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私がパリで実践した、より伝わる「伝え方」

はじめに

こんにちは!Waseda-TokyoのVickyです!趣味はインスタ更新とアニメ。
推しは、ゆるキャラのチーバくん(私は生まれも育ちも東京ですが…)とiGEMマスコットキャラクターのGemyです。

私が買ってきたGemyグッズ

チームでは主にHP活動と英語での発表・質疑応答を担当しました。今年、私たちWaseda-Tokyoは「Best Bioremediation」を受賞しました。この賞は、環境問題への具体的な解決策を提案したチームに贈られるもので、HP活動やプレゼンテーションも受賞に貢献できたのではないかと感じています。

さて、今回私がお話したいのは、Jamboreeで何かを伝える際に私が意識していた「伝え方」についてです。

私の第一言語は英語です。今までインターナショナルな環境で育ってきたこともあり、様々な国の人たちと関わってきました。そんな私がいつも世界の人々と対話する中で感じることは、必ずしも高い英語力が求められている訳ではないということです。大切なのは、相手が内容をイメージしやすいように、理解しやすいように簡潔に伝えることです。

この記事では、私自身がJamboreeで実践して役に立った「相手に伝わる話し方」のコツをお伝えします。もちろん、人によってベストな方法は異なるかと思いますが、少しでも参考になれば嬉しいです!


Jamboree Boothでの話し方

iGEM JamboreeのBoothは、各チームがプロジェクトを紹介し、研究や成果を共有するためのスペースです。他のiGEMerやJudgeと積極的に話をして、Judging Sessionへの準備の場として活用するようにしましょう。

Waseda-TokyoのBoothの様子

ここで私がプロジェクトを説明する際に意識したポイントを2つご紹介します。

1. 最初の説明はあえて情報量を少なめに

基本的にBoothに訪れる人たちは、こちらのプロジェクトについて何も知らないという前提で話すことを心がけました。実際に、私たちのBoothに立ち寄った人が最初にする質問は、
「Could you tell us about your project?」が8割ほどだったと記憶しています。そのため、私は以下のアプローチを取ることを心がけました。

ーまずは簡潔な社会課題の概要で説明を一旦止めるー

まず、プロジェクトが解決しようとした「社会課題」について説明して、一旦話を止めます。具体的な解決策や詳細については、相手の質問が来るのを待ってから説明に入るように意識しました。

例えば、私が説明した内容は以下の通りです。

"Plastic recycling is a significant challenge in Japan. Among various methods, we identified 'Material Recycling' as a comparably green approach. It involves melting down plastic, filtering impurities, and pelletizing the remaining molten material. However, a challenge of material recycling is the high energy and costs of melting composite plastics containing PET, which has a notably high melting point. Therefore, we focused on a biological approach of removing PET from composite plastics to recycle the remaining plastics more sustainably."

情報を絞ることで、相手が次に何を質問すれば良いかを判断しやすくなります。例えば、先程のように課題の説明だけで止めた場合、相手は次に「So what is this biological approach you considered?」と自然に次の質問をしてくる傾向がありました。

あえて情報量を少なくし、更なる説明を相手からの質問の後にすることには、2つの利点がありました。

  1. 相手の情報処理の負担を減らすことができる

  2. 「次が知りたい!」という好奇心を引き出すことができる

情報を一度に詰め込みすぎると、相手は内容を処理しきれなくなり、次の質問の選択肢を絞ることが難しくなります。これは後から知ったのですが、心理学では「選択のパラドックス」というらしいです。

2. 相手の質問を誘導する

Q&Aを繰り返しながら、少しずつ情報量を増やして、ストーリー性のある説明を試みました。話の展開に「道しるべ」を作るような感覚で進めることで、説明が相手にとっても分かりやすくなり、相手の興味をさらに膨らませることに繋がりました。

また、話の流れを誘導することで、相手の質問をある程度予測できたり、こちらが話したい内容に流れを持っていくことができるという利点があります。私はこれを「説明のロードマップ化」と勝手に名付けています。

例えば、先程の例を用いると、「We focused on a biological approach of removing PET from composite plastics」と説明をしたとします。すると相手は自然に「So what is this biological approach?」と質問したくなるでしょう。このように、次にほしい質問が来るように誘導することで、事前に答えを準備する時間が生まれます。質問の意図を予測しやすくなるため、的確で明快な回答をすることができました。

