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一年の振り返りと独白


はじめに

自己紹介

 はじめまして。iGEM-Waseda2年の近藤大介です。とは言ってもJapan Meetupには割と顔を出すほうなのでなんか名前見たことあるって方は多いのかも。自分はかつて早稲田大学高等学院という附属校に通っておりまして、そこから早稲田大学先進理工学部生命医科学科に進学して今に至ります。ちなみに中高時代は吹奏楽部に所属してバリトンサックスを吹いていました。iGEM-Wasedaに入会したのは今年の1月なので丁度1年が経つ頃合いですね。

部活で散々お世話になった大講堂(早大学院HPより)

iGEM 2024での役割・仕事

 2024年大会では、IHPリーダーとしてIntegratrd Human Practiceの統括を担当しました。これはiGEM-WasedaがGold Medal要件として提出した項目の一つです。他にも、Wetの一員としてピペットマン握って色々やったり。
 次章では私がIHPリーダーに就任したきっかけや当時の思い、苦労したこと等について紹介しようと思います。HPの戦略関係についてはほとんど触れないため、そちらに興味がある方はJapan Advent Calender2024で12/20に公開されるVictoria Toko Okazaki Migdalskiの記事をご覧ください。HPや英語でのスピーチの極意について語ってくれるはずです。自分と一緒にIHPのために身を粉にして働いてくれた彼女は、社会との深い関わりあいやそれを通じた学びについて非常に強い情熱を持っています。まぶしいです。かっこいいです。本当にありがとうVicky、何度も助けてもらいました。

IHPリーダーとしての軌跡

思いがけぬ就任

「お前はIHPの柱になれ(意訳)」

 こう言われたのは2024年5月のことです。当時はWet一筋で生きる予定でしたが、何度かHPの仕事を手伝っていたらどんどんそちら側に誘い込まれ、気付けばIHP班のリーダーを務めることに。しかもGold Medal要件の一つとして選択する見込みと言われたため、ただの平社員だった私には相当にプレッシャーでした。
 ただ、まあ背景がどうであれ一つの班のリーダーに指名していただけたのは名誉なことですし。その能力があると思っていただけていた(?)のは単純に喜ぶべきことですしおすし。ここでひいては負けだと感じた私は、こうして入会時には想像していなかったIHPリーダーとしての道を歩んでいくことになったのです。

持ち札の中で最も"それっぽい"写真

豪華なIHPメンバー達

 さて、ここで我がIHP班のメンバーを紹介したいと思います(WikiやSNSに載っている情報が主です)。

  • Ryojun Hayashizaki (B4)

    • 言わずと知れた我らがチームリーダー

    • プロジェクトの全てを把握し、iGEMに関する知識も活かして方向性を決定

  • Shota Yamamoto (B4)

    • Simulation班リーダー

    • その傍らでクラファンの手続き・宣伝やWiki実装なども担当

  • Victoria Toko Okazaki (B3)

    • スーパーしごできトリリンガルウーマン

    • 4月入会ながら湧き上がる熱意でメキメキ知識を吸収&IHP専門の人間として新たな視点をもたらす

  • Juri Kawazu (B1)

    • 誠実さと情熱にあふれる帰国子女 in シンガポール

    • なんと国際教養学部所属で、8月からシンガポールに行ってしまうもオンラインでプロジェクトに貢献

 うん、よくばりセットみたいなメンバーですね。みんな個性溢れすぎ。なんでこの面子の中で自分がリーダーやっているんだろうと何度も思いました。特に就任当初は先輩方に意思決定を任せてしまったり、すぐに協力を仰いでしまったりしたことも多かったです。私がリーダーなせいでむしろ余計なタスクを増やしているのではないかと思い詰めることもあったりなかったり。段々と自立していけた自覚はありますが、それにしても色々とご迷惑とご心配をおかけしました。

IHP班全員で撮った写真があるはずなのですが、、、紛失しました(陳謝)

大まかな仕事と個人的推しポイント

 IHP班で行った仕事は、プロジェクト全体のストーリーを練り上げて、それに応じたインタビューを設定することが主でした。
 例えば、最初の頃は「BIND-PETaseを用いて環境中のマイクロプラスチックを分解する」ことをメインに据えようとしていました。しかし、議論を重ねる中で環境中に遺伝子組み換え生物を解き放つ危険性を払拭することができず直接海や川のマイクロプラスチックを分解するのはまず不可能であるという結論に至りました。かといって網などを用いて海から一度マイクロプラスチックを回収してこようにも、回収できるサイズには限界があり到底全てのマイクロプラスチックを除去することはできません。なにより、わざわざバイオロジカルな手法を用いる理由がないのです。
 そこで更に調査を進めて様々な企業へインタビューを行ったところ、プラスチック処理方法の一つにマテリアルリサイクルなるものがあると知りました(詳細はiGEM-WasedaのWikiを見てね)。

