陸上自衛隊広報センター“りっくんランド”遠足会~その2~
2011.09.07
初出Jugemブログ『西雑司が谷遠足同好会日誌』異界洋香奈
(陸上自衛隊広報センター“りっくんランド”遠足会~その1~)
1階の展示ゾーンに降りてすぐ目の前にはAH-1S通称コブラのフライトシミュレータです。
「あ、俺はヘリには飽きてますからお二人で体験いって下さい」
帰還兵くんに見送られ会長と白虎野さんの二人はシミュレータへ。
シートベルトを締めるとスタートです。
映像に合わせて座席が前後左右に激しく動きます。
基地を飛び立ったコブラが山を越え、演習場で射撃し再び基地へと戻ってくる様子が数分にまとめられています。
基本的に座って眺めているだけなのですがなかなかの迫力。
白虎野さんが感激している横で会長がぶつぶつとつぶやいています。
「なんか映像と振動がちょっとズレてるな。以前はちゃんと合ってたのに。そろそろ大きな整備が必要だろ」
その横には服装体験コーナーがあり、住所と氏名を名簿に書きこめば迷彩服の試着ができます。 会長と白虎野さんはさっそく試着。
帰還兵くんは「俺は別にいいっすよ。任務の時だけで十分っす」。
上下を着込んで迷彩服を堪能しようと思っていた会長は、実はシャツの下に迷彩Tシャツを着こみ、足元はブーツを履いて来館していたのだった。
しかし渡されたのは迷彩上衣のみ。
「た、たしか数年前に来館した際にはそこで迷彩上下に着替えさせてくれたはずだったんだが…」
それは記憶違いだったのか、はたまた係の者がめんどくさがって手を抜いただけだったのか、それは謎なのです。
「しかし白虎野さんは迷彩服が似合うねえ。実は帰還兵くんより精強そうだよね」
「なに言ってるんすか。まあ、俺の場合は時にそう見られないことも重要なわけで…」
「え?それってどんな任務なんですか?」
「い、いや、なんでもないっすよ。忘れてください」
時折気になることを漏らす帰還兵くん。しかし謎多き男である。
「3Dシアターで何やら映画が始まるみたいですよ」
3Dメガネを受け取って立体映像を鑑賞です。
空挺隊員の訓練の模様からはじまり、各職種の戦闘訓練の様子、そして自衛隊の災害・海外派遣の様子が15分に渡って感動的に描かれていました。
「すごいですねえ自衛隊。会長さんもあんな訓練してたんですか?」
会長を尊敬の眼差しで見つめる白虎野さん。
しかし会長はなんとも戸惑った表情に。
「いや、会長は後方職種っすよ。工場で整備するのが主任務っすからあんな訓練はしてないはず…」
相変わらずひと言多い帰還兵くんだった。
……陸上自衛隊広報センター“りっくんランド”遠足会~その3~へ続く (23.9.13)