Judging Sessionでの質疑応答の答え方

Judging Sessionでは、Judgeが事前にWikiやPresentation Videoに目を通しているという前提で、5分以内のプレゼンテーションと20分間の質疑応答が行われます。Judging Sessionの仕組みが昨年から変わっていますので、具体的な審査の様子などについては同じチームのJoseph Yokoboriが12/16に書いた記事が参考になるかと思います。

Waseda-Tokyoは発表はもちろん、質疑応答の準備にも特に力を入れました。深夜まで発表メンバーは質疑応答をシミュレーションして何度も練習したり、リサーチ&資料作成メンバーは睡眠を削って質疑応答に必要な補足資料を100枚近く作成してくれました。

Judging Session当日の朝、パリに来てから100回目(?)の練習の様子。左端の不貞腐れた風の女子が私です。ただ眠かっただけなのですが・・・

この審査の時間で特に大事なのは、Judgeからの質問にただ答えるだけではなく、Judgeがまだ気づいていないかもしれないチームの強みや、プロジェクトの魅力を上乗せでアピールすることです。ここでは、私たちがJudging Sessionで意識した質問への答え方のポイントを3つご紹介します。

1. 質問のあとの間(ま)に注意する

質問と回答の間に「沈黙」を作らないことも意識しました。沈黙はJudgeに「答えがわからないのかも」と不安を与え、回答の説得力を損なったり、リズムが崩れて回答が頭に入らないことに繋がります。そのため、以下の2点を意識しました。

1. 事前準備で対応

想定質問をリスト化し、英語でスムーズに答えられるよう準備しました。事前に200個近い想定質問と回答をエクセルで作成し、生物学に詳しい人や、そうでない人にも協力を仰いで練習を重ねました。この結果、実際の質問の半分以上が想定内となり、テンポよく回答することができ、プロジェクトへの理解の深さを効果的にアピールできました。

2. 想定外の質問への対応

想定外の質問がきた場合は、つなぎのフレーズや逆質問で時間を稼ぎました。例えば:

  • 「That's an interesting question, thank you for asking.」

  • 「Just to make sure we understood your question correctly, did you mean (...)?」

これらのフレーズでチームに考える時間を確保して、答えられる人が交代で回答しました。つなぎのフレーズで話のリズムを崩さないことで、準備不足の印象を与えずに対応することができました。
こうした工夫で、質問への回答をスムーズかつ自信を持って進めることができました。

2. 説明は起承転結ではなく、結起承転

結論を最初に伝えてから具体的な説明に入るということです。

質疑応答で相手が知りたいのは「最終的なポイント」や「結論」が中心です。

質疑応答の練習中に私が苦戦したのは、一般的な「起承転結」で説明をしてしまい、その「最終的なポイント」がいつ来るのかを相手が図れなくなってしまうということでした。聞き手の集中力が切れてしまい、結局肝心なところが頭に入らないということが起こっていました。

良い例としては、「There are 2 reasons for 〇〇. One is 〇〇, and the other is 〇〇. To be specific…」というように回答を構築するのが大事だと思います。これによって、Judgeは話のアウトラインを脳内で作成しながら、らくに聞き続けることができます。

3. 自分たちにプラスになる余談をはさむ

先程もお話した通り、Judging Sessionは、ただJudgeの疑問を解消する場というだけではないと思っています。JudgeがWikiやPresentation Videoだけでは気づけなかった魅力をアピールする場だと考えています。

もちろん質問に答えることが最優先ですが、質問の範囲を超えない程度の余談を加えることをおすすめします。

私たちのJudging Sessionで実際にあった一例がWaseda-Tokyo 2024 Judging Sessionの13:55から15:30にあります。興味のある方はぜひ観てみてください。

Judgeはプロジェクトの全ては理解できていないと思います。質問された内容に付け加える形で、どんどんJudgeが知らない魅力や、皆さんの努力などをアピールしてみるのも良いかと思います。

最後に

以上のように、説明の仕方を少し工夫するだけで、聞き手のプロジェクトに対する興味や理解がかなり違ってくると思います。

あくまでもプロジェクトの評価をするのはJudgeです。

せっかく良いプロジェクトに仕上げたのですから、その魅力を100%以上伝わるような伝え方を工夫してみてください。

この記事の内容が少しでも今後に繋がるヒントとなることを願っています。

また、今後のJamboreeに向けて私に何か協力できることあれば、いつでも気軽にv.okazaki@akane.waseda.jp までご連絡ください。

長くなりましたが、最後まで私の拙い日本語にお付き合いいただき、ありがとうございました。

Waseda-Tokyo 2024!

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皆さんも、次のJamboreeで「LinkedIn交換しよう!」と誘われた時にすぐに対応できるように、登録しておきましょう!

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