好きになる理由について考えた話(2019.4.29)
「なんで日本酒好きになったの?」
以前、女の先輩方と
日本酒を飲む機会があり
質問された。
「んー、家で親が飲んでたのを
もらったりしてて、
美味しいなって思って」
なんでだったろうか。
なんとなくの記憶を遡る。
何かハッキリした理由があるわけではないけれど
確か二十歳そこらの時に
実家で親戚たちが飲んでいるのを
ちょこっと貰ったのだったと思う。
日本酒なんておじさんたちが飲むようなもので
きっと苦くて辛くて
吐き出しちゃうほど不味いんだ。
などと思いながらもおそるおそる一口舐めてみると
飲めた。
飲めたことに自分でビックリした。
ツーンと酸味が広がって
その後にフワッと甘さが残る。
確かにお酒の感じは強いけど
それを美味しいと感じられたのが嬉しくて
ビールとかハイボールとかいうものよりも
ずっと好きな味だと思った。
それから一人暮らしのアパートに戻り
またあの味が飲みたくなって
コンビニの日本酒コーナーに行き
「そんなに量はいらないから」と
小さいパックの鬼ころしを買い
文字通り苦い思いをしたり、
「もっと甘いのが良い」と
スーパーで白い沈殿物がある
にごり酒を買ったら今度は甘すぎたりした。
んー、
もしかしたら本当に日本酒を好きになったのは
もっとずっと後なのかもしれない。
そんな当時の記憶を懐かしみながら
わたしも尋ねる。
「みなさんは、
なんで日本酒好きになったんですか?」
先輩方はサラリと
「男」
と答えた。
「女が酒を好きになる理由なんて、
だいたい男に決まってるよねー」
なんてギャハハと笑う。
想像してたよりも
だいぶ大人な答えに
なんだかグラッときてしまった。
自分の答えがなんて平凡だと
恥ずかしくもあった。
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お酒でなくても
何にしても
なにかを好きになるには
大なり小なり理由はあって
それは
「おいしい」
とか
「色が綺麗」
とか
「なんか分かんないけど良い」
とか
なんでもいいのだと思う。
わたしの場合は人に説明するほどの
理由があるわけではないけど
「好きになった理由は男だ」
とサラリと答えたのが
なんだかとても良いなと思った。
「なんで日本酒好きになったの?」
という質問は、割とよくされるけど
今度されたらわたしも
「昔一緒だった男(お父さん)が
よく飲んでて」
って答えようかしら。
2019.4.29