Weekly iGEM〜Minimal Genome Project [最小(最少)のゲノムに挑め!]〜
どうも井上です。今回は2016年にScience に投稿された「Minimal Genome Project」に関する研究をまとめていこうかと思います。いまGrand Tokyoがやってる納豆キナーゼ関係とは関係は薄いですが、面白そうだったのでまとめてみました。
是非最後までお付き合いください!!
概要
論文タイトル
Design and synthesis of a minimal bacterial genome
Doi 10.1126/science.aad6253
この研究は、自然界で見られる最小限のゲノムを持つ細菌を作成することを目的として行われました。
研究背景と目的
自然界には様々な生物が存在し、それぞれが異なるゲノムサイズを持っています。
1995年には最初の完全な細胞ゲノム配列を報告されています。ヒトゲノムは2003年に全解読が完了しましたね。多くの生物は膨大な遺伝情報を持っていますが、合成生物学者はその中で「生命を維持するために必要最小限の遺伝子は何か」という問いに興味を抱いたんですね。これにより、遺伝子の機能を明確に理解し、効率的な生物システムの設計が可能になると考えられたわけです。
方法
このプロジェクトでは、著者はまず既存の細菌である「Mycoplasma mycoides」の525個のゲノムを基に、必要最小限のゲノムを設計しました。その過程で、既存のゲノムから不要と思われる遺伝子を削除し、その結果どのような影響があるかを観察しました。また、必要最小限のゲノムを持つ細菌を人工的に合成し、その生存能力を確認しました。
結果と発見
調査の結果、必要最小限のゲノムサイズは約473個の遺伝子で構成されることが判明しました。JCVI-syn3.0の名前を持つこの生物のゲノムは、この数は、自然界で最も小さいゲノムを持つ既存の細菌よりもさらに小さいものでした。興味深いことに、削除された遺伝子の中には、従来の科学では重要と考えられていたものも含まれていました。
え?重要な遺伝子がいらないの??どゆこと?
これにより、生命の基本的なメカニズムに関する新たな洞察が得られたのですね~
これまで重要とされてきた部分はあんま重要じゃない可能性があるかもしれません。
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応用と意義
この研究は、合成生物学の可能性を広げる重要な一歩です。最小限のゲノムを持つ生物は、将来的に様々な応用が期待されます。例えば、特定の機能を持つバイオファクトリーの設計や、医療分野での新薬開発における基礎モデルとしての利用が考えられます。また、この研究は、生命の起源や進化についての新しい視点を提供する可能性があります。
まとめ
Minimal Genome Projectは、生命の基本的な構成要素を理解するための重要な研究であり、合成生物学の新たな可能性を示しています。必要最小限のゲノムを持つ細菌の作成は、生命科学の基本的な問いに答えると同時に、将来的な応用にも期待が寄せられています。この研究は、合成生物学の進展における重要なマイルストーンとして位置づけられるでしょう!!
(文: 井上翔也)