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新日本プロレス魂を背負ったに悪のヒーロー

割引あり

年末年始のプロレスウイークの最後を飾るのは、新日本プロレス1・5東京ドーム。1月5日は新日本プロレスだけでなく、スターダム、AEW、CMLLの4団体が集まる豪華な興行となったが、その中で、セミファイナルの第9試合ではケニー・オメガがゲイブ・キッドと対戦した。
憩室炎で1年間にわたりAEWのリングを欠場していたケニーは、復帰戦のリングとして新日本プロレスを選んだ。その相手は、WARDOGSのメンバーとして新日本プロレスを暴れまわっているゲイブ。ゲイブも昨年はHENAREと後楽園ホールで壮絶な死闘の末、両者KOの引き分け、NOAHの清宮海斗と対戦、AEWのエディ・キングストンをKOしてSTRONG無差別級王座を奪取するなど、昨年は大飛躍を遂げ、。負ける試合があったとしても、自分の脚で堂々と胸を張って帰る姿がファンからの評価を十分に高めた。

そのゲイブは「新日本プロレス愛」を掲げ、ケニー・オメガを裏切り者として標的に定めて宣戦布告。入場の際にはタイツにラインマークが記されており、それがファンを味方につけ、本来の主役であるケニーから主役の座を奪い取ってしまった。

試合内容も、そうした場の空気を察したのか、ケニーも非情な攻めに出てゲイブを痛めつけ、ファンからブーイングが発生。しかし、ファンを味方につけたゲイブは怯まずケニーに向かっていった。ハードコア的な試合だったが、壮絶な死闘だった。
最後は互いに流血し合う死闘となるも、ケニーが片翼の天使で勝利。しかし、試合を実況席で見ていた棚橋弘至も涙を流すほど激戦となって、その戦いはダメージの大きいかったのか、ゲイブもクラーク・コナーズとドリラ・モロニーの肩を借りて退場せざるを得なかったが、ファンは惜しみない拍手を送った。それはゲイブの中にある新日本プロレス魂が認められた証でもあり、負けたとしても決して評価は下がったわけではない。この時点で新日本プロレスでは珍しい“悪のヒーロー”が誕生したのだ。

内藤哲也は半分ベビーで半分ヒールのダークヒーロー、EVILは極悪で嫌われていることを信条にしているが、ゲイブはそのどちらにも属さない、新日本プロレス魂を背負った悪のヒーローである。ヒールであっても新日本プロレス魂を背負っている限り、ファンから支持される新しいレスラー像を確立してしまったのだ。

ゲイブとケニーがあれだけ激しい試合をしたおかげで、メインイベントで行われたIWGP世界ヘビー級選手権、ザック・セイバーJr. vs リコシェは内容的には悪くなかったが、ケニーvsゲイブに食われてしまった。それだけ観客の熱を二人が持っていってしまったのだ。

新日本プロレスは新世代が台頭しようとしているが、その中にゲイブが間違いなく入る。今年のゲイブはどこまでトップに食い込めることが出来るか期待したい。

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