも意識を向けて暮らしていけたらなと思います。
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