マテリアルリサイクルの概略図

 これは回収した廃プラスチック製品を一度熱でドロドロに融かし、そこからもう一度再生プラスチック製品を作るというリサイクル手法です。他のプラスチックリサイクル手法と比べてCO2排出量が少なく注目を浴びていますが、複合素材プラスチック(PPとPSなどの二種類以上のプラスチックが混ざったもの)への適用が難しいことが課題とされています。これはプラスチックは種類ごとに融点が異なるためです。そして、特にPETは融点が他の身近なプラスチックと比較して飛び抜けて高いことから、PETの含まれる複合素材プラスチックのマテリアルリサイクルは効率や品質の面で困難極まるという現状を企業の方から聞くことができました。これを聞いた瞬間にビビッと来た私。ここでPETaseをマテリアルリサイクルを助けるために用いることを思いつきました。融点まで上げずとも複合素材プラスチックから容易にPETのみを取り除けることは、バイオロジカルな手法を用いる大きなメリットの一つになるはずです。
 とは言ってもジャストアイデアに過ぎなかったこの話。しかし、Jamboree会場での思わぬ出来事が私たちに自信を与えてくれました。それは、Dr. Adam Damryとの出会いです。彼はオーストラリアのSamsara Ecoという企業のSupervisorで、iGEM uOttawaチームのPIでした。加えてiGEMのJudgeも務めていたため、隙間時間にチームブースに来てくださったのです。そして、Samsara Ecoの事業内容は、プラスチック分解酵素を用いたプラスチックリサイクルでした。私たちのプロジェクトの根幹をなす部分が有効なアイデアであると、プロによって認められた瞬間でした。

チームブースで懸命に説明するメンバーたち
結果発表後、お祝いに駆けつけて下さったAdamさん

結果発表当日

 ここで、iGEM-WasedaがとっていたSpecial Awards獲得のための戦略について説明します。私たちは提出しているGold Medal要件のうちNew Composite partとModelでBestを狙い、IHPではGold Medalを確実に落とさないことを目標に活動をしていました。

iGEM-Wasedaが選択した3つのGold Medal要件

 結果発表当日は、無事にBest New Composite PartとBest Model Nomineeを受賞し、更にBest Bioremediation Projectにも輝くことができて正に目論見道理という感じ。ついでにBest Wiki Nomineeも頂けたのは本当に想定外で、受賞が分かった時に一瞬気の抜けた声を出してしまったことを覚えています。特にBest Bioremediation Projectの獲得にはIHPも大きな貢献をしました(例えばPETaseとプラスチックリサイクルを組み合わせたことやプラスチックのリアルサンプルをご提供いただけたこと、プロジェクト全体を通したストーリー構築など)。
 しかし、IHP単体で見ればBest IHP Nomineeに名を連ねることもできず。Best IHPの発表はだいぶ後半の方でチームにとってメインとなる結果発表は終わっていたのですが、はしゃぐメンバーの中で自分はひっそりと肩を落としていました。まあ、涙が出るくらいにはちゃんと努力できていたんだなと。戦略だから仕方ない、ではないのです。全体目標は達成したからいい、というわけでもないのです。悔しいもんは悔しいのです。あのとき肩を貸してくれた阿〇諒〇、サンキューな。

自分の席から見た壇上(良い席取れてよかった)

iGEMとの出会い

運命ってこういうことなのかね

 iGEMと出会ったのは2021年、自分がまだ早大学院2年生だった頃です。ある日、HRが終了して教室中が解散ムードになったとき、担任がもう一つと付け加えて謎のビラを配りながら言いました。

「iGEM-Wasedaという大学の学術系サークルが学院生向けにzoom説明会を開くみたいだから、気になる人は行くように」

 当時はiGEM-Wasedaが何をしている団体かも知らない状態でしたが妙に興味が湧き、部活の時間にも被っていないことから半分ノリで説明会への参加を決めたことを今でも覚えています。正直他に予定があったらスルーするくらいの興味ではありましたが。

HR教室の写真(これしかなかった)

 しかし放課後に説明を聞いてみるとその考えは一変し、自分も大学に入ったらこういった面白そうなことに打ち込んでみたいと強く思うようになりました。ちなみに当時iGEM-Wasedaについて説明してくださったのは現OGの阿部レイさん。直接の面識はありませんが、この場をお借りして感謝の言葉を述べさせていただきます。iGEMについて知るきっかけを与えてくださり、本当にありがとうございました。

冷めやらぬ熱意

 大学進学後もiGEMに対する思いは変わらなかった私は、満を持してiGEM-Wasedaに入会することを決めました。入会希望者向け説明会に行ってみると、何やら選考のための課題が課されるとのこと。しかも提出期限はその日の日付が変わるまで。というのも、何度か開催された説明会のうちで新歓の終了する直前の回に出席してしまったためです。それを聞いた私は大慌てで課題に取り組んで、なんとか期限ギリギリに提出。そして一週間ほどかかった選考の結果、、、、、、、、


普通に落ちました()

 
 はい、落ちました。「貴殿の大学生活が充実したものとなるようお祈りしております」ってやつです。時間が足りなかったといいたいところですが、単純に実力不足によるものが大きかったと思います。
 幸いなことに同学科に数人iGEM-Wasedaに受かった人がいたため、一旦彼ら・彼女らに話を聞きながら実際のiGEM-Wasedaはどんな雰囲気なのだろう、どういったことをやっているのだろうと理解を深めていくことにしました。一度落ちたら別の道へ進むことを選んでも良さそうなものですが、私の中ではまだiGEM-Waseda入会への希望が消えておらず次なるチャンスをうかがっていたのです。なんて格好良いことを言っていますが、落とされたまま終わるのもなんだか嫌だったという理由が半分くらいかも。
 そんな中、iGEM-Waseda冬新歓のお知らせが耳に届きます。今度は同じ轍を踏むまいと一番初めの説明会に参加し、もう一度入会希望者用課題に取り組みました。また、提出期限の日は学科の専門実験があったのですが、課題のクオリティを高めるためにわざわざ実験を休んで書いたことも記憶しています。その甲斐もあって今度は合格をいただき、2024年1月からチームに参戦することになりました。

附属・系属校生サルベージ大作戦

附属校生は怠惰なだけじゃないんだよって話

 自分がそうだと言いたいわけでは全くないのですが、iGEM-Wasedaには優秀な附属・系属校出身者が多いです。特に一芸に秀でた人が多い印象で、こういった人材が生まれやすいのは大学受験を考える必要のない附属・系属校の特徴なのだと思います。
 そして、今後もiGEM-Wasedaが現在のクオリティを維持・向上させながら活動を続けるためには、面白い人材の定期的なポップが見込める附属・系属校に早くから目を付け、私のように高校時代からiGEMに興味を持ってもらうようにすることが重要であると考えます。

愛しの早稲田大学高等学院

成長し続けるための精神とは

原動力とはどこから湧いてくるのか

 これに対する答えは人によって様々でしょう。憧れとか、目標とか。もちろんそれらから生じることもありますが、私の原動力は時に見栄や嫉妬心といった非常に人間らしい感情から生じます。
 人間は大言壮語を吐いてでも、己の仕事を全うしなければならない時があります。突然、一つの班のリーダーに抜擢されることもあれば、自分の認識している能力を超える仕事を任されることもあるでしょう。また、自己評価と他者からの評価に大きなギャップを感じて、思い悩むときが訪れるかもしれません。しかし、そうした状況こそがチャンスです。他者からの評価に自分が追い付くための絶好の機会なのです。堂々と見栄を張り、力の限り挑戦してみてください。その経験は、必ず成長につながります。

真面目な話をエッフェル塔で中和(かっこいい)

 他者からの評価を成長の糧にする一方で、自分から他者へ目を向けることで得られる成長の機会も数多くあります。教授、先輩、同期、後輩——相手は誰でも構いません。「あいつは凄い。あいつみたいになってやりたい。あいつにできて自分にできないことはないはずだ。」 そう思えたならば、後はその目標に向かって努力するだけです。この思いは、憧れほど美しい感情とは言えないのかもしれません。しかし、間違いなく原動力となるものです。また欲深い私は、その目標に辿り着いたとしても、すぐに次の”嫉妬先”を見つけてしまいます。隣の芝生は青いとは、まさにその通りですね。
 そもそも、自分と他者を比較することは誰もがするものですし、嫉妬心もまた人間にとって自然な感情です。大切なのは、その感情を他者への言動に表すのではなく、自分を磨くためのエネルギーとして活用することです。この感情を正しく使えば、必ず大きな成長を果たせるはずです。

真面目な話を東京タワーで中和(かっこいい)

 何が伝えたいかというと、こういった世間から見れば少しマイナスな感情を抱くことは誰だって普通のことですし、むしろ感情を制御して上手く方向性を変えれば大きな原動力を生み出すきっかけになるよということです。

おわりに

 結構長く語ってしまいましたが、iGEMでの活動は自分に成長の機会を数多く与えてくれました。素晴らしい先輩、後輩、そして同期を持つことができ、一緒に壇上に立つという目標に向かって突き進めたことは一生忘れません。本当に最高のチームでした。また一緒にご飯行こ。

この写真すき



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