医学部小論文テーマ集⑦・『開かれた医療(セカンドオピニオン)』について
医学部の小論文では、頻出テーマがあります。年度によって新傾向の出題がされることはありますが、まずは頻出テーマに対する論述には問題なく回答できるように、基本的な知識を身に付け、文章を書く練習をしておくことが大切です。
以前、出題されるテーマをまとめた記事を書きましたが、今回からはそれぞれの項目について詳しく解説していきます。
本記事は、『⑦開かれた医療(セカンドオピニオン)』についてです。
セカンドオピニオンとは
セカンドオピニオンとは、患者さんが納得のいく治療法を選択することができるように、治療の進行状況、次の段階の治療選択などについて、現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めることです。
セカンドオピニオンは、担当医を替えたり、転院したり、治療を受けたりすることだと思っている方もいらっしゃいますが、そうではありません。
まず、ほかの医師に意見を聞くことがセカンドオピニオンです。
セカンドオピニオンによって実現すること
セカンドオピニオンを受けることで、患者がほかの医師の意見を聞くことで、主治医の診断の的確さや主治医の示す治療方法の妥当性を確認して、納得して主治医の治療を受けられるようになります。
また、セカンドオピニオンを求めた先の医師が異なる治療法を知っていた場合は、患者はより多くの選択肢の中から治療法を選択できるようになります。
医師の立場としては、セカンドオピニオンを受けることは自分が信用されていないのでは、と思うのではなく、患者の選択肢を充実させるという認識のもと、快く対応すべきです。さらに、患者がセカンドオピニオンを聞きたい場合に、ためらいなく主治医に申し出ることができるような信頼関係を築いておくことも大切です。
現在では、セカンドオピニオン専門外来を設けた病院も出てきており、保険やクレジットカードの付帯サービスとして、セカンドオピニオンの相談や専門医の紹介の提供が行われていることもあります。
カルテ開示について
カルテは、本来、医師が患者の経過を記録しておくために使用されていたが、2003年に厚生労働省は、患者や遺族から開示を求められた場合はカルテを公開しなければならないという指針を示しました。これにより、医療現場ではカルテ開示の動きがあります。
カルテ開示にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
医師は患者を信頼してカルテを開示し、患者はカルテを見ることでより医師を信頼できるようになるというメリットがあります。さらに、カルテ開示により、患者が積極的に医療に参加するような、患者本位の医療へも近づくと考えられています。
カルテ開示の課題
カルテ開示においては様々な問題があります。
●言葉の問題
専門用語や英語で書かれたカルテは、患者が読むことは難しいと思います。また、診療科や医師によって書き方が異なる部分も、統一していく必要があると思います。
●個人情報の保護
カルテに記載されている内容は個人情報ですから、厳重に管理しなければなりません。異なる患者に誤って開示してしまうことはあってはいけません。また、将来電子カルテが一般的になり、医療現場や介護施設のネットワークを使用してカルテを見ることができるようになるといわれていますが、その場合にもしっかりとした管理体制が必要になります。
本日はここまでです。